薬の9割は捨てる?! 現役小児科医が教える「薬・医者いらず」な子どもに育てる方法
公開日:2016/10/31

「あれ? かぜかな?」と思ったらとりあえず病院に行って薬をもらう。薬を飲んだら症状がマシになる。かぜが流行る時期に、薬の存在はとてもありがたい。
すでにご存じかもしれないが、「かぜは薬では治らない」という。現役小児科医が著者の『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない(いらない薬、いらないワクチン教えます)』(鳥海 佳代子/マキノ出版)によると、かぜの原因は80~90%がウイルスであり、かぜの症状が出ているときに抗生剤を内服しても、ほとんど意味はないと断言している。一般的なウイルスが原因でかかるかぜは、薬が治すのではなく、自分の免疫力がウイルスを攻撃し、身体から排除するのだ。
とはいえ、翌日に大事な仕事を控えているし、症状が緩和されるのなら薬は飲みたい。大人の場合はこれでよし。しかし、本書によると、子どもにはできるだけ薬を与えないほうがいいらしい。
かぜをひくと、発熱する。小児科医の間でも発熱に対してさまざまな意見があるらしいが、著者は次のような考え方で「医者いらずの子ども」を目指すことを勧めている。
●熱は体が病原体と闘っているサインであり、体ががんばってくれている状況を示すものでもある。
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●子どもが病原体と闘って熱を出して、そして打ち勝って回復したら、そこで免疫の“貯金”ができたと言える。
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●(幼稚園に入るなど集団生活が始まると、感染症にかかりやすくなるため)いかに上手に3歳までに病原体とたくさん出合って、それを乗り越えていくかが大切。
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●その早道は、安易に医者にかからないようにすること。
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●4歳を過ぎたら「あれっ、小児科に前回行ったのはいつだっけ?」という状況になるのが理想的(ほとんど医者いらずの子どもになる)。
発熱を怖がりすぎたり、目の敵にしたりするのはよいことではないそうだ。
実際、「わが子にもなるべく薬を使いたくない」と考える著者は、夫がわが子のためと持って帰ってきた薬の9割をこっそりと捨てていたそうだ。なんでもかんでも捨てるわけではない。次のような薬が多かった、と明かしている。
●鎮咳去痰系(ちんがいきょたんざいけい)
…咳をやわらげる薬/痰を出しやすくする薬●抗生剤系
…細菌を退治するための薬
ただし、乳児期早期の場合は話が別だという。生後3か月未満の赤ちゃんの発熱は重度の感染症の可能性があるため、早めの受診が必要だとしている。
本書は、薬・医者いらずで健やかに育つ子どもが増えることを願っている。
文=ルートつつみ