「わたしは騙されないから大丈夫」——高をくくっていた人が、つぎつぎと生まれてくる新手の詐欺に騙されてしまう事案がいままでにどれだけあっただろうか。詐欺行為や法の網の目をすり抜けるようなワル知恵はいまでも多様化の一途をたどっている。警察に相談・届け出がなかったものも含めるとその数は計り知れない。

　気がついたらこうした詐欺に騙されていた、ワルの手のひらの上でもてあそばれていた、なんてことはぜひとも避けたいものだ。本書『絶対、騙されるな！　ワルのカネ儲け術（鹿砦社新書）』（悪徳詐欺の手口を学ぶ研究会/鹿砦社）で、ワルの巧妙な詐欺の手口を知ってもらい、今後の日常生活に生かしていただきたい。

■「ご満足いただけない場合は全額返金」の落とし穴

「−10kgも夢じゃない！　魔法の飲料水——ご満足いただけない場合は全額返金」といった宣伝文句でボトル詰めの水が通販サイトなどで売られているのを目にした人も多いことだろう。

　この言葉に惑わされて魔法の水を購入し、いざ飲んでみると何のダイエット効果もない。そこで、業者に電話で問い合わせてみると、“返金相談課”に繋がれる。「お手続きの時間が少々かかりますので…」と言われ、日を改めてかけなおしてみると、今度は“お客様相談センター”、次は“総務課”、“申請課”…といった具合にさまざまな部署をたらいまわしにされる。本書が突撃した元営業担当のスタッフによれば、たいていの顧客はこれで返金をあきらめるという。こうして、この会社にはがっぽりとお金が入ってくるという仕組みだ。それにしてもこれはかなりのワルだ。

■「超簡単なカネ儲け術」は要注意！

　時折、動画サイトの5秒広告や、ブログの途中に挿入された広告の中に、「超簡単なカネ儲けのしかた　いまなら9800円！」という類のものを見かけることがある。これは、お金と引き換えにカネ儲けの情報を渡す、いわば「情報商材」を使った詐欺の手口だ。

　本書によれば、このように売られている「情報商材」の中身はタダ同然の情報だったり、ガセネタだったりすることが多いという。しかし、少し背伸びをすれば購入できてしまうような価格設定であることから、案外手を出してしまう人も少なくないようだ。実際わたしも学生のときにこの広告を見て、不覚にも「買えなくはない…」と思ってしまった。「買おうと思えばほとんどの人には買えてしまう」という仕掛けがなかなか巧妙だから恐ろしい…。

　本書には、ほかにも闇業界・裏仕事師の金儲け術や「水商売」「風俗」など女の子を使った金儲け術などが多数掲載されている。本書で紹介されているのは、あくまで「ワルのカネ儲け術」だ。本書記載の方法を使ってカネ儲けをしてやろうなどと考えるのはいけない。あくまで騙されないために、汗水たらして手にした財をかっさらわれないために、本書の知識を生かしてほしい。

文＝ムラカミ ハヤト