子どもにだって言い分はある! 親がハッとなる絵本『ごめんなさい』
公開日:2018/3/7

子育ては大変だ。時間や気持ちに余裕がないときは、ついつい我が子にきつい声で怒ってしまう。子どもはやんちゃをして成長するので、昨日怒られたことを忘れて、今日もやんちゃしてしまう。そのためお父さんお母さんも、昨日よりきつい言葉でお叱り。それが毎日のように繰り返されると、子どもを条件反射で怒るようになってしまう。本当は愛しい我が子なのに、毎日こんなことばかりでいいのだろうか。
そんなお父さんお母さんに読んでほしいのが『ごめんなさい』(サトシン:作、羽尻利門:画/ポプラ社)という絵本。子どもだって、子どもなりに考えて行動している。子どもにだって言い分はある。それをお父さんお母さんに聞いてほしいのだ。
■どうして買ったばかりのクレヨンを折っちゃうの!
「どうして あんたは かったばかりの クレヨンを
ぜんぶ おっちゃうの! どうしても ほしいって
あんたが いうから かってあげたんじゃないの!」
そう怒るお母さん。大変ご立腹です。でも子どもは目に涙をいっぱいためて、こう言いました。
「だって かってもらって うれしかったんだもん!
うれしかったから ゆうちゃんにも あげたかったんだもん。
ゆうちゃんも はんぶんこしたら よろこぶと おもったんだもん!」
ただクレヨンを折ったのではなく、弟とふたりで仲良くクレヨンを使うために折ったのでした。
「あなたは やさしい おにいちゃん なんだもんね。
きがつかなくて…ごめんさない」
■お母さんまで恥ずかしかったじゃないの!
今日は授業参観日。お母さんは、おめかしして、よしおのクラスに行きました。でも…。
「なんなの あんただけ じゅぎょうちゅうに ヘラヘラして!
おかあさんまで はずかしかったじゃないの!」
先生の問いに、クラスのみんなが手を挙げるなか、よしおくんは1人ふざけてしまいました。それにお母さんはご立腹です。よしおくんは言いました。
「みんな てを あげるのに じぶんだけ わからなくて
はずかしかったから なきそうになって
わらっていないと なきそうだから わらってたんだ!」
よしおくんの気持ちを知らずに、お母さんは怒ってしまったのでした。
「よしおなりに いっしょうけんめい だったんだね。
きもちを わかってあげられなくて…ごめんなさい」
■お母さんもう知らないんだからね!
「おかあさん もう しらないんだからね!
ふたりとも もう かってに しなさい!」
お兄ちゃんと妹に怒るお母さん。妹は少し泣いています。おもちゃの取り合いになって、ふたりでケンカしたのでしょうか。その後、お母さんは子どもたちの寝室をのぞきました。すると…。
「さっきは ごめんね。 にいちゃんが えほん よんであげるから
もう なくなよ。 ほら このほん さっちゃん だいすきだろ?
じゃ、よむよ」
お兄ちゃんが優しく妹に絵本を読んであげていました。なんだかんだいって、兄妹は仲良しです。ふたりが寝静まったあと、お母さんがやってきて、ふたりを抱きしめながら、こう言いました。
「きもちが きりかえられない だめだめママだけど
ほんとうは ふたりとも だいすきなのよ…ごめんなさい」
子どもはやんちゃする。失敗もいっぱいする。その度についつい怒ってしまう。でも、お父さんお母さんだって、失敗する。そんなとき大切なのは、お互いの気持ちをきちんと伝え合うことだ。そのとき、家族のあたたかさに改めて気がつくはず。
うちのこで いてくれて ありがとう。
まちがいだらけの おやだけど、
いつも きみの ことが だいすき。
こどもたち…ごめんなさい。
このやさしい絵本は、子どもだけじゃなく、お父さんお母さんにも読んでほしい。
文=いのうえゆきひろ