どうして大人は勉強をおしつけてくる?―羽生善治氏の答えは?道徳の問題をどう解く?
公開日:2018/4/23

平成30年度から、小学校で「道徳」が教科化される。家庭で、子どもと道徳の話をすることが増えるかもしれない。そんなとき、大人はどのような考えで、子どもと対話すればよいのだろうか。
『答えのない道徳の問題 どう解く?』(山崎博司、木村 洋、二澤平 治仁:著、小学生のみんな その他/ポプラ社)は、そんな不安に道筋を示している。
この本では子どもとの対話を大事にしています。
答えを出すことが難しい問題に対して、カンタンな絵と言葉の組み合わせで、会話を生み出しやすくしています。
子どもが能動的に考えて、自分なりの答えを導き出す。
その姿勢が、これからの時代を生き抜くチカラにつながると思うのです。
親子の対話を通じて、子どもは相手の立場になって考え、他者を思いやる気持ちが育ち、答えは必ずしも一つではないことを学んでいく。
本書は、「ついていい嘘といけない嘘はどう違う?」「どうして正義のヒーローは悪者を殴っていい?」「どうして大人は勉強をおしつけてくる?」といった、簡単には答えられない問いが13題、挙げられている。各問いは、4ページで“子どもの疑問”がカンタンな絵と言葉で示され、章を分けて2ページで考え方のヒントになる“いろいろな意見”が紹介されている。“意見”の中には、必ず一つ、著名人の考え方が収録されている。
「どうして大人は勉強をおしつけてくる?」の問いに対して持論を紹介しているのは、棋士の羽生善治氏。独創的な手を打つ羽生氏は、勉強をどのように捉えているのだろうか。
一部を抜粋する。
目に見えるもの、見えないもの、手にふれられるもの、ふれられないもの、その一つひとつを知ってゆくのが勉強
大人になったときにいらないものは自分の判断ですべて捨てて、残ったものがあなたが勉強したものです
本書を通して、道徳は問題の一つひとつについて、自ら時間をかけて「どう解く?」と考えることなのだと、親子共に気づかされるはずだ。
文=ルートつつみ