『きょうの料理』が創刊60年——わが子に受け継ぎたい“おふくろの味”をつくってみた
更新日:2018/4/23

「おふくろの味」というのは、大人になっても、やはり特別な存在。そんな親たちも最初はみんな料理初心者で、そんな時にきっと手に取ったであろうNHKテキスト『きょうの料理』(NHK出版)が今年で創刊60周年を迎えました。
それを記念して、満60年の記念にあたる5月号には季節の料理のほか、60年特別企画として、時代を彩ってきたさまざまなレシピや、創刊号でつくられていた料理のレシピと白黒写真を手がかりに再現した「よみがえるテキスト創刊号!」、さらには付録として、「創刊号表紙復刻ノート」までついていて、かなり盛りだくさんな内容に。長年のファンにはたまらない、また若い世代にとっては新鮮だけれど勉強になる1冊になっています。
そこで本稿では、今までの『きょうの料理』の中でもたくさん紹介されてきたけれど、また一味違うアレンジがされた「筑前煮」をつくってみました。
■昔ながらだけれど新しい!「つゆだく筑前煮」(P.42)

ごま油を熱したフライパンに、鶏ひき肉を入れて炒め、色が変わったら、にんじん、ごぼう、れんこん、こんにゃくを加えて炒めます。そして、だし、みりん、砂糖を加え、沸騰したらアクを取り、落としぶたをして5分間煮ます。次に、しょうゆ、うす口しょうゆを加えたら6分ほど、その後アスパラガスを加えて2分ほど煮て、最後にしょうが汁を加えれば完成です。
定番の筑前煮といえば、どちらかというと根菜類がおいしくなる秋冬によく食べられる料理です。でも、今号では春に採れる柔らかい根菜類を使い、また違った野菜のおいしさが味わえるレシピに仕上がっています。

実際につくってみると、根菜類にしっかり火が通って柔らかく、味も中までしみていて、あの短時間の煮込みでできたとは思えないほど。また、鶏ひき肉や、この季節ならではのアスパラガス、さらにはしょうが汁が効いて、後味はとってもさっぱり。
いつもの筑前煮だと、汁がまったりしがちですが、この筑前煮は汁までおいしく頂けました。彩りも華やか。1皿で野菜がたっぷり&つゆだくで食べるので、ボリューム満点なのもうれしい限り。
料理初心者の私にとっては、筑前煮は料理の上手さがわかるバロメーター的存在な気がして、苦手意識からなんとなく敬遠していた料理でした。でも、つくってみると、野菜を切って煮るだけという、意外とシンプルな工程にもかかわらず、かなり本格的な味に仕上がり、「あの筑前煮がおいしくつくれた!」と料理に少し自信が持てました。
他にも、本書では、地味な缶詰料理のイメージを払拭した「ツナ缶のテリーヌ風」やヘルシー志向な時代に合わせた揚げない「豚肉とねぎのかつ風」といった時代を彩る往年のレシピが紹介されたり、創刊号に掲載されていた「肉だんごの野菜蒸し」「子どもランチ」といったレシピが再現されたりと、見ているだけでいろいろな時代にタイムスリップした気分になれます。
■これからも受け継いでいきたい味がここに
昔から変わらない味もありますが、今回紹介した「筑前煮」のように、ベーシックでありながら、そこに時代時代のアレンジが加わることで、また新たな味が生まれ繋がっていく料理もあります。親から子へ、子から孫へと、いろいろな料理がこれからも引き継がれていくと思いますが、そんな時にこういう歴史ある料理本が近くにあると、いろいろな時代の料理がつくれて、また楽しいですね。
文=JUNKO