結婚前日に死んでしまった婚約者。生まれ変わって巡り合えたけど…!? 転生して再会した4組のカップルが送る胸キュンラブコメ!
公開日:2019/2/2

「運命」なんてあるかどうかはわからないが、人と人との巡り合わせに何か意味があるならば、なんてロマンチックで素敵なことなのだろう。
現世で結ばれた恋人とも、実は前世で出会っており、「来世でも恋人になろうね」と約束していた。……なんてことが本当にあるならば、胸がキュンとする。
もちろん、現世を精一杯生き抜くことが一番大切だとは思うが、たまにはそういったことに思いを馳せるのも、悪くないなんて考えるのだ。
杜若わかの『前世カップリング』(講談社)は、転生して再会した4組のカップルが送る、笑えてちょっと切ないマンガである。
前世で縁があった人と現世でも再会できるなんて素敵……! と思って読みはじめたのだが、彼らは、前世とは年齢も立場も変わっていた。生まれながらにして前世の記憶がある者もいれば、ない者もおり、結ばれるのに様々な苦労をしていたのが印象的だった。
例えば、第1話で登場するのは、結婚前日に婚約者・雛を亡くした八尋(やひろ)。
雛は「来世で私を幸せなお嫁さんにしてね……」と言い残してこの世を去った。
時は移り、西暦2020年。八尋は生まれ変わって、女子高生になった“ひな”と再会する。だが、ひなは前世の記憶がない。八尋は記憶があるものの、まだ小学生だった。
八尋は小学生ながら、ひなに猛アピールをするのだが、いつも「かわいい」と流されてしまい……!?
2話では、前世では一国の姫であったマリアと使用人だったジョーが登場する。
前世では身分の差があり、結ばれることはおろか想いを伝えることすら許されなかった二人。
現世では普通の高校生として出会い、お互いに前世の記憶もあるため、さぞやラブラブなのだろうと思いきや、丞(じょう)は現世でも使用人モードであった。
「まりあ様の身に何かありましたらこの丞、腹を切って反省する次第です」「まりあ様 ここには椅子がないので俺を椅子に…」と終始へりくだる彼に、周囲はざわつき、まりあは、
「前世なんて前世…前世なんて…くそくらえー!!」
と発狂する。「対等な男女として接したい」というまりあの願いは通じるのか注目だ。
また他にも、前世では猫と飼い主だったが、現世では女子高生と体育教師になった鈴と光利や、前世では親同士が決めた許婚で犬猿の仲だったが、現世では、まわりもあきれる溺愛カップルの竜と唄も登場する。
彼らの多くは、前世で強く後悔していることや、叶えることができなかった夢があり、現世で成就させようと奮闘している。前世の記憶があるゆえに苦労することも確かに多いのだが、「相手のために何かできるのが嬉しい」とにっこり笑って告げる様子は、好きな相手と時間を共有できることの尊さが存分に感じられ、胸がいっぱいになった。
前世に振り回されながらも、なんだかとても楽しそうな彼らの日常に、自然と笑顔になれるマンガである。
文=さゆ