今日の星座占い1位「おとめ座」の詩都花! 躍らせながら学校へ行くと…/5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール④

文芸・カルチャー

更新日:2022/7/20

著:橘つばさ、桃戸ハル、イラスト:かとうれい著の小説『5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第4回です。全編、意外な結末で大人気の「5分後に意外な結末」シリーズ。今回は、恋と友情をテーマにした女子高生3人の青春ストーリーをお送りいたします。恋の悩みを抱えている人や恋愛真っ只中の人、感情移入したい人にぴったりの青春小説。『5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール』で、キュンとしたり、意外な結末にドキッと驚いたり、様々な感情をお楽しみください。今日の運勢が1位の詩都花は、下駄箱の中に白い封筒を見つける。上履きを取り出すと、もう1つ紙切れが落ちる。どちらも詩都花へのラブレターで1つは松岡という先輩から、もう1つは名無しだった。2人からの手紙に詩都花は…?

5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール
『5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール』(橘つばさ、桃戸ハル:著、かとうれい:イラスト/学研プラス)

星座占い

『おしづ! 今日は乙女座が1位だってよ! おめでと!』

 ピロリと通知音がして、詩都花がスマホのトーク画面を開くと、朝からやたらとテンションの高い文面が目に入った。紗月って、ほんといつも元気よね、と詩都花が苦笑している間に、続けて画像とメッセージが届く。

『乙女座のとこ、スクショしといたから見てね!』

 紗月がわざわざ送ってきたのは、今、詩都花たちの学校で大流行している星座占いのサイト『ホロスコ!』の、占い結果のスクリーンショットだ。星座ごとの今日の運勢が、毎朝6時に更新される、いたって普通の占いサイトなのだが、「怖いくらい当たる」と、年齢や性別を問わず大評判になっている。

 詩都花は占いに興味があるタイプではないが、1位だと言われて悪い気はしない。紗月に「ありがとう」と返信してから、送られてきたスクリーンショットを拡大する。

 ――以前から疑問に思っていたことが解決。作業もサクサク進みそう。何をしていてもエネルギーにあふれる1日となり、異性があなたの魅力に釘づけになるでしょう。決断は迷わず、ハッキリと。ただし、獅子座の人との相性だけは最悪。距離感には気をつけて。ラッキーアイテムは青いリボン。

 占い結果を読み終えた詩都花は、通学カバンに目を向けた。目印につけているプードルのキーホルダーは、首に青いリボンを巻いている。

 これも、ラッキーアイテムにカウントされる……わよね?

 占いを信じるわけではないが、1位と言われるのは、なんとなく嬉しい。詩都花が思わずクスリと笑うと、「なんかいいことでもあったのか?」と、父親が話しかけてきた。

 詩都花が、「ホロスコ!」が学校で流行っているという話をすると、父親は、「自分の星座も占ってくれ」と、えらそうに言う。仕方がないので詩都花はサイトにアクセスし、父親の星座である牡牛座の占い結果を開いて見せた。

「うーん、9位か……。えー、母さん、ちょっと聞いてくれよ。『家族や友人との間にトラブルの兆しあり』だって! ラッキーカラーは、グレーか……グレーのネクタイに替えようかな……」

 すでに締めてあった紺色のネクタイを、父親がつまんで持ち上げる。星座占いの結果を気にする社長だなんて、お父さんの部下の人たちが知ったら、どう思うんだろう。そんなことを考えながら、詩都花は通学カバンを手にとった。

「じゃあ私、いってきます」

「あ、待って、詩都花。お父さんも出るから」

「いってらっしゃーい。気をつけてねー」

 こうして詩都花は毎朝、会社を経営している父親と一緒に家を出る。見送ってくれる母親は、子どもたちにピアノを教える先生だ。

 今日は、乙女座が1位。ラッキーアイテムも持っている。もしかしたら、何かいいことがあるかもしれない。

 クルマで出勤する父親と家の前で別れたあと、詩都花はいつもより少しだけ機嫌よく、バス停へと歩きだしたのだった。

 学校に着いた詩都花が下駄箱を開けると、上履きの上に地味な、白い封筒がのっていた。

 下駄箱に手紙。この組み合わせにピンとこないほど、鈍感ではない。

 封筒を手に取り、もう一方の手で上履きを取り出す。そのとき、はらりと何かが詩都花の足もとに落ちた。それを追った視線の先にあったのは、二つ折りにされた紙きれだった。

 ――ずっと前から好きでした。今日の放課後、体育館裏で待ってます。

 昼休み。詩都花、紗月、エミの3人は、2年1組の教室でランチを食べていた。ランチの場所は「日替わり」で、今日は詩都花とエミのクラスだ。そこで詩都花から紙きれを見せられた紗月は、文面を読むなり、愉快そうにニヤッとした。

「相変わらずモテますねぇ、詩都花お嬢様は!」

「やめてよ、紗月……」

「それで? そっちの封筒は?」

 小首をかしげて、今度はエミが尋ねる。一瞬、言葉につまったものの、詩都花は正直に答えた。隠しごとをするつもりはない。

「同じような感じで、『付き合ってください』って書いてあった……。こっちには、ちゃんとクラスと名前も」

「どこの誰?」

「3年2組の、松岡っていう……」

「先輩かー。たしか、美術部の副部長じゃなかった?」

「紗月ちゃん、詳しいね」

「ウチのクラスの女の子が、『美術部の松岡先輩が、わりとカッコイイ』って話してたんだよね。それで、おしづ、どうするの?」

 ストレートな問いかけに、詩都花は「えっ」と上半身を引いていた。

「松岡先輩に返事、書くの? それとも、こっちの紙きれの『名無しクン』に会いに、体育館裏へ行くの?」

「私は、そんなつもりは……」

 もごもごと答えた詩都花に、紗月は不満げに「えー」と声をもらした。

「会って話だけでもしてみたら? おしづ、美人なんだから、もっと自信もちなよ」

「才色兼備って、詩都花ちゃんのことだよねー」

 紗月とエミの率直なほめ言葉に、詩都花は無言でうつむいた。

 きめ細やかな白い肌や、つやつやと輝く長い髪をほめられたことは何度もあった。2年1組の学級委員長は推薦で決まったし、テストの成績だって毎回、学年上位に入る。

「大和撫子」や「才色兼備」と言われて悪い気はしないが、そのことと、もらったラブレターにどうリアクションするかということは、詩都花の頭の中では、まったく別の問題だ。

「おしづー、いよいよモテ期なんじゃない?」

 そんなことを言いながら、紗月がヒジで小づくマネをする。詩都花がそれを無視して、弁当のプチトマトを口へ運んだときだった。

『5分後に恋の結末 友情と恋愛を両立させる3つのルール』をAmazonで読む >