家の中では、いつもいつも……『ねこは わたしの まねばかり』【NEXTプラチナブック】

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/29

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年5月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

ドアのうしろにかくれても、クローゼットに中にかくれても、ねこは私のまねばかり。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ねこは わたしの まねばかり』。韓国を代表する絵本作家のひとり、クォン・ユンドクが手がけた美しくて可愛い絵本、どんな内容なのでしょう。

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

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家の中では、いつもいつも……『ねこは わたしの まねばかり』

ねこは わたしの まねばかり

作:クォン・ユンドク訳:キム・ファン

みどころ

うちのねこは、おすましさん。呼んでもこないし、抱いてあげようとすると逃げる。でも、知らんぷりすると、こっそり近づいてきて、追いかけてきて、私のまねばかりする。

ドアのうしろにかくれても、クローゼットに中にかくれても、ねこは私のまねばかり。洗濯物を干すときも、花のにおいをかぐ時も、ねこはずっと私のそばにいて、いつも私のまねばかり。だから、うちに誰もいなくても、私はちっとも退屈しない。私の友だちはねこしかいないし、ねこの友だちは私しかいない。でも……。

でも、今日からは……。私がねこのまねをしなくては。

学校から帰ってきてもいつも一人ぼっち。そんな退屈していた女の子のところに、ねこがやってきたことで、あっという間に楽しい毎日に。そっくりなポーズをとるねこの愛らしい姿といったら。

でも、女の子はまねをされるだけじゃ終わりません。今度はねこのまねをすることで、外へと一歩踏み出す、小さな勇気をもらうのです。もう真っ暗な窓の外も怖くないし、高いところから遠くまで見渡すことだってできる。ねこみたいに体を大きくふくらませれば、どんなことにだっておじけづくことはありません!

どこか懐かしくも新鮮に感じる、韓国を代表する絵本作家のひとりクォン・ユンドクの手がけた美しくて可愛い絵本。私とねこ、ふたりだけの世界。そしてねこと一緒に踏み出す新しい世界。女の子のまねをするねこ、ねこのまねをする女の子。お互いになりきって見るそれぞれの景色を、表情を、それは魅力的に描き出してくれるのです。

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編集長のおすすめポイントは……

ふたりはそっくり!?

近づくと逃げてしまうくせに、知らんぷりをすると近づいてくる。気がつけば、家の中ではいつも一緒のねこと女の子。こんなに大人しいふたりだったのに、女の子がねこのまねを始めたとたん、どちらも目はきりりと輝いて、堂々とした立ち姿に。並べば迫力も2倍に!? これには近所の男の子たちもびっくり、あっという間にふたりはみんなの先頭に立って走りだすのです。ねこと女の子、似たもの同士だったのかな。こんな相棒、うらやましくなっちゃいますね。

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。