秋の夜、じっくり読みたい 大人が泣ける絵本(2023年10月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/10/19

しんと静かな秋の夜長に、ふと心寂しくなったなら、開いてほしい絵本があります。

優しい眼差しで語りかけてくれる言葉。無理を重ねてこわばった心を、やわらかくほぐしてくれる物語。大切な存在と別れる気持ちを託した登場人物。美しく静寂な世界に誘う精緻な絵。

自分に重ねて読んだり、物語の背景に思いを馳せながら読むことは、大人にしかできない楽しみ方。同時に、自分の中にある子どもの心までも抱き止めてくれる懐の広さが絵本にはある。大人だって、大人だからこそ、絵本には甘えてもいいんじゃないかと思うのです。

寂しさや悲しみの前にうずくまってしまう夜、絵本は湧き出る感情を温かく包んでくれる毛布のような存在に。お守りのような一冊に出会えたなら、夜を渡るのもきっと怖くないはずです。

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心細いとき、優しい声が聞きたくなったら。月明かりの下で小さなふわふわの動物たちが待っている。多感な年頃のお子さまへの贈り物にも『きみのそばに いるよ』

きみのそばに いるよ

作・絵:いぬいさえこ

出版社からの内容紹介

『きみのことが だいすき』の著者が贈る、あなたの心にそっと寄り添うメッセージ絵本小さなどうぶつたちが暮らす森では、夜になると、どこからか話し声が聞こえてきます。だれかに会いたくなって、やさしい声が聞きたくなって……月明かりの下でおしゃべりを始めるどうぶつたち。「きみが いてくれたから、今日は いい日だったよ。」「ぼくはね、うまくいっても、きみが すき。うまくいかなくても、きみが すき。」心細いとき、あなたの心にそっと寄り添ってくれる、温かい絵とメッセージがつまった絵本です。新月から三日月、満月になり欠けていくまで、約30日の月の満ち欠けの移ろいも楽しめます。小学校高学年から。

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きみのことが だいすき

作:いぬいさえこ

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無機質な都会で本当の自分を押し殺して生きる姿が共感を誘う『都会のワニ』孤独なワニが葛藤の末にたどり着いた答えとは

都会のワニ

著:クルライン イ・ファジン 絵:ルリ 訳:清水知佐子

出版社からの内容紹介

『長い長い夜』の感動を継ぐ、ルリの新作絵本。「潔いほど単純でありながら、ずっと心を捉えて離さない物語」
――キム・ハナ(『女ふたり、暮らしています。』著者)

高層階ビル、騒音、多くの人々に囲まれた都会で暮らすワニ。
無機質なものたちに囲まれ、「何か」になるため、誰かの基準に合わせるため努力するワニの姿に、わたしたちは何を見るのだろうか?

韓国20万部の大ベストセラーを記録した児童書『長い長い夜』)の作者ルリと、『気象庁の人々 社内恋愛は予測不能?!など数多くの人気ドラマを手掛けるクリエイター集団クルラインによる、ありのままの自分を忘れて生きる大人のための絵本。

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私に受け継がれるもの、私が受け継ぐもの。祖父がくれたくるみの実から、めぐる季節といのちを描く『おじいちゃんの くるみの き』

おじいちゃんの くるみの き

作:アミ=ジョーン・パケット 絵:フェリシタ・サラ 訳:ひさやまたいち

出版社からの内容紹介

くるみが育ち、めぐる季節と命。おじいちゃんが教えてくれた大切なこと。

ある朝目をさますと、ベッドのわきのテーブルにくるみがひとつ。おじいちゃんがくるみにまつわる物語を聞かせてくれます。小さいカバンとポケットにくるみ。おじいちゃんはそれだけを持ち、海を渡ってきたのです。

「ちいさな わかぎを にわの、ゆたかな ちゃいろい つちにうえかえた」
「このおうち? このおにわ?」
「みに いくかい?」

おじいちゃんはくるみの育て方を少しづつ教えてくれます。けれど、くるみが育っていくにつれて、おじいちゃんはだんだんとゆっくりになっていって――。

「すばらしい ことが おきるには、じかんが かかる。たとえ、じぶんが みられなくても かならず おきるんだよ」

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海に沈んだ父さんを探す旅に出るくじらの男の子。父と子の深い絆と成長を幻想的に描いた物語『つきよのくじら』

つきよのくじら

作:戸田和代 絵:沢田としき

出版社からの内容紹介

くじらのぼうやは、島のように大きくて、お月さまに届くほど天高く潮を吹ける父さんくじらを探す旅に出ます。くじらのぼうやの成長の物語。
全国学校図書館協議会選定図書

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流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷い込んだ子ジカ。星の瞬きの下、字のない静寂な世界に浸る『星のふる夜に─When Stardust Falls─』

星のふる夜に─When Stardust Falls─

作・絵:千住博

出版社からの内容紹介

国際的に注目をあびている日本画家が、小さな鹿の一夜の冒険を美しく表現しました。
文字がないだけ余計に絵の力が強く語りかける絵本です。
迷子になった小鹿が星空の下をさまよう物語。けんぶち絵本の里絵本大賞受賞。

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やっと言えた、おばあちゃんへの「さようなら」大切なひとと別れる気持ちをキツネの男の子に託して。『ぼく、いいたい ことが あるの』

ぼく、いいたい ことが あるの

作:ジャン=フランソワ・セネシャル 絵:岡田千晶 訳:小川仁央

出版社からの内容紹介

しんじられない。おばあちゃんにもう会えないなんて。ふたりで行ったところ、いっしょに作ったもの、思い出がこんなにいっぱいあるのに……。流れる川のようにすぎていく時間のなかで、やっと言えた「さようなら」。大切な人とわかれる気持ちを、キツネの男の子に託して、あたたかく、包みこむように描きます。自分自身も「おばあちゃんに伝えたいことがあった」というカナダの作家の文章を、人気画家の岡田千晶さんが、かぎりなく愛らしいイラストで飾りました。静かな感動をよぶ作品。

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【動画公開中】感じる 考える わたしの一冊 絵本・児童書22選

文:栗田 奈緒子 編集:木村 春子

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