大人に響く美しい装丁の絵本・ロングセラー絵本(2024年2月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/22

ふっと目が合い、気がつけば思わず手に取っている。そんな絵本があります。
刹那的に通い合あった一冊、心をつかまれるのはイラストだったり、色彩だったり、構図だったり、手触りだったり。装丁がつなげてくれた絵本との出会い、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

ずっとそばに置き、大切にしたい絵本。子育てが落ち着いたあとも、自分の人生にずっと寄り添ってくれる一冊。美しい装丁や何度読んでも胸に響くストーリーが魅力的な絵本をお届けします。
パステル、カラフル、ヴィヴィッド、シック。シンプル、コミカル、ダイナミック。かわいい、きれい、不可思議……今のあなたをとらえるのはどんな一冊? 手にした絵本が心の鏡のように感じられるのも、絵本と向き合う楽しさですね。

公園で出会った女性と子犬。少しずつ距離が近づいた矢先に、嵐が訪れ……心の通い合いを繊細に優しく描いた文字のない絵本『やっと きみを みつけたよ』

やっと きみを みつけたよ

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作:グオ・ジン

出版社からの内容紹介

大切な存在に会いたくなる。静かで優しい、犬と人との絆の物語

公園で出会った子犬と女性。だんだんと距離が近づいていきますが、ある嵐の日にすれちがいが起きて……。犬と人の間に生まれる強い心のつながりが、光と影の巧みな表現と繊細なイラストで美しく描かれています。すべての犬好きと、優しいあなたに贈る、文字のない心温まる絵本です。

出会ったものや感じたこと、全てがつながり君だけの豊かな世界を彩っていく。『パッチワーク』のようにーー子どもたちの無限の可能性を伝える一冊

パッチワーク

文:マット・デ・ラ・ペーニャ絵:コリーナ・ルーケン訳:さくま ゆみこ

みどころ

きみは、生まれる前からブルーとつながっていた。男の子だとわかった瞬間から。きみは、今でもブルーにとらわれている。ピンクや茶色が好きだったとしても。

でも、本当にそうかな。きみの涙はピンクでもブルーでもない。涙は人間のしるし。大人になったら全然別な色が好きになるかもしれないよ。

ダンスをするために生まれてきたと言われるきみは、いつだって頭の中にリズムを奏でている。でも、それはもしかしたら世界をかえるようなプログラミングを考えつくことにつながっていくのかもしれない。

いつもぼんやり上の空、笑わせることが得意なきみは、自分みたいな子どもの気持ちがわかる素敵な先生になるかもしれないし、誰にでも優しいあなたは、いつかみんなのリーダーとなって引っ張っていく強さを持った人になっていくのかもしれない。

きみが持っている音は、ひとつじゃない。生きていく上で経験した気持ちや出会いで色々によってさまざな音や色がパッチワークみたいにぬいあわさっていく。それが例えいびつでも、ちぐはぐでも……。

詩のようにつづられていく文章とともに描かれているのは、少しずつ色の数が増えていき、どこまでも空想が広がっていくような美しい絵。それらは時には抽象的に感じることもあれば、どこかでまっすぐ具体的に心に突き刺さってくることもある。読むたびに捉え方が変わっていくこともあるでしょうし、心が解放されたように感じる子もいるかもしれない。

ニューベリー賞とコールデコット賞をダブル受賞した作家と、ニューヨークタイムズベストセラーとなった絵本作家によって生まれたのは、無限の可能性を秘める子どもたちの豊かな心の世界を、子どもたちにも大人たちにも伝わるように描いてくれた絵本。それぞれのタイミングで、ふと手にしたくなる一冊になっていくといいですね。

白い鳥にさらわれた弟を連れ戻すため、ひとり森に入るマーシャ。待ち受けるのはーー出久根育さんが描く幻想的なロシア民話の世界『マーシャと白い鳥』

マーシャと白い鳥

再話:ミハイル・ブラートフ絵・訳:出久根 育

出版社からの内容紹介

白い鳥にさらわれた弟をつれ戻すため、マーシャはひとりで森へ向かいます。しかし森の奥には、魔女がいるのです。ロシアの民話。

夜明けの草はら、静かに目を凝らし耳を澄ませてみると……リズミカルな詩と美しいスクラッチボード画が織りなす自然への賛歌『蝶の目と草はらの秘密』

蝶の目と草はらの秘密

文:ジョイス・シドマン絵:ベス・クロムス訳:百々 佑利子 藤田 千枝

出版社からの内容紹介

人には見えないものを見ることのできる生物とは何か?泡のなかに身をかくす昆虫とは何か?ただ一つの生き物をのぞき、ほかの生き物たちすべてに有毒な植物とは何か?リズミカルな詩句による≪なぞかけ≫と、科学の知識をユニークに組み合わせた絵本から、草はらの隠れた世界を見つけてみよう!

名詞から形容詞まで600語以上のことばが大集合!見開き一面に並ぶシンプルで美しいイラストがアートとしても楽しい『ことばじてん絵本』

ことばじてん絵本

作・絵:とだ こうしろう

出版社からの内容紹介

その数なんと、600語以上!幼児が初めて覚える大切なことば、楽しいことばが大集合です。

大判サイズのこの絵本、見開き一面にことばとイラストが並ぶ様子は、おもしろさ抜群!五十音順に並んでいるので、とても見やすい!名詞から形容詞まで網羅する、ことばの豊富さも魅力です。巻末には「お買い物のページ」、「着るもののページ」など、子どもたちがワクワクするページも充実しています。

ことばに親しむ、覚えることはもちろん、ことばを活かした豊かな世界へ子どもたちを誘ってくれる1冊です。

子どもも大人も、どんな気持ちも。『ハグして ぎゅっ!』で、きっと伝わる!カラフルで温かなイラストで描かれる「ハグ」のコミュニケーション

ハグして ぎゅっ!

作・絵:ナンシー・カールソン訳:なかがわ ちひろ

出版社からの内容紹介

「ハグ」は、「抱きしめる」という意味。大切な人を「ハグ」してみませんか?
言葉にしなくても、きっと気持ちが伝わります。
いじめや虐待への提言としても、思いやり心やコミュニケーションの大切さ、たくさんの「ハグ」が、毎日の生活をよりよいものにしてくれることを教えてくれる絵本です。

オオカミたちが凶悪なブタに狙われる?!ヘレン・オクセンバリーのユーモアあふれるタッチが楽しい「3びきのこぶた」パロディ『3びきのかわいいオオカミ』

3びきのかわいいオオカミ

作:ユージーン・トリビザス絵:ヘレン・オクセンバリー訳:こだま ともこ

みどころ

あるところに、3びきのかわいいオオカミがおかあさんと一緒に暮らしていました。ある日おかあさんは、家を出て自分たちの家を作るよう3びきに言います。「でも、わるいおおブタには気をつけるのよ。」
まず3びきはレンガの家を建てますが、わるいおおブタがやってきて、ハンマーで家を壊してしまいます。このわるいおおブタは、もう悪いのなんのって、次に建てたコンクリートの家は電気ドリルで、その次にもっと丈夫に鋼鉄と鉄条網で建てた家はダイナマイトで壊してしまいます。
命からがら逃げ出した3びきのオオカミが次に建てたのは、なんと花の家でした・・・。
ご存じ3びきのこぶたのパロディ作品、なのですが、このお話しの展開は実に秀逸で楽しめます。最初のページから子ども達はクスクス笑いだし、おおブタの悪者ぶりとオオカミたちの慌て振りには大笑い、読んでいる大人の方もついつい力がこもってしまいます。お話し会でも人気のこの作品、文章は長めですので、大勢に読むなら小学生におすすめします。園や学校にはもちろんのこと、ご家庭の蔵書にも加えたい傑作です。

橋を渡る3びきのヤギの前に立ちはだかるトロル、勝負のゆくえはーー?クラシカルなイラストが印象的なノルウェーの昔話絵本

英日CD付 英語絵本 三びきのやぎのがらがらどん THE THREE BILLY GOATS GRUFF

作・絵:マーシャ・ブラウン訳:瀬田 貞二

出版社からの内容紹介

原文のもつ、リズミカルなことばが魅力。物語の神髄をつかんだ北欧の昔話をもとに絵本にした代表作。1957年にアメリカで、1965年に日本で刊行され、多くのこどもに愛され親しまれている作品です。

冬の眠りから春のにおいで目を覚ます動物たちの喜び。マーク・シーモントの表紙絵が優しいロングセラー、坂本美雨さんの語りで『英日CD付 英語絵本 はなをくんくん THE HAPPY DAY』

英日CD付 英語絵本 はなをくんくん THE HAPPY DAY

著:ルース・クラウス絵:マーク・シーモント訳:きじま はじめ朗読:坂本 美雨

出版社からの内容紹介

ゆき深い森の中,ねむっている動物たち。
春の気配を感じて目をさまし,はなをくんくん,かけだします。
こどももおとなも春がまちどおしくなる絵本を,坂本美雨さんのやさしい英語と日本語で。
英語絵本1冊に,英語・日本語の朗読CD1枚と日本語対訳ガイド付属。

文:竹原雅子 編集:木村春子