会話も仕事もうまくいく気楽な考え方――ラジオ構成作家初著書『だから僕は、しゃべらない』出版記念インタビュー

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公開日:2023/8/17

一番『伝わる』会話のコツ だから僕は、しゃべらない
「一番『伝わる』会話のコツ だから僕は、しゃべらない」(永田篤/KADOKAWA)

「もっとうまくしゃべりたい」「なんで自分は仕事で活躍できないのだろう」頑張っていると、悩みや反省はつきものですよね。しかし、考え方をほんの少し変えるという違うアプローチで、そんなトラブルを解決できるかもしれませんよ。

 今回は、「一番『伝わる』会話のコツ だから僕は、しゃべらない」(永田篤/KADOKAWA)の出版記念インタビューとして、人気ラジオ番組を多数担当する構成作家・永田篤さんに、コミュニケーションを取る際に大切にしたい考え方を詳しく伺いました。

取材・文=伊藤

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口下手さんにも、しゃべりすぎる人にも、ラジオ好きにもおすすめ

――初著書の発売、おめでとうございます。今の心境や、周囲の反響はいかがですか。

永田篤さん(以降、永田):半年以上打ち合わせを重ね、自力で執筆をした、僕の構成作家人生の集大成なので、ようやく発売になってほっとしています。
 両親をはじめ、書籍をお渡ししたスタッフさん、パーソナリティさんに喜んでいただけるのがうれしいです。とあるパーソナリティの方には、「スタッフさんの裏話なんて、パーソナリティが知っちゃって大丈夫?」と心配されることもありましたが、大丈夫ですので! ぜひコミュニケーションに悩みを持つ方だけでなく、ラジオ好きの方にも読んでいただけたらうれしいです。

――第1章の「目立たなくても自分がMVP」や、第6章「気持ちが楽になる『考え方』」から、コミュニケーションにおけるメンタルコントロールの重要性を感じました。今日はぜひ、永田さんの「考え方」にフィーチャーして、コツを詳しく伺いたいと思います。

永田:ありがとうございます。第1章のこの箇所は、僕もこの本で特に伝えたかった部分なので、コミュニケーションをはじめ、仕事全般に頑張り過ぎているみなさんにリラックスしてもらえるようなお話ができたらと思います。

考え方ひとつですが、何か仕事が成功で終わった場合、自分が少しでも関わっていたら、誇りに思っていいんです。自分の心の中で盛大に自分を褒めてあげてください。
なんなら自分にMVPをあげてもいいです! 会議に参加していたら、何も発言しなくても「自分が邪魔をしなかったおかげでうまくいった」と考えるとか、「上手に資料を配布した」とか、「おいしいお茶を用意できた」など、拡大解釈して自分も力になったと思いましょう! 心の中では自分の一番のファンは自分、それくらいのポジティブな考え方のほうが、人生楽しめますよ。
(『だから僕は、しゃべらない』より)

反省は5秒で終わらせる

――それでは最初に、会話でうまくいかなかったり、仕事で失敗したりした場合、永田さんはどんなふうに対処しているかお伺いしたいです。

永田:僕の場合、1人で悩み続けるだけの反省は5秒で終わらせています。
 頭の中で理解できていたら、もうそれ以上反省を繰り返しても、何も生まれてこないと思っているからです。反省モードに入ると、考え方もネガティブ寄りになってしまい、脳のキャパシティも狭くなり、頭が働かなくなっていきます。

 もちろん、怒られた場合、反省を全くしなくていいわけではありません。僕も、番組後の反省会では、自分が気づかなかったことを周りの方の意見で気づかせてもらえることもたくさんあります。よりいい仕事をするために、ある程度の反省は必要です。

 しかし、失敗には自分の行動だけじゃない外的要因がたくさんあります。自分が完ぺきにしていても結果的にうまくいかないこともありますし、自分が完ぺきじゃなくてもうまくいくこともありますよね。完全に1人で完結する仕事じゃない限り、自分が悩むことで上げられる成功確率はほんのわずかだと思っているんです。

 明らかに自分1人のミスで大事故を起こした、という場合だったらもう少しへこむかもしれません。今も覚えている若手時代のミスは、そういう類なのだと思います。でもそれも、構成作家の先輩が僕にまかせっぱなしで何もやってくれませんでしたし、命令を出すプロデューサーはとても怖い人で、周りの若手作家はみんなその人の前で委縮していました。都合のいい拡大解釈をしますが、あれは先輩やプロデューサーが悪いです(笑)。

――「自分一人のせいじゃない」と考えることで、かなり気持ちが楽になりそうです。1人で悩み続ける代わりに、どんな行動がおススメですか?

永田:自分だけの狭いキャパシティで悩まずに、もし悩みがあったら先輩にこういうときはどうすればいいのか、先輩ならどうするのか、どうしてきたのか、相談してみるのはどうでしょうか。もしかしたら先輩がご飯をごちそうしてくれるかもしれませんし(笑)。自分がどれだけ悩んでも答えが出せなかったことでも、先輩がひとことで解決してくれるときもあります。人から頼ってもらえることって、意外とうれしいんですよ。まあ、何の解決にもならない場合もありますが……。

――永田さんご自身も、先輩に解決してもらった経験はありますか?

永田:若手時代はたくさんありました。ギャラがどうなっているのか分からない仕事の時の伺い方とか、「いくらでやってくれますか?」とズバリ聞かれた時の答え方とか。お金の話ばかりですね(笑)。

 先輩ではないですが、今でも収録形式のラジオだとディレクターさんがいい感じに編集してくれます。収録で失敗しちゃったなと思っても、放送を聴いてみたら楽しくなっていることばかりです。自分の目線だと主役は自分ですが、どの現場でも自分はひとつのピースです。ラジオ以外のお仕事でも、周りがなんとかしてくれる、というくらいの自分を追い込まない気持ちでいたほうがいいのではないでしょうか。

80点を目指すことで健やかメンタルをつくる

――永田さんのこのメンタルは、ラジオでのお仕事で磨かれていったものなのでしょうか。

永田:それもあると思います。僕が主戦場としているラジオの世界は、毎週決まった時間に生放送が始まりますし、収録番組なら決まった時間内で録り終えないといけません。そこは絶対に守らないといけないこと。締め切りなしで最高の作品を作り上げるという環境なら100点の放送を目指していいですが、ラジオの世界に限れば、80点を出せたらいいと思っています。

――「80点」というのは単純な妥協ではなく、人生を健康で明るいものにするためのカギになりそうですね。

永田:僕自身、20年以上の構成作家生活を振り返っても、100点満点が取れたと思う仕事って、なかなかないんですよね。だったら80点でいいので、心も健やかに健康に、「すこけん」で仕事できたほうが長く続けられるんじゃないかと思うんです。考え方ひとつで楽に生きられるんじゃないかと思うんですよね。

 全力で100点を目指すのもそれはひとつの生き方なので尊重します。でも、80点を目指すくらいで、健康的な人生を歩むこともアリなのではないでしょうか。働き方意識改革です。

 世の中、何にでも「縛り」ってあるじゃないですか。締め切りや、ラジオの世界ならこの話はしちゃダメとか、逆に絶対にこの話をしないといけないとか。何の仕事にも何かしらの「縛り」が存在すると思いますが、それのせいにすればいいんです。今の条件で自分は80点以上を出した、縛りがなかったら100点を出せていたはずだ、それくらい自分を過大評価して、甘やかしていいと思いますよ。

――最後に読者の方へメッセージをお願いします。

永田:反省や悩みごとがあっても、そんなに悩まないでください! 人生はどうでもいいことだらけです! 人付き合いが苦手なら人付き合いを控えればいいんです。仕事が嫌なら職を変えればいいですし、給料をもらったらこんな楽しいことにお金使おうとか、そんなことを考えながら割り切って仕事をすればいいんです。世界は広いです! 楽しいことに目を向けて、日々を送っていきましょう! 気楽にいきましょう!