市販の品を使うか、自分で出し汁を引くか。それが読者の分かれ目? 【『saita』新編集長インタビュー後編】

生活

2017/6/7

6/7発売の『saita』最新号。特集は「ズボラ冷凍」

――新しい『saita』が想定している読者イメージがあれば教えてください。

若杉 実在の人物でイメージしている方はまだ特にいませんが、料理をするときに市販の品を日常的に使うか使わないかで読者層が分かれるかもしれないという話を、編集部員たちとしています。新しい『saita』は、たとえばお味噌汁に市販のだしをパパッと入れることに疑問も抵抗もない生活から卒業して、自分で出し汁をとりたいけど忙しい、どうすれば手早く簡単にできるだろう?ということをアクティブに考えるような読者を想定しています。

 小さい乳飲み子を抱えて余裕がなかった人も、子育てに少し余裕が出てくると、もう少し丁寧に料理したいという気持ちがわいてくる方が多いと思うんですね。つまり、自分の生活に本当に必要なものや欠けているものは何なのか?ということを考えはじめた方たちです。そういう方には、時短、節約だけではもう響きません。

――それは生活全般において言えることですね。

若杉 丁寧で快適な暮らしをテーマにしている雑誌もたくさんあります。でもわざわざ何かを買わなければできないことや、時間がある人や器用な人しかできないこと、今の生活スタイルをガラッと変えなければできないことは、『saita』でやる必要はないと思っています。誰でも、いつでも、どこでもできるが大前提ですから。

――リニューアル創刊号で、ヨーグルトを特集しようと思ったのは?

若杉 プロアマ関係なく情報発信している料理市場は、もはや飽和状態だといえるかもしれませんが、本質に目を向けたいと思っている人たちはまだまだ多いと思っています。ヨーグルトの特集を組むにあたってアンケートをとったところ、まずヨーグルトを毎日食べている人が多いことがわかりました。でもその方たちから、「ヨーグルトがカラダにいいことはもう知っています。でもどういう風に食べると美味しくて、料理でどういう使い方ができるのかがわからないので、そこを知りたい」という声が多く届いたんですね。その要望にこたえられるように一歩掘り下げた特集を組んだところ、共感の声をたくさんいただきました。

――いま大抵のことはインターネットで検索すれば調べられます。もちろん信憑性に欠ける情報も多く玉石混淆ではありますが、WEBの情報とはどう差別化していきますか?

若杉 従来の雑誌のつくりかたは読者の声を聞いて、読者のコミュニティに入って取材して、そこからネタを拾って広げてみんなが使える情報にしていくスタイルが基本でした。それが今はすべてWEBに移行して、WEB上で評価されたり、口コミで広がった情報をみんなで共有している状況になっています。その情報を雑誌で焼き直して伝えても新しさがないので、お金を出して買おうとは思わないですよね。つまり雑誌は情報を求められているわけではないと思うんです。

 では何を発信すればいいのかというと、それはたとえばスタイルの提案です。情報収集はスマホひとつで充分間に合っているけれど、溢れかえる情報を自分なりに取捨選択して、自分の理想のライフスタイルに上手く取り入れられずにフラストレーションがたまっている人は増えていると思います。そういう方に向けて、本当に信憑性のあるお役立ち情報を編集し、読み応えのある記事に料理して、ひとつのスタイルとして提案する。その腕とセンスを、私たち編集者はいま試されていると思っています。

――5月現在、リニューアルしてから3号が発売されましたが、手応えは感じますか?

若杉 創刊当初に読んでくださっていた読者で、リニューアル号以降買ってくださっている人が意外と多いのは嬉しいですね。当時20代だった読者はいま40代になって、まさにメインの読者層に入っていますから。もちろん、読者だけでなく書店さんや営業サイドから、いろんな声が耳に入ってきて勉強になります。編集長である立場上、軸はぶれてはいけないと自分に言い聞かせていますが、参考になることは柔軟に取り入れつつ、試行錯誤を繰り返しながら5年後、10年後、より多くの読者に支持していただける雑誌を目指して頑張りたいと思っています。

――現在、発売中の6月号には「もち麦」特集が掲載されています。「もち麦」に反応するかしないかで、読者がまた分かれそうですね。

若杉 もち麦は去年あたりから大ブームで、お店によっては行列ができるほど。そういった健康食に敏感な人に読んで満足していただける企画をお届けするのが新しい『saita』です。ちなみにこのインタビューが公開される頃に発売する7月号の特集は「ズボラ冷凍なら作り置きより簡単!」です。大ブームになったつくりおきの一歩先を行く内容となっていますので、ぜひ手にとってみていただきたいですね。

取材・文=樺山美夏

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