15歳でレイプ被害にあった元AV女優が伝えたかったこと【大塚咲さんインタビュー 後編】

社会

2017/8/4

『よわむし』(双葉社)

 15歳でレイプ被害に遭い、AV女優を経てアーティスト活動を続ける大塚咲さん。初めての著作となる『よわむし』(双葉社)は、もがき苦しみながら必死で生きた、大塚さんのこれまでが赤裸々に描かれている。

 今は「被害者としての自分はもう乗り越えた」と語る大塚さんだが、とても怒っていることがあるという。それは性犯罪被害者に対する、セカンドレイプともいえる自己責任論に対してだ。

 「『よわむし』を書いたことで、こうしてネット記事のインタビューを受ける機会がいくつかあったのですが、本を読んでいない人なのか『どうせ夜道を歩いていたんだろう』とか、まるで私に落ち度があるようなコメントが書かれていて。私が襲われたのは夜道じゃないし! この心ない書き込みに対して、私はもう傷つくというより『この愚か者!』と怒りでいっぱいになりますが、今苦しんでいる人にとっては、まさにセカンドレイプを味わう可能性がありますよね。被害者がコメント欄を見て傷ついてしまったら、私がしたかったこととは反対になってしまう。被害者の人には、記事は読んでもコメント欄は見てほしくないとすら思っています」

 性犯罪は、レイプに限った話ではない。痴漢やセクハラなど、身体を酷く傷つけられなくても被害を味わうものもある。そして多くの女性が、何かしら嫌な思いを一度はしているものだ。

 「私のところに来たメールに、『自分は痴漢されたぐらいですが』と書いている方がいたんです。被害の大小は心の傷の大小とは比例しないし、今あなたが傷ついているという事実に対して、私は問いかけたいし思いを伝えたい。だから『大塚さんに比べたら、私なんて大したことない』なんて言わないでほしい。私も小学生の時に痴漢に遭いましたが、すごく怖かったのを覚えています。今でも電車に乗る際、身構えてしまう癖が抜けません。道ばたで変質者に遭ってからは、怖くてその道が歩けなくなりました。女性が恐怖を感じるのは、決してレイプされている時だけではないんです」

タイトルは自分ではなく、加害者に向けたもの

 タイトルの『よわむし』は自分自身のことではなく、性犯罪が起こる社会の弱さに向けたものだと、大塚さんは語った。

「よく『これってあなたのことですか?』って聞かれるんですが、そうではないんです。犯人もそうですし性犯罪が起こる、女性の性に対して理解のない社会の弱さが、被害者を生み出しているのだということを言いたくてつけました。『弱さ』とかにしたら堅くなるなと思ったし、なにより『よわむし』という言葉がしっくりきて。ほら、『弱虫毛虫 はさんで捨てろ』って歌があるじゃないですか。あの歌みたいに性犯罪が起こるような弱い社会は、はさんで捨ててなくなってほしくて。でもこの歌って、20代の子に聞くと大抵『知らない』って言われるんですよ。もはや30代以上しか、わからないみたいですね(苦笑)」

 現在は女性のヌードなど、一貫してエロスが感じられる作品を発表しているが、AVの経験は「意外と生かされていない」そうだ。

「それよりは15歳の時の経験が大きいし、絵を描くのが好きだった、物心つく前の小さな私の好奇心が、作品に影響を与えている気がします」

 多くの性犯罪被害者にこの本が渡ることを願っているが、それは決して女性に限った話ではない。男性にも被害者はいるし、家族や周りの人にとっても、性暴力の罪深さを理解するツールになるのではないかと言う。

 「女性だけではなく、性犯罪の被害者は男性にもいると思うので、とくに女性に向けて書いたという意識はありません。またフラッシュバックなどの症状は、当事者にもなぜ起こるかわからないけれど、周りはもっとわからない。だから被害を抱えた人の家族や友人の多くが、どう対処していいのかわからない悩みを抱えていると思います。そういう人たちにとっての、ヒントのようなものになればいいなって」

▲大塚咲さんによる、セルフポートレート

取材・文=玖保樹 鈴

大塚咲さん トークイベントのお知らせ
『よわむし』(双葉社刊)刊行記念 大塚 咲 × 姫乃たま トークイベント
「女の子だった私たち。と、その後」
◆日時 8月10日 20時~22時(19時30分開場)
◆場所 本屋B&B
http://bookandbeer.com
(お問い合わせはB&Bまで)