古田新太「怒られるかもしれないというギリギリの線を攻めるのが、赤塚作品を深夜アニメでやる意義だと思ってます」

あの人と本の話 and more

2018/8/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、アニメ『深夜!天才バカボン』でバカボンのパパ役を好演中の古田新太さん。「大好きだ」と公言するマンガのこだわり、そして幼少時代からリスペクトしてやまない赤塚不二夫作品の魅力を、たっぷりと語ってもらいました。

古田新太さん
古田新太
ふるた・あらた●1965年、兵庫県生まれ。「劇団☆新感線」の看板役者として多くの人気作品で主演を務める。現在、『関ジャム 完全燃SHOW』にもレギュラー出演中。9月からは舞台『贋作 桜の森の満開の下』(野田秀樹:演出)に出演。また19年1月より放送のNHK-BS時代劇『小吉の女房』も控えている。
ヘアメイク:秋田あゆみ(fringe) スタイリング:渡邉圭祐 衣装協力:シャツ2万4624円(オーシークルー/オーシークルーTEL03-6314-5413)、Tシャツ4514円、キャップ3865円(WWE/ホビーショップバックドロップ℡03-3255-8701)、ショーツ1万4904円(レインスプーナー/伊藤忠ファッションシステムTEL03-3497-4418)(すべて税込)

 思えば、以前、古田さんがこの「あの人と本の話」のコーナーに出ていただいたときに紹介してくれたのも、グルメマンガ(そのときは『めしばな刑事タチバナ』)だった。

「食マンガが好きなんです。だからといって、おいらは食べることにそんなに興味はないんだけど(笑)。誰かが、ものすごい量を食べてるのを見るのが好きなの。この前も、ジャイアント白田くんやギャル曽根ちゃんとご飯を食べに行ったんだけど、隣で二人が食べてるのを見てたら、こっちの感覚が麻痺してきて(笑)。あっという間にカラになっていく皿を見て、ちょっとしたトリップ感がありました(笑)」

 今回すすめてくれた『喰いしん坊!』も同じ大食いを題材にしたマンガだ。絶対に人間の体には入らないだろうと思える料理が平らげられるところに、「カタルシスを感じる」と笑う。

「それだけじゃなく、面白いのが、土山(しげる)先生は食べ方に関するうんちくや説明も丁寧に描いているんです。熱々の肉まんを食べるとき、皮と餡をバラバラにして、皮は水に浸して飲み込みやすくしたり。それが理に適っているようで、……まぁ全然適ってないんだけど(笑)、妙に納得させられる。それがたまらんのですよ(笑)」

 古田さんは、子供の頃からいろんなマンガを読破してきた。特に好きだったのが、「ありえないだろ!」とツッコミたくなる内容のものだったそうだ。

「たまに、“このマンガはリアリティがない”っていう批判を耳にするんだけど、おいらに言わせれば、マンガなんだからリアリティがないほうがいいじゃん!って思うんだよね。とんでもなく非常識な主人公がいても、『こんなやつが実際にいたら、大変なことになるぜ?』って笑いながら読む。それが許されるのがマンガやアニメ、それに映画・ドラマ・演劇のいいところだと思うんです」

 この度、古田さんがバカボンのパパ役で出演している『深夜!天才バカボン』もそうだ。はじまりから終わりまで、ナンセンスさがビッシリとちりばめられている。それこそ、冷静な目で見てしまうと、何が常識で、何が非常識なのかがわからなくなるほどに。

「おいらは子供の頃から赤塚不二夫先生の作品が大好きで、すべてのキャラクターを模写していたぐらいでした。もちろん、『天才バカボン』も好きで読んでましたけど、赤塚先生の作品は後期になればなるほど、意味がわからなくなるんです(笑)。もうね、ナンセンス過ぎて、完全に小学生はついていけない(笑)。たとえわかる作品でも、改めて考えるとちょっとおかしかったりするし。だって、『もーれつア太郎』に出てくるブタ松親分なんて、子分がみんなブタですから(笑)。ポピュラーなウナギイヌだって、よくよく考えたら、『何者?』って感じでしょ(笑)。『天才バカボン』の本官さんも、絶えず町中でピストルを乱射しているし(笑)。いまのいろんなコンプライアンスを考慮したら絶対に描けないことばかり。それでもしっかりと“笑い”に落ち着かせているわけですから、そうしたバランス感覚やセンスは本当にすごいなって思います」

 今回のアニメの見どころを聞くと、「そうした、“いまやると怒られるかもしれない”というギリギリのところを果敢に攻めている細川(徹)監督の実験魂ですね」と古田さん。

「赤塚作品を深夜アニメでできるからこそ、やれることをどんどん取り入れてます。たまに収録してると、『この前のあれ、ダメになりました』って言われるので、“あ〜、怒られたんだな”って思いながら笑ってますけど(笑)。それに、なんといっても声優陣が豪華。本官役の森川(智之)くんや、レレレのおじさんの石田(彰)くん。それにウナギイヌ役に櫻井(孝宏)くんと、人気イケボ(イケメンボイス)声優がこぞって出てくれているんです。正直、いいのかなって思いますけど(笑)。また、バカボン役には入野(自由)くん。男性声優がバカボンを演じるのは、実はこれが初めてなんです。そしてママ役には日髙のり子さん。『天才バカボン』におけるママはほぼ唯一の女性キャラクターでして。だからか、少しセクシャルな部分を出そうと細川監督がたまに仕掛けるんです。それに対して日髙さんもちょっと悪乗りして演じたりするのも面白いです(笑)。本当に贅沢で、楽しい現場。ほかにも、びっくりするような豪華ゲストが登場しますので、ぜひ今後の放送も楽しみにして見ていただければと思います」

(取材・文:倉田モトキ 写真:干川 修)

 

『深夜!天才バカボン』

『深夜!天才バカボン』

原作:赤塚不二夫(『天才バカボン』) 監督・脚本:細川 徹 出演:古田新太、入野自由、野中 藍、森川智之、石田 彰、櫻井孝宏ほか テレビ東京ほか 毎週火曜、深夜1時35分より放送中
●赤塚不二夫の代表作を18年ぶりにアニメ化。監督はナンセンスギャグ演劇の旗手・細川徹。また、バカボンのパパ役に古田新太、ママ役に日髙のり子など、キャストを一新して、新たな世界観を生み出している。
(http://shinya-bakabon.com/)
(c)赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会