借金2000万円を10カ月で完済した営業マンの大逆転。じつは、みんな「すでにどん底」ともいえる【後編】

新刊著者インタビュー

公開日:2019/4/2

【前編】では、『ドMのあなたが人生を100倍楽しくする100のルール』著者の崎本正俊さんに、借金のいきさつと、どん底の経験を赤裸々に語っていただいた。【後編】では、どうやって大金を稼いだのか。そこからお話を聞いていく。

借金2000万円を10カ月で完済! どん底から這い上がるのに必要なのは「勘違いの才能」【前編】

◆才能とは、なにげなくやっていること

――年間売り上げ1億円を記録。具体的には、どうやって稼いだんですか?

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崎本 それまで何をやって一番お金を稼いだか、改めて考えました。僕の場合は営業だ、と。ただ、「保険に入ってください」というのから作戦を変えて、取引先3社をピックアップし、その会社を徹底的に豊かにしようと決めました。営業代行のようなこともして、それで利益が出たぶんを保険に変えてもらったり。

 一方で、困っている人の相談に乗りました。恋愛、起業…なんでもです。いろんな人に会って「お茶しよう」となったときに、悩み相談になって「ありがとう。助かったから奢るよ」と言ってくれたのが、ランチになり、夕食になり。こっちはお腹すいてるから、真剣に話を聞くし、なんでも解決します。だんだん「謝礼、受け取って」となって、別の困っている人も紹介してくれたり。

――やはり、営業という武器があったから、お金を稼ぐことができたのでしょうか。

崎本 僕は、営業が得意だったんじゃなくて、どんだけ人と会っても疲れない。しかも、ずーっとしゃべれる。ここだったんです。つまり、これが一番、価値提供できるもの。自分でもびっくりしましたよ。そんなんが仕事になるんか?って。だって、しゃべるの好きですもん。

――それで数万円は稼げても、数千万円となると、やはり特別な才能が必要かと…。

崎本 いやいや、基本はみんな一緒です。じつは才能って、案外、自分にとっての「普通」なんです。なにげなく、当たり前にやっていること。それが他人から見たら「すごい」となって、役に立ち、感謝されて、お金をくれる。金額の差は、その本気度と、お役立ち度、それから「理由」です。僕は2000万円の借金を1年で返すという理由があったから、そうなった。「月10万円、今の給料にプラスしたい。なぜなら…」という理由も素晴らしいです。

――その「普通=才能」が自分でわからない人はどうしたらいいですか?

崎本 過去を認めることです。「それまで何をやって一番お金を稼いだか」これもそう。つまり、過去の「できた」を認めていくんです。人は、自分のできないことばかり見てしまうんですけど、「できる」に光を与えた瞬間に自信を取り戻します。そこに才能も隠れています。

 小さい実績でいいです。僕も考えました。「保険の試験に受かったよな」「大学にも入れたやん」「小学校で生徒会の副会長やったわ」「そういえば、そろばん3級までいけたしな」「確か、何年生かまでは冬も半袖短パンで過ごしたな」そんなんでいい。人生って、何を切り取って、なにを編集して、どんなストーリーを描くかは本人の自由なんです。不幸なものばっかり切り取ったら「アカン」「ダメや」って、これがドMですよね。同じ人生から幸せなこと、できたことを切り取ったら100倍楽しいですよ。

――ただ、仕事となると、そんなに簡単にいくものでしょうか?

崎本 仕事やお金を稼ぐことは、難しいこと、大変なことを頑張って、さんざん苦労しないとダメって思ません? 僕もそう思ってました。けど、違うんです。普通に自分ができることをすれば、疲れないし、自然にうまくし、楽しいから、どんだけでも続けられて、結果、稼げます。わざわざ片足でケンケンしたり逆立ち歩きしなくても、普通に歩けばよかったんだ!ってそんな感じ。

◆お金のセルフイメージが上がれば、給料が上がる

崎本 みんな、お金をもらうことにも払うことにも抵抗を感じてますよね。僕も、昔は人に奢ってもらうのは情けないことだと思ってたし、謝礼という好意を受け取れなかった。でも、お金は循環なんです。造幣局に行ったらわかるけど、お金は印刷されてちゃんとある。それを、使わない、もらうのも拒否。そら、まわらへんよね。

――だって、自分のお金を使えば、口座残高は減るじゃないですか。

崎本 お金は一方通行だと思うでしょ? 「入る→使う→なくなる」怖いですよね。違うんです。「入る→使う→また入る→使う→入る…」一方通行に見える道は、じつはぐにゃーっと曲がって円になってます。だって、そもそも使えるってことは、お金があるからですよね。使っても、また稼げます。使ったぶん、必要なお金はまた入ってくるんです。「稼ぐ→使う→入る…」くるくる回っている感じ。

 僕、お金がない時は「使ったらなくなるからどうしよう」って勝手に考えてました。使う前から、です。だから循環が起こらない。つまり、自分でお金の流れを止めてたんです。そのブロックを外すことです。

――お金のブロックを外すためには、どうすればいいんですか?

崎本 欲しい、やりたい、と思うことにお金を使う体験がいります。ただし、昔の僕みたいに、自分をごまかすのは、だめです。欲しくないのに無理やり贅沢をしなくてもいいし、借金してまでっていうのも、おすすめしません。本当に欲しいものに手が届かないなら、まず貯めて、惜しまず使う。すると、また入ってきます。

――でも、サラリーマンの場合はお給料が決まっています…。

崎本 引き上げられるとか、高条件で引っ張られるとか、キャリアップしますよ。これもセルフイメージで、サラリーマンの人でもセルフイメージが変わったら給料は上がります。ただ、アテにするだけじゃだめですけど。そんな自分になるためにやるべきことをやっていれば、絶対に欲しい額が入ってきます。

――たとえば、年収3000万円でも?

崎本 できます、できます。でも、理由が必要です。3000万円を何に使うか。「なんとなく」だけで努力できるほど人は強くないので、「本当にどうしたいのか」という強い動機はいりますよね。たとえば、旅行が好きな人。「旅行に行く」と決めて、その明確な理由があるから、必要な額が用意できる。「お金があったら旅行がしたいな」という人は、なかなか旅行に行けません。僕は「借金を返して自信を取り戻す」と決めたから、それに必要なお金が入ってきました。

――どん底を経験したり、切実さがないと、お金も願いも叶わないんでしょうか?

崎本 僕、どん底にいきましたよね。今、借金全部返して抜けました。でも、今の僕も、未来の僕からしたら、どん底です。