借金2000万円を10カ月で完済した営業マンの大逆転。じつは、みんな「すでにどん底」ともいえる【後編】

新刊著者インタビュー

公開日:2019/4/2

◆「本当はみんな、すでにどん底」ともいえる

――えっ! まだ、どん底なんですか!?

崎本 ものすごく幸せに成功している未来のイメージから見たら、今の僕なんて超どん底ですよ。想像してください。未来のこうなりたい、こうしたい、目標でも、成功イメージでも、それを描いた瞬間、現状とギャップができませんか? 達成した未来から見たら、今、底ですよね。つまり、目標を設定すれば、どん底を経験しなくても、同じ思いは作れるんです。

――私も、どん底??

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崎本 話した通り、どん底は安定感ばつぐん。冷静に、純粋に「自分はどうしたいのか」を考えられる無敵の境地です。そこで自由に、まずは仮でも、漠然とでも、ワガママでもいいから、「本当に自分はどうしたか」に正直になったらいいと思います。しばらくして「違ったな」と思ったらまた変えればいいし。

――ワガママもいいんですか?

崎本 みんな、自分以外の人のために何かしようとしますよね。違うんです。最初は絶対に自分のためでいい。だって、集合写真をもらったら最初に見るの、自分でしょ? 「あ、目ぇつぶってる」「僕が?」「いや、私が」って。やっぱり自分に一番興味があるんですよ。そこにフタをして人のために何かやろうとするから、どっかに打算が入るんです。順番は、自分、そして他人でいい。徹底的に、自分、自分、自分ってやって「もう十分。この後、どうしよう」となった時に、他人のことを純粋に考えられますから。

――ただ、理想の自分と現実の自分。そこを比べて劣等感が出てきませんか?

崎本 自分vs自分の比較は、肯定的自己否定。いいことです。「理想はこうだけど、今はこう。じゃあ、こうしよう」が決まります。自分vs人の比較や劣等感は「あー、ダメだ」で終わりです。

 しかも、理想の自分と今の自分、だんだん比較じゃなくなってきます。理想の自分を持っていると、それが当たり前になってくるんです。たとえばお箸を使うのも、最初は難しいじゃないですか。でも、慣れれば当たり前でしょ? それと同じ感覚。どんどん勘違いして、その気でしゃべっていればいいんです。

――なるほど。それで、借金を返した後、どうしたんですか?

崎本 もう一回、「どうしたいんや」と考えたんですね。僕は、お金を稼ぎたいんじゃなかった。自分のやりたいことが自由にできて、みんなと美味しいものが食べられて、誰かがお金ない時は「いいよ、僕が出す」と言える人間になりたかった。僕には保険というビジネスがあって借金を返すことができたけど、それを続ける理由は、なくなったんです。それよりも、自分が経験したことを伝えたり、相談にのったり、他人の人生に本気になるってことを続けていきたいな、と思って、セミナー講師にシフトしました。

――借金を返すと決めた時にイメージした通りになりましたね。

崎本 そうですね、ただ、僕の体験を一方的にしゃべるというより、一人ひとりと会話して、その人の「どうしたい」を一緒に見つけて、「できない」の言葉を「できる」に変えいく。そして全体を通してみんなでいろいろ気づく。そんなアカデミーのような形式でやっています。そこでの僕の問いかけや、こんな考えもあるよね、とか、そういう言葉の中からみんなが心に刺さったものを選んでくれて、それが本になりました。

――最後に、孤軍奮闘しているドMのみなさんにメッセージをお願いします。

崎本 自分を愛することですべてはうまくいく、ってことを知って欲しいです。僕がそうだったじゃないですか。劣等感ばっかりで、自分を疑って、自信がなくて。そもそも、愛とかわからなかったけど、要は、すべての自分を受け入れるってことです。自分で自分のことを「よくやってる」と常に思えるか。やっぱり、自分の中に、ありたい姿とか、なりたい自分ってあるはずですから。それを大事にして、本当の意味で自分らしく生きたら、一気にうまくいきます。みんな、誰でも、絶対いけます。だから安心して自分を認めて欲しいです。

取材・文=深谷恵美 撮影=内海裕之

【プロフィール】
崎本正俊さん
株式会社Growup代表取締役、ブレインコミュニケーション協会代表。
1973年大阪生まれ。大手損害保険会社に代理店研修生として入社し全国トップ成績で独立。やりたいことがわからず、結果的に借金2000万円になる。自信を取り戻すために返済を決意して10カ月で完済。自分らしく生きること、他人の人生に本気になる生き方を伝える講師として活動。法人向けには、新人研修、営業研修、マネジメント研修を行う。