『私の初めて、キミにあげます。』西沢5ミリインタビュー

マンガ・アニメ

2019/7/22

 Twitterで発表したイラストやマンガがバズりにバズり、初単行本『私の初めて、キミにあげます。』(KADOKAWA)を上梓するに至ったマンガ家の西沢5ミリさん。ぐいぐい迫ってくる一途な“攻め女子”(しかもかわいくてたいてい巨乳!)が人気のひとつ。けしからん妄想を炸裂させる作品はどのように生まれるのか? 初インタビューを、ダ・ヴィンチニュースで敢行しました!

――3月に発売された初単行本『私の初めて、キミにあげます。』が、最近は電子書籍でかなり好調な売れ行きを見せているとか。

西沢5ミリ(以下、西沢) エゴサーチしている限りは好評をいただいているようで、ほっとしています。中高生がけっこう買ってくれているらしくて、それもすごく嬉しい。だってこの本、1000円もするんですよ。中高生にとってはけっこうな大金じゃないですか。対価にみあうだけ、楽しんでいただけてたらいいんですけど。

――書籍には、Twitterでとくに好評だったエピソードの後日譚が収録されていますね。

西沢 描きおろしを入れようと言われたとき、私から描きたいって言いました。でも実はすごく不安だったんです。とくに、オクテな眼鏡男子と清楚系の巨乳ちゃんの話(「Chapter04:65年を君と」)では、結婚して死ぬまでを描いたので、上滑りしないか心配で。ほら、ベタって難しいじゃないですか。

――たしかに。広く万人に突き刺さりますけど、一歩間違えると、サムくなっちゃいますからね。

西沢 でも、わりと受け入れてもらえてて、よかったです。私の作品を好いてくれる人って純粋で優しい人が多いんですよね。物事をあんまり斜めに構えて見ない。ときどきいたりもしますけど、まあ、好みは人それぞれだからしょうがないなって思います。万人に好かれるのはなかなか難しい。

――描かれているカップルがみんな一途で、ピュアないちゃつきが尊くて、でもちょっとエロい。こんなふうに恋ができたら幸せだな~と読むたびにやにやしちゃいます。

西沢 基本的には、やわらかくて優しい世界を描きたいと思っています。好きな人が自分を一途に好きになってくれてずっと幸せって、理想じゃないですか。「お前らこういうの好きだろ?」ってやや煽りながら描いている面もあります(笑)。だって私は大好きだから。

――大好きです(笑)。それと、いいなあと思うのは、西沢さんの女の子への愛が炸裂しているところ。ころころ変わる表情とか、やわらかそうなボディラインとか、女性にとっても魅力的なんですよね。

西沢 昔からゲームをしていても男性キャラには目もくれず、女性にばかり夢中になっていました。今も女の子を描くのが大好きで、本当は、女の子しか描きたくない(笑)。そのせいか、百合マンガも描いているんですけど、そっちのほうがおもしろいって言われることも多いです。

――やっぱり積極的な女子が好きなんですか?

西沢 うーん。現実にはまったりした子が好きだけど……フィクションだと、行動的な女の子はやっぱり見ていてかわいいんですよね。中高生の頃、『いちご100%』(河下水希)ってマンガにドはまりして、主人公の男子に4人の女子が恋をしてバトルするラブコメなんですけど、私の推しは眼鏡をかけた大人しい女の子だった。タイトルも彼女に由来してるし、最初は彼女がメインヒロインだったはずなのに、おとなしすぎて全然行動にうつさないから、最終的にサブヒロインが主人公を勝ちとっちゃったんです。当時は納得いかなかたんですが、大人になったいま読みかえすと、「好き」をあらわにして行動する子はやっぱりかわいいし、迫られたらみんなこっちを選んじゃうよ、って気がついて。それからは、積極的な女子ばかり描いていますね。物語を動かしやすいっていうのもありますけど。

――読んでいても憧れますしね。自分もこれだけかわいくてスタイルがよかったら、好きな人にぐいぐいいけるのになあ、って。

西沢 まさに、その想いで描いています。私の描く女の子たちは基本、自信があるから臆さない。私が美少女だったら男女問わずめちゃくちゃにたぶらかしたいという欲望があるので、それを漫画で解放しています(笑)。

――自信はあるけど、誰もかれもに好かれようとするんじゃなく、自分の好きな人にふりむいてもらうため武器になるものはなんでも使う!って感じの潔さがいいんですよね。

西沢 現実ではなかなか、嫌われちゃったらどうしようとか、私なんか……とか思って、実行できませんからね。

――物語はいつも、どんなふうに生まれるんですか?

西沢 まずはセリフですね。もともと私はゲーム会社のイラストレーターで、ふと浮かんだセリフとかシチュエーションを一枚絵にしてTwitterにあげてたんですけど、それじゃ表現が追いつかないからマンガを描くようになった。だから、浮かんだセリフを効果的にみせるにはどうしたらいいんだろう?と前後をかためて、お話にしていく感じです。たとえば1話目の、マンガ家とアシスタントの話は、「この身体! 360度資料取り放題です!」っていうのがやりたくて。2話目は、猫かわいー!!!ってデレてる先生が男子高生の存在に気づいたとたん、すっと真顔に戻る、っていうところから。3話目のJKとおじさんは「女子高生と付き合うアラサーなんてろくでもないぞ!」ってセリフが言わせたかった(笑)。

――意外な場面が起点なんですね(笑)。

西沢 4話目は「女の子の肌を下からなぞるなんて絶対しちゃいけないことだよ…!」ってやつかな。それは昔、バイト先の先輩が彼女に言われたらしくて、私も「そうなんだ、確かにな」って思ったのが印象に残ってて。誰かに言われたことがきっかけになることは多くて、たとえばTwitterで最初にバズったイラストは、ギャルっぽい後輩が「爪の長い男は絶対彼女いないっすよ」って言ったのを描いてみたんです。そうしたら「俺は彼女いるけど爪長いよ」とかいろんな意見がリプライで飛んできた。リツイートしたあとにコメント入れやすいワードを入れておくとバズりやすいんだなあ、と勉強になりました。

――戦略的……!

西沢 バズるツイートには何があるのか、逆に炎上する人は何が問題なのか。とにかくTwitterを観察して、立ち居振る舞いは勉強してます(笑)。自分のイラストも、全然反応してもらえなかったときは、なにがだめだったんだろうと自分なりに分析して、次からはその要素を外すようにする。試行錯誤を重ねた結果、たくさんの人に読んでもらえるようになったのが嬉しいですね。

――たとえば、だめだったのはどんなマンガなんですか?

西沢 ブスな女の子が恋するマンガとかかな。私的には、あまりにブスに描くのもなあと思って軽めにしたんですけど、それが「全然ブスじゃないじゃん」って言われてしまって。男の子との関係性もいまいちだったんだと思いますけど、中途半端なことをすると誰の心にも届かないんだなと思いました。だったらいっそ、ものすごくかわいい女の子たちを描いたほうが、読者も理想を投影できる。だから今は、自分のフェチをつめこんで、突き抜けるようにしています。私の「描きたい!」って強い気持ちと「こういうの好きだろ?」っていう読者に対する想いと、両方がバランスよく描きたいなと思っています。

――単行本化に際し、西沢さんが顔出しされたことも話題になりました。男性だと思っていた方も多かったのでは。

西沢 不思議なことに、絶対男だ!っていう人と、女でしかないやんって人と、真っ二つだったんです。感じ方は人それぞれでおもしろいなあと思いました。絶対に童貞のおじさんだって言っている人もいたし(笑)。

――女子のディテールがめちゃくちゃリアルなので、女性か、あるいは身近に親しい女性のいる男性だと思ってました。「Fカップは巨乳界で最弱」っていうのもよかったです。世の中で描かれるCカップ、Dカップは巨乳すぎだろ、幻想あおらないで……!と思ってたので(笑)。

西沢 そうですよね(笑)。顔出しするのはけっこう勇気がいりました。いろんなところでまとめられているので、あれこれ言われるのがつらいときはありますけど、宣伝になるときはしようかなあと思っています。

――今後、描いてみたいものや挑戦したいことはありますか?

西沢 なんでもやりたいんですよ。動画もつくりたいし、pixivFANBOXもいろいろ企画していきたいし。あと、いつか自分のデザインしたキャラクターが動いているところが見たい。アニメ化・フィギュア化は夢ですね。CMのキャラデザインもやってみたいし……。飽き性だから、ずっと同じことをやっているとつまらなくなっちゃう。思いついたことは全部やって、それが読者のニーズに合致していけばいいなと思っています。

――長編マンガは描かれないんですか?

西沢 課題なんです。どうしても単発モノばかりになっちゃうから、連載ができない。あ、でも同人誌で描こうと思っているテーマが、もしかしたら長編でいけるかも……と思っていて。「腐男子VS百合豚女」っていうんですけど。

――すごいタイトル(笑)。

西沢 かなり昔に描いたものが、最近パソコンから発掘されて、おもしろいじゃんって。百合マンガも長編でやってみたいな。今は優しい世界ばかり描いているけど、百合にはちょっとドロドロしたものも入り混じることが多くて。それをクローズアップしていきたい。とはいえ、今の作風でもどんどん描いていきたいですけどね。現実には一人の人とずっと……っていうのはなかなか難しいし、浮気されることもある。苦しい恋愛をしている友達も多いけど、世の中にはおじいちゃん・おばあちゃんになってもラブラブな夫婦がどうやらいるらしいから、そういうのどんどん読んで癒されていこ!って(笑)。

――登場人物が多くなるとどうしても三角関係とか発生してどろどろしちゃいますけど、西沢さんの描く幸せな群像劇も読んでみたいです!

西沢 とりあえずは、今回の『私の初めて、キミにあげます。』キャンペーンに参加すると、読者が希望するシチュエーションを抽選で選んで、私が描きおろすことになっているので、それを楽しみにしていてくださいご参加待っています!

取材・文:立花もも、写真:冨永智子

■「あなたの好きな娘キミにあげます!西沢5ミリイラスト&ギフト券プレゼントキャンペーン!」

キャンペーン詳細や参加申し込みはコチラ→ https://mkt-kadokawa.jp/campaigns/23339
※締め切りは2019年8月11日(日)23時59分まで