withコロナの世界でかわる「結婚式」とは? 『ゼクシィ』編集長に聞いた!

恋愛・結婚

2020/6/23

 コロナ禍が変化をもたらしているもののひとつが、恋愛・結婚事情だ。「こんな人だったんだ…」と良くも悪くも相手の本質的な部分が見えて、旦那候補の見極めがしやすくなったり、これまで予想もしなかった生活下で、ひょんなことから電撃交際につながったりと、“コロナ婚”も話題になった。一方で、泣く泣く結婚式を延期、あるいは断念したカップルも少なくない。はたしてwithコロナの世界で「結婚式」はどう変化していくのだろう。『ゼクシィ』の平山彩子編集長にウエディング業界の最新事情を聞いた。

状況が読めない中で、できることをひとつずつ

――コロナを受けて『ゼクシィ』ではどんな動きがありましたか?

平山彩子編集長(以下、平山) 3月の初めくらいから「結婚式延期」を考える方が増え、我々も状況の変化を耳にするようになりました。その時点ではまだ「オリンピックの前くらいには収束するのでは」と考える方も多かったですし、今考えれば私たちことの深刻さを捉えきれていなかったように思います。その後一気に状況が変わり、延期するにも時期や対策などまるでわからない事態になり、『ゼクシィ』として少しでもお役にたてるようネットを中心に情報発信していくことになりました。

 一方で私自身は雑誌版の編集長をしているので、正直無力さを感じていましたね。記事の制作時点と発売時点(4/22)では感染状況にもタイムラグがあって、こういうときに紙メディアにできることは何なのか迷うことだらけで。なんとか「新郎新婦に悩んでいるその気持ちもを含めて、寄り添いたいと思っている」という想いだけでも伝えたいと、最後の最後に表紙とCMと中吊り広告に「どんなときでもゼクシィは結婚を決めたふたりを心から応援しています。」とメッセージを追記しました。それがコロナを受けての一歩目です。

 それから「相談カウンター」をオンラインでもできるように整備したり、多くの方が直面するお悩みに答える記事を作ったり。微力ではありますが、私たちのスタンスを明らかにして、無責任にならないようにやれることを一歩ずつやっている感じです。

――現在の状況について、『ゼクシィ』はどう発信していますか?

平山 状況がどんどん変わりますし、エリアによって意識や環境にも違いがあります。我々から「こうするといい」と統一して発信するのはやはり難しく、実際に式を執り行う式場と結婚されるおふたりが相談しながら対策・ご判断いただかなくてはいけない状況ではあります。現時点では緊急事態宣言の解除後にBIA(公益社団法人日本ブライダル文化振興協会)が示したコロナ対策のガイドラインを受けてブライダル関連各社が取り組みをはじめているところで、たとえば密にならないように挙式を3部制にして一度に集まる人数を少なくするとか、収容人数を半分にするとかいったアイデアも出てきており、私たちもそうした取り組みを今後積極的に発信していく予定です。

 また「安心で笑顔あふれる結婚式をお手伝いすることを誓います」という想いをひとつに大手結婚式場18社と共に『ニューノーマル・フォー・ハッピーウェディング』という7つの指針(※)を発表することになりました。その指針に全国の結婚式場に賛同いただくことで「安心な結婚式ができる状態」を作っていき、結婚式を検討される方々にもわかりやすく示していければと考えています。そのほか新しい結婚式アイデアの情報連携をすすめるなど、探り探りではありますが、少しでも結婚するおふたりとゲストが前向きに結婚準備や結婚式を楽しめるような取り組みを、ウエディング業界のみなさんと発信していきたいと思います。

コロナ時代だからこそ意識したいポイントとは?

――挙式を考えているカップルは、こういう時期だからこその具体的なノウハウも欲しいのではないかと思います。たとえば「いい式場を選ぶコツ」はあるのでしょうか?

平山 これまで式場選びは会場に直接足を運ばなければ難しいという点がありましたが、現在は各社がオンライン相談などの対応も実施されているので、まずは気軽にそういったフェアに参加してみるのもおすすめです。大事なことは、事前に聞きたいこと・気になることをピックアップしておくこと。そうすれば確認しやすく比較検討もできますし、最終的に会場に足を運ぶことで2段階の確認も可能になります。また気になることを先に伝えておくことでプランナーさんの提案の精度も高めまりますし、効率よく進めることができると思います。

――ほかにもこうした状況だからこそ気をつけたいポイントはあるでしょうか?

平山 まず心配なことや対策については、ぜひご自身のゲストの顔を想像して会場と相談してみてください。「あの人はこういうことが気になるかな」とお一人お一人の表情が浮かぶのは結婚式をされるお二人ですから、なるべく具体的に相談しておくといいと思います。あわせて「招待されるゲストの方々に対するアナウンス」は丁寧に。「こういう対策をしています」と伝えたり、どんな気持ちで実施に至ったかを伝えたりすればゲストの方も安心するのではないでしょうか。また参加が難しいという方にも「難しい場合は言ってほしい」とまっすぐ伝えるなど、負担をかけない誘い方をするのも大切だと思います。

 あとは両家の考えをしっかり確認しておくことでしょうか。オンラインで両家の顔合わせをして会話が盛り上がったという方もいます。もちろん特別な状況ではあるもののこれを逆手にとるというか、コミュニケーションをとる気軽さも追加されているので、楽しみ方も増えていると思っていただくといいかもしれません。

――確かに、こんな時期だからこそ「新しい楽しみ方」を見つけるのは大事ですね。

平山 結婚式でやりたいことを「あきらめた」という形にならないように、できるだけやりたいことの本質の部分を守りながら、形を変えられるものは変えていくという感じなのだと思います。例えばデザートビュッフェを実施したいおふたりのために、どうすれば安全対策ができるかと考え、トングを人数分用意することや、デザートにひとつひとつにカバーをつけることなどを検討されているといった話も聞いております。

 もちろんお金がかかってしまうこともありますが、アイデア次第でできることはあるし、逆におもしろくなることも絶対にあるはずです。「前のこれよりこっちが絶対おもしろいよね!」とプラスの転換ができるように、『ゼクシィ』も率先して発信していきたいと思っています。

 ほかにも今までなかったサービスも増え、それはこれからも加速すると予想しています。すでにオンラインでの結婚式も実施されていますし、ご祝儀の電子決済もはじまっています。大事なことは残しつつ「もっとこうだったら便利なのに」ということが現実になり、最終的には「やりやすい結婚式」の姿が見えてくるのではないでしょうか。

コロナによって変わる「結婚式」への意識

――コロナによって「結婚式」への意識そのものにも変化がありそうでしょうか?

平山 今回のことで、お互いの家族、そして親しい人たちを思いやる量がすごく濃縮されたものになっていますし、それによって式自体が「濃い時間」になるのではないかと感じています。「 結婚式に集まってくれたゲストはこの後の人生でも大切につながっていきたいよりどころ=セーフティネット的コミュニティ」という感覚が強くなるように思います。

 結婚というのは、社会的に特に男性が一人前と認められる一つの条件ととらえられるような時代もありましたが、今はそんな時代ではありません。生活の安定だけでなく、「自分にはここがある」と思える強い土台であり、ミニマムなセーフティネットが夫婦ですよね。夫婦のそれぞれには今まで積み重ねてきた人間関係があり、これがつながることで2人のセーフティネットになっていくというのが結婚の構図ではないかと思います。

 一方で夫婦になったことではじまるコミュニティもあるし、それらがさらにつながって2人に強さを足していく。今までの流れにもあった構図ではありますが、今後はそうした意識がさらに強くなっていくように思います。

――インスタ映えする見せる結婚式より、ベーシックな人間関係をより重視する「原点」に戻るということでしょうか。

平山 昔は、披露宴という言葉にしめされるように、結婚式には「経済的観点でみる社会」で一人前になったことを見せる意味合いも含まれていたように思います。そうではなくて、より「生活者観点でみる社会」とのつながり、「公私」の「私」の部分に重心が移ってきているのではないでしょうか。そのため披露というよりは、社会の中での自分たちのつながりをきちんと宣言したり、お互いを紹介したりといった土台作りをする場としての役割を結婚式が担っているように思います。

 おそらくかつてのような「きちんとさ」みたいなことはそれほど重視しなくなる人も増え、より気軽さが出て、それがさらに楽しみにつながることもあるでしょう。大切な友人やご家族が楽しく思い出話をしたり、ときには感謝の気持ちを伝えたり、一緒に美味しいものを食べたり、歌ってみたり…そんなことのできる場が楽しくないわけがない。結婚式の本質もそんなふうに捉えられていくのだと思います。

――最後に、こうした状況の中、挙式を悩まれている方に向けてメッセージをお願いします。

平山 誰もがこの自粛期間に、自分が普段は意識しないことにすごく支えられていることとか、人と会って笑顔が見たいとか、どうでもいい話をしたいとか…さまざまなことを感じられたのではないかと思います。そんな中であらためて実感した「すごく大切で大好きな方々」と、笑ったり泣いたり一緒に何かしたりできる機会なんて実はそんなに多いものではありません。タイミングや方法、対策など、考えなくてはいけないことはたくさんありますが、おふたりと大切なゲストが「おめでとう」「ありがとう」を存分に伝えあえる時間をもっていただきたいですし、その日に向けてできる工夫をゼクシィとしても発信していきます。

 やっぱり結婚式というのは大切な人と一緒に作る最大の思い出です。「あのときこうだったよね」と来てくださった方々とその後も会話できるなんてなかなかないことですし、そんなことが自分の「家族のはじまり」の瞬間に持てるというのは、長い人生において間違いなく価値のあること。あきらめることなく、ぜひ叶えていただきたいと思います。

1.安心して、笑顔あふれる結婚式を迎えていただくためにNEW NORMALな対応を積極的に行い、情報を発信します
2.大切な一日の延期・キャンセル対応について、事前に、丁寧にご説明します
3.準備のサポートにおいても、オンライン相談など安心できる距離感を保つ取り組みを実施します
4.式当日を安心して迎えていただくために、全スタッフの体調管理を行います
5.おふたりと、大切なゲストをお守りするために、施設・備品の衛生管理に取り組みます
6.「おめでとう」「ありがとう」を存分に伝えあっていただけるよう
館内移動・席次配置・その他プログラム提案を通じて、ソーシャルディスタンスの確保に取り組みます
7.さまざまな年代のゲストが集う特別な一日を、みなさまで心置きなく楽しんでいただくために列席者の方々へも感染拡大防止にご協力をお願いしてまいります

 結婚式は、事前のプランニングから当日までに約 10 か月の準備期間を要し、『ゼクシィ』が実施した「結婚トレンド調査2019」によれば、披露宴・披露宴パーティへの招待客人数は平均66.3 人にも上るそう。異なる立場・年代の大勢の人々が一堂に会する結婚式とあって、コロナの影響で4、5月に結婚式を挙げる予定だったカップルの7割以上が延期判断をしたという(「ゼクシィ編集部」調べ)。当初予定していたスタイルでの結婚式を実現するにも、事前案内などを通じた安全面の不安払しょくは必須だろう。そこで、『ゼクシィ』が発起人となり、結婚式場が主体のもと、新しい生活様式・New Normal な時代に安心・安全な結婚式を挙げるための土台を築くために業界一丸となって取り組もうと宣言されたのが「New Normal for Happy Wedding 宣言」だ。6月18日時点で1,350の結婚式場が賛同している。

取材・文=荒井理恵

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この記事で紹介した書籍ほか

ゼクシィ首都圏 2020年 8月号 【特別付録】ミニーハンディー扇風機

出版社:
リクルート
発売日:
ISBN:
4910056930809