草食系のザ・平成男子必見! 男の自信を身に付けられる本

更新日:2014/4/14

 “男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない”

 そう語ったのは、レイモンド・チャンドラーの生み出した私立探偵フィリップ・マーロウ。経営者ブログランキングで1位を獲得した人気ブログ『どっこい俺は生きている』の著者であり、CMディレクター・演出家・写真家・経営者として活躍している酒井靖之氏の『どっこい男は生きている』(粋人舎)で引用されている文章だ。本書は、彼の人気ブログを加筆修正し、書籍化したもの。

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 現代の男性に足りないものは「打たれ強さ」であると酒井氏は言う。打たれ弱い人は、成功することもできなければ、夢を叶えることもできないのだ。冒頭の引用には、そんな意味が込められている。

 確かに、そういった男子が増えているように思う。上司に叱られると、仕事を辞める。立派な志望動機を書いてきて、いざ仕事に臨めば、自分の生活リズムに合わない、向いていないなどと愚痴だらけ。挙句の果てに、何の連絡もなく突然来なくなる。

 自分本位の生き方を全うするのも、立派と言えば立派なのだが、今を生きる女子の目は特に厳しい。そんな場面にもし直面すれば、「情けない」と思わざるを得ない。周囲にいる人のことも考えるべきである。女子はやっぱり、たくましさに惹かれるものだ。

 本書は、そんな男たちに捧げたい、著者の経験から得られた知恵が満載のエッセイだ。バブル崩壊後仕事が一切来なくなったという、ドン底の3年間をがむしゃらに生き抜いてきた彼はまさに“努力の人”。そんな彼はこうも語る。「おもしろいことに自分が変わると人生もまた変わる」。やわらかな文体で書かれたその印象的な言葉の数々と美しい写真と共に掲載された詩は、男としての芯の強さと人間としての優しさが表れているようだ。

 また、『男の品格』(PHP研究所)、『「20代」でやっておきたいこと』(三笠書房)などの著者として知られる川北義則氏の『死ぬまで忘れてはいけない 男の生き方作法』(主婦の友社)にも、男が目指すべき生き方が説かれている。古くから受け継がれてきた日本人のモラルを守るという“気高い精神”。その伝統が失われつつあることを危惧し、改めてその美徳を訴えるべく「義」を中心に著者の経験談とともに紹介された1冊だ。

 「義」には、自分の損得を考えないという意味も含まれている。自分の不利益をも受け入れる潔さを持ち、「いいたいことをひとつ我慢する」など、具体的な実践方法も所収。武士道の精神から“できる男”の生き方が指南されており、独特の辛口な物言いで読者の闇に切り込んでいく。

 今の自分に自信がない、弱い自分から脱却したい……そんなことを考えている草食系にぜひ読んでほしい。世の女子たちからの、切なる願いである。

文=廣野順子(Office Ti+)