「今年こそ読書!」という人にオススメの著名人ブックガイド

更新日:2013/1/29

 世の中の活字離れが進んでいると言われて久しい。また、そうでなくてもこの不景気で自分の懐具合が寂しいとあれば、たとえ「年も新たになったことだし、今年は本を読もう!」と意気込んだとしても、一体どんな本からチョイスすべきか、迷うものである。

 そんな時世を反映してだろうか。最近はテレビなどのメディアで露出が高い知識人や著名人がこれまでの人生で強い影響を受けた本を紹介するブックガイド的な本や、その人物ならではの個性的な読書術を紹介する本を目にすることが多くなっている。

 たとえば最近だと『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)。ベストセラー『生物と無生物のあいだ』(講談社)の著者で知られる生物学者の福岡伸一が、温かみを感じさせる穏やかな調子で、自身の人生を歩みながらその時々で影響を受けた本を紹介していく。もとはというと、ジュンク堂書店池袋本店で約10カ月に渡って開催された同氏のチョイスによるブックフェアで紹介された中から100冊に厳選して書籍化したものだ。

 幼い頃に図書館で見た『世界の蝶―原色図鑑』(中原和郎、黒沢良彦/北隆館)に衝撃を受け、以来、自分が得た知識や教養をグリッド(格子)のように均一化された標本に落としていくイメージで収集するようになり、それにより自身の探究意欲をますます膨らませたことで、現在の生物学者の道に進んでいったという福岡氏。そんな自分は、目的地に向かう際に地図を見ながらたどっていく「マップラバー」で、興味あることを見つけるたびに、その根源を探し求めるかのように多くの本を消化していったという。

 本書では、著者がその半生を懐かしむように、本のタイトルが心地よく流れていく。そのジャンルは、自然科学に限らず、建築、進化、科学者、物語などさまざまなものがあり、最終的には自身が地図の概念を取り払い、気の向くまま感性を頼りに目的地に向かう「マップヘイター」に変貌していくというストーリーも堪能しながら、100冊に及ぶ本の魅力が刷り込まれる格好だ。

 これに対して、『1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド』(宮崎哲弥/新潮社)は、パワフルなコメンテーターとして知られる宮崎哲也らしく、怒涛の勢いで1ページにつき4、5冊の本を紹介していく。もともと『週刊文春』(文藝春秋)で2001年から2006年までの連載していたものを取りまとめたものであり、さすがに1冊で1000冊分を紹介するとなると1冊あたりの分量は少なくなるが、ワンテーマで数冊の本を一気に知ることができるという意味では、大変実用的だ。

 一方、ここ数年すっかりお茶の間の顔となった池上彰の『池上彰 世界を変えた10冊の本』(文藝春秋)は、まったく逆のスタイルで、1章につき1冊に絞ってじっくりと紹介している。しかも、こちらは今の世に出回っている本ではなく、聖書やコーラン、あるいは、マルクスの「資本論」といった人類の歴史上まさに“世界を変えた”思想に関連する本について、池上氏の口調そのままに丁寧に解説されている。

 他にも、『日経プレミアPLUS VOL.2』(日本経済新聞出版社)のような複数のビジネス系著名人が愛読書を紹介しているものや、著述家・編集者として知られる松岡正剛の『多読術』(筑摩書房)のように、インタビュー形式で松岡氏が読んできた本の数々を紹介するとともに、いかにして本の情報を自分のものにするかという方法論についても具体的に記されているものもある。

 こうしたブックガイドや読書術の本の存在は、「今年こそは本を読むぞ!」と思っていながら「でも、何から読めばいいのやら」と迷っている人にとっては、背中を押してくれるありがたい存在になりそうだ。まずは、自分にとってなじみのある人物にゆだねるつもりで、これらの本を読むことが、ワンランク上の読書生活につながっていくステップになるのかもしれない。

文=キビタキビオ