セレブの波は小学生にも!? 金持ちJSマンガが堂々登場

マンガ

更新日:2013/3/21

 『おぼっちゃまくん』(小林よしのり/小学館)をはじめとして、『ドラえもん』(藤子・F・不二雄/小学館)のスネ夫や『ハヤテのごとく!』(畑健二郎/小学館)の三千院ナギ、『ケロロ軍曹』(吉崎観音/角川書店)の西澤桃華、『遊☆戯☆王』(高橋和希/集英社)の海馬瀬人、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本 治/集英社)中川圭一など、金持ちキャラの人気は高い。もはや別次元ともいうべき非日常さが日常を生きる我々の興味をひくのか、ある種の憧れなのか、それとも単純に羨ましいだけなのか、その人気の秘訣は定かではないが、とても魅力的なキャラであることは間違いないだろう。

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 そんな金持ちキャラばかりで主要キャラを埋め尽くしたJS(女子小学生)マンガが先月、出版された。それが『しょーがくせれぶ』(中村カンコ/双葉社)だ。

 主人公は、国民的な子役スターの小野瀬めあり。貧しい生まれながらも、己の芸ひとつを頼りにのし上がってきた彼女は、日本有数の資産家令嬢のみ入学が許されたセレブな学園、白瀧学園に転入することになる。そこで待っていたのは、超セレブな同級生たちとの、非日常な生活。稼ぎはあるけど庶民派なめありは、金持ちたちの非日常さに驚き、ときには呆れながらも、ゆるふわな学生生活を送っていく。

 なんといっても、特徴的なのが、めありの同級生たちの金持ちっぷり。主要キャラだけでも、大人気ミステリ作家の娘・谷町あやめ、超有名なスポーツ選手を父にもつ鴨下はしる、親はIT長者の溝江こもも、そして祖父は大物政治家、父もまた政治家の大郷院桜子と、そうそうたる顔ぶれだ。ちなみに、このメンバーのほとんどがテレビを見たことがないという。なので、めありの顔も知らなかったんだとか。めありにケンカを売っているのか、庶民にケンカを売っているのかわからなくなる。

 そんなメンバーが揃っているので、学生生活も、そりゃあもう驚きの連続だ。たとえば、登下校で、牛車を使う娘がいたり、給食の時間になると校庭にヘリが着陸し、専門の料理人が姿を表せたりもする。遠足先の遊園地を丸ごと貸し切るのは序の口で、特別授業が「電車の乗り方」だったり(しかも、専用の駅・車両が用意されているという規格外っぷり)、授業参観なんて、保護者専用のスペシャルシートが用意され、ワイン・シャンパン・日本酒などのドリンクも豊富に用意されているし、来れなかった人のために動画配信サイトを使って授業を中継するというのだから、もうなんというか思わず絶句してしまう。

 極めつけは、遠足に行くためにクラスの全員を乗せたバスが、バスジャックされてしまったとき。2人組の犯人は、クラスの生徒を人質に、身代金を要求する。その額、“ひとり”1億円。馬鹿げた要求である。そんなもの、払えるわけがない。警察に任せるか、交渉するか、どちらにせよ、人質の安全を考えて慎重に行動を……。そう考えたあなたは庶民である。金持ちたちは、そんなことは考えない。額を聞いたとたん即振り込むのだ。躊躇なんて一切せず、なんだったら「安くね?」といった雰囲気すらも発しながら、金持ちな親たちは、犯人の指定した口座にじゃんじゃか振り込む。その様は豪快のひとこと。見てて気持ちがよくなるほどだ。

 その非日常っぷりは見ていて頭痛がしてくるかもしれない。しかし、そんな非日常も金持ちたちには日常で、ただ当然のことをやっているにすぎない。そこで、拳を握りしめるか、憧れを抱くか、素直に感心するかはあなた次第。だけど、もし将来、あなたが金持ちになって、どのように振る舞えばいいのかわからなくなったときは、この作品で描かれていることが参考になる、のかもしれない。