『魔女の宅急便』作者のエッセイ集が27年越しに改稿復活!角野栄子が「魔女」の正体に迫った『魔女のまなざし』

文芸・カルチャー

公開日:2024/4/3

魔女のまなざし
魔女のまなざし』(著:角野栄子、イラスト:くらはしれい/白泉社)

 作家の角野栄子が「魔女」について記した1997年刊行の著者初めてのエッセイ集に改稿、描きおろしを加えた新たな一冊『魔女のまなざし』が、2024年4月3日(水)に発売された。

 角野栄子は、スタジオジブリで映画化もされた『魔女の宅急便』の原作者。主人公・キキの成長物語を描いた同作とは異なり、『魔女のまなざし』では、かつて実在したとされるリアルな魔女にまつわるエピソードが紹介されていく。

 今ではあまり知られていないかもしれないが、昔は世界各地に魔女がいた。とはいえファンタジー作品のように杖から魔法を放つような超常的な存在ではなく、もっぱら呪術や薬草に精通していたという。ちなみにドイツでは、年に一度「ワルプルギスの夜」という魔女たちの祭りが催されており、『魔女のまなざし』でも角野が現地を訪れた際の体験談が綴られている。

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 ほかにもルーマニアの奥地に住んでいたという“半分魔女”の老婆へ会いに行った旅路の記録や、魔女の“ごちそう”についてなど、同作には興味深いエピソードが盛りだくさん。

 そして今回リリースされた『魔女のまなざし』では、イラストを『こねこのトト』や『王さまのお菓子』などで知られる絵本作家・くらはしれいが担当。

 巻末には「あとがき」に代えて角野が1992年に行ったルーマニアの旅を改めて振り返る「いたずら書きのような旅をする」が新たに追加された。こちらは「魔女と薬草」や「魔女のごちそう」の項で触れられているエピソードを補完する内容となっている。

 さらに「カラフルなおしゃれ」や「好きな絵を描く」の項では、メディア出演するたびに「こんな歳の取り方をしたい」と反響を呼ぶ角野の“魔法のような日常”を掘り下げていく。また、そんな彼女を“専属スタイリスト”として支える実子でアートディレクター・くぼしまりおとの母娘対談も収録。前作を読んでいる人にもおススメの一冊だ。

 ぜひ同作で、知られざる魔女の物語に触れてみてほしい。

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