「恋人は絵師」が定番!? ボカロPの実態に迫る

エンタメ

2013/4/9

 今や巷にあふれかえっているボカロPたち。

 初音ミクの卒業ソング『桜ノ雨』を作ったhalyosy(ハルヨシ)やアニメ『BTOOOM!』の挿入歌『エグジスト』を手がけた無力P/Powerlessなど、多くのボカロPが活躍している。

 しかし、今ではボカロの作詞作曲だけでなく、ノベライズやコミカライズ、舞台、ファッションデザインやレーベルの立ち上げ、中野区観光大使など、その活動の幅は多岐にわたっている。そんなボカロPたちだが、実際はどんな人たちなのだろう? 普段はどんなことをしているのか? ボカロPのあるあるネタは? そんな知られざるボカロPの実態に迫ったのが、3月2日に発売された『ボカロP生活』(ボカロP生活プロジェクト/PHP研究所)だ。

 そもそも、みんな趣味でボカロの作詞作曲を始めて人気Pになったくらいだからすごく音楽が好きな人の集まりかと思いきや、実はみんなで集まっても「音楽の話を全然しない」んだとか。これは、本の中でもほとんどの人が口を揃えて言っていたことだが、別にそれがタブーというわけではない。音の出し方といった技術的な話なら一度聞けばすんでしまうし、込み入った話をするとケンカに発展してしまうくらい熱い人が多いからというのがその理由なんだそう。それに、作詞も作曲も両方好きという人もいるが、機械やパソコンをいじるのが好きだから「曲作るのは好きだけど、歌詞書くのがすごく面倒くさい」という人もいる。音楽に対する感覚は、バンドマンやアーティストというよりも技術者のそれに近いようだ。

 そして、ボカロPたちは「お互いのツイッターをめっちゃチェックしている」らしい。ツイッターで引越しをしたとつぶやけば、次会ったときにはみんなに「引越しどう?」と聞かれ、仕事の依頼をするときも「最近忙しそうにしてるけど、仕事振っても大丈夫?」といったように、ツイッターからチェックして連絡が来るそう。それに、普段は大人しかったりボカロPであることを公表していない人でも、ブログやツイッターでは退勤やお昼に食べた弁当のことまで事細かにぶっちゃけている人もいるようで、なかにはそのせいで職場の人にPだということがバレてしまったという人も。「ひきこもり」だとか「友達いない」と言っても、やはりネットではかなりアクティブなのかも!?

 さらに、自分でつけたはずなのにここまで有名になると思っていなかったのか、だいたいの人が「どうも、○○Pです」と名乗るのが恥ずかしいんだそう。特に、初期のボカロPは「悪」とか「黒」とか不吉な名前が多く、悪ノPも「mothy (モッチー)」という名前で改めて浸透させようと試みたほど。囚人Pなんて「P」の意味が分からず、「じゃあ囚人Pで!」と言ってしまってから後にそれが自分の名前だと気づいたと言うのだ。こんなノリやその場の勢いで名前を決めてしまった人たちは、なかなか辛い思いをしているようだ。かと言って、本名を名乗ることもしないようで「5年ぐらい付き合っているのに本名知らない」なんて人もたくさんいるらしい。

 他にも、「ボカロP仲間から“原盤権をよこせ”と言われるのが一種の暗黙のステータスだと思っている」とか「絵師と付き合う」人が多い。「ぶっちゃけボカロ曲を全然知らない」ので、後で気づいたら、「某有名曲とメロディーがほとんど同じでした」なんて人も。

 でも、こんなふうにリアルではひきこもりながらもネットでは適度に人と関わっていることで、自分の中にある世界観を残したまま個性的な楽曲を作っていけているのかもしれない。ボカロPに興味があるという人は、これを読んで彼らの日常をのぞいてみては?

 

同書には小説家デビューした囚人Pとアニソン歌手・鈴木このみ(動画)の対談も収録!

『囚人と紙飛行機』

猫ロ眠@囚人P / PHP研究所

帝國に反旗を翻した戦闘種族として、スディペイド収容所に収監されている一人の少年(囚人)。収容番号、420番─―。劣悪な環境の中で虐げられてきたその少年は、柵越しにある少女と出会う。運命的な出会いを果たした少年と少女の恋物語の行方は……!? ニコ動で人気を集める楽曲『囚人』と『紙飛行機』を、猫口眠@囚人P自ら筆を執り待望のノベル化!