『あまちゃん』も大好評! 小泉今日子の著作に綴られた飾り気ない魅力

芸能

2013/4/29

 NHKで毎朝放送されている連続テレビ小説『あまちゃん』が久しぶりに20パーセントを越える高視聴率を記録するなど人気だ。岩手を舞台に海女を目指す高校生・天野アキの成長を描く物語で、アキ役の能年玲奈が19歳という年齢そのままに、若さと透明感を前面に出して演じる姿が印象的。

 だが、下手をすると、そんな能年以上に強力なオーラを放っているのが、母・天野春子役の小泉今日子である。1966年生まれの小泉は現在47歳。設定的にもほぼ実年齢に近い役柄で、都会から岩手に戻ってきた“ちょっと垢抜けた母親”役を自然体で演じる彼女の姿は確かに颯爽としている。

 そのキョンキョン、実は文芸関係の世界でも活躍している。20代の終わり頃から女性誌などでエッセイを連載するようになると、それらをまとめた『パンダのan an』(マガジンハウス)、『小泉今日子の半径100m』(宝島社)、『小雨日記』(角川マーケティング)などが出るたびに、特に同世代の女性ファンから好評を得ているのだ。その構成は、たとえば『パンダのan an』でいえば、自身が日々の生活の中で撮影したポラロイド写真に900文字程度の文章をつけたフォトエッセイといった調子。

 ただ、絶大な人気を誇ったアイドルであったことを考えると、内容については意外に思えるほど庶民的なものとなっている。たとえばストレスが溜まって顔に吹き出物が出るとか、若いころから肩こりがすごかった、といった健康面の話をはじめとして、日常のちょっとした発見や感じたことなどが綴られることが多く、それらが多くの同世代の女性の共感を得たようである。

 また、自らの若い頃を“神奈川のヤンキー”と自覚している節があったり、アイドル時代の超多忙な生活ぶりについても伏せることなく赤裸々に紹介していることも。特に80年代の頃は、生出演の仕事が終了した後が大変で、まずは「出待ち」のファンをくぐり抜け、車に乗ったら「追っかけ」のバイク軍団などを撒くまでカーチェイス、クタクタになって家に帰ってくるとマンションの入口にまたファンが待っている…という話はちょっとすごい。自身も一時期恐怖を感じていたこともあったそうだが、それをやんわりかわさねばならないアイドルのしんどさについても語られている。

 ただ、その後に刊行している『小泉今日子の半径100m』(宝島社)などにおいても、ページのデザインこそもっと小洒落た形になってはいるが、基本的なスタイルは変わっていない。こちらも自身が撮影したと思われる写真+その時々を綴ったエッセイという形である。

 にも関わらず、読んでいて飽きがこないのは、小泉の年齢ごとの姿が実に自然に綴られているところにあるようだ。20代のキョンキョン、30代のキョンキョン…。年代を追って自身やその周囲がさまざまに変化していく中で、彼女はその時々の状況を自然に受けとめ、前向きに楽しんでいるようだ。それが女性としての“格好良さ”を生み出しているのかもしれない。

 また、キョンキョンはエッセイ以外にも、雑誌連載に端を発したちょっとした企画ものの本も出している。『小泉今日子実行委員会』(小泉今日子&大人女子実行委員会/宝島社)では、同世代の女性が喜びそうなファッション、美容、生活、スポーツ、手仕事に関するテーマを企画して、毎回それを実行、参加者との対談をまとめたもの。浴衣を着たり、田植え、花見、坐禅、ゴルフ、ベリーダンスなどを参加者とともに楽しむキョンキョンの姿が写真で掲載されている。『小泉今日子→往復書簡←こぐれひでこ』(小泉今日子、こぐれひでこ/SSコミュニケーションズ)では、イラストレーター兼エッセイストであるこぐれひでことのメール然としたやり取りが、ほとんどそのまま『レタスクラブ』(SSコミュニケーションズ)の記事となり、さらに書籍化となったようなテイストだ。

 さらには、読売新聞で毎週日曜日に掲載される書評欄にて、書評委員会の一員として時折書評まで執筆している。これはほとんど、一般的な芸能人の領域を超越していると言ってもいいだろう。

 アイドルから脱却後の飾り気ない雰囲気は、映像においても親近感を生み出しているだろうが、その傾向は刊行した書籍においてもブレることなく踏襲されている。年齢を重ねても人気を維持しているキョンキョンの秘密の一旦は、そうしたところにあるのかもしれない。

文=キビタキビオ