京都はリア充だけのものじゃない! ヲタと非リア充のための京都案内

暮らし

公開日:2013/5/1

 先日、京都がアニメ特区として認定されるかもしれないというニュースが流れた。そう、いまや京都は日本を代表するアニメ・マンガのメッカ。昨年は西日本最大級とうたわれた「京都国際マンガ・アニメフェア」も開催されるなど、俄然いきおいづいている土地なのだ。

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 しかし、そんなこといっても京都なんて、リア充の観光客いっぱいの土地なんだろう、と敬遠している方も少なくないだろう。なかには「学生のときに修学旅行で行ったけど、大しておもしろくもなかった」という思いをもたれている方もいるかもしれない。だが、先にも述べたとおり、京都はアニメ・マンガのメッカとなりつつある。それに、物語の舞台として選ばれることも多く、いわゆる「聖地」と呼ばれるところがたくさんあるのだ。そう、楽しみ方さえしれば、京都は非リア充でも十分に楽しめる地なのである。

 今回は、聖地を巡る、非リア充向けの京都観光をご紹介したい。

 京都に訪れたのなら、まずは京都駅を見ておこう。周りには写真をパシャパシャ撮るリア充だらけで早速身の置き場所に困ってしまいそうになるが、ここは京都駅を見上げこう思おう。「ああ、ここが『ガメラ3 邪神 <イリス> 覚醒』の舞台となり、なおかつガメラたちの戦いで破壊されつくした京都駅か……」そう思えば感慨も一塩。一風変わった京都観光のはじまりとして、これほど適した場所もないだろう。

 次はバスに乗り、北西を目指そう。リア充どもがこぞって行きたがる四条や祗園などは、ひとまず無視だ。非リア充の京都観光は基本的に、人のいないところまたはその時間帯を狙うのだから。目的地は立命館大学衣笠キャンパスだ。ここは『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』(西尾維新:著、take:イラスト/講談社)をはじめとする「戯言シリーズ」に登場する「鹿鳴館大学」のモデルとなったところと思われる。到着したのなら地下食堂に向かい、主人公「いーちゃん」と同じように「キムチ丼大盛り(ご飯抜き)」を注文してみるのも乙かもしれない。まあ、そんなものがあるかどうかは別の話だし、食堂のおばちゃんに白い目をされるのがオチなので、ここは無難に定食メニューをセレクトしておこう。また、この場所にきたのなら、立命館大学の学生御用達のお店「ひとみ」にも寄ってみてほしい。ここで頼むのは「オムライス」のジャンボサイズ。米4合も使われ、相撲部の学生もギブアップすることが多いといういわくつきのメニューで、その見た目は圧巻のひとことだ。

 さて、一通り見回ったのなら、今度は再びバスに乗り、近くにある「北野天満宮」に向かおう。豊臣秀吉が主催した「北野大茶会」が開かれた場所で、『へうげもの』(山田芳裕/講談社)にも登場している。この北野天満宮は「菅原道真」を祀っている。この人物、濡れ衣を着せられたまま無念の死をとげたため、死後は怨霊と化し京を祟ったといわれている。オカルト好きにもたまらないスポットだろう。ちなみに、このあたりに来たのなら「粟餅所・澤屋」にぜひ立ち寄っていただきたい。搗き立ての絶品粟餅を堪能することができる。

 次は三度バスにのり、東へ向かい「出町柳」で降りよう。目的地は叡山電鉄「出町柳駅」。一目見ればわかると思うが、アニメ『けいおん!』に度々登場する場所なのだ。そのまま電車に乗って北に向かい、『けいおん!』の聖地巡礼をはじめるのもいいが、その前に寄っておいてほしいところがある。それは「加茂みたらし茶屋」。あの「みたらし団子」の元祖ともいわれるお店で、焼きたてホカホカのみたらし団子が食べられる。その味はまさに至高で、京都に訪れたのなら、必ず味わってほしい一品だ。ちなみに近くにはアニメ『たまこまーけっと』の舞台になった「出町桝形商店街」もあるので、余裕があればチェックしておこう。また、そばで流れる鴨川は数多くの作品に登場する場所。そこでほっと一息つくのもありだ。

 夜もふけたのなら、三条や四条などの京都市内中心部に向かおう。三条河原町界隈では、腐女子にとってはたまらない、『薄桜鬼』(矢島さら:著、冨士原良:イラスト/エンターブレイン)『風光る』(渡辺多恵子/小学館)『新撰組異聞PEACE MAKER』(黒乃奈々絵/マッグガーデン)といった新選組ものに必ずといっていいほど登場する「池田屋」跡がある。そこからさらに東へ行けば、新選組が警備を担当した「三条制札事件」の場所であり、局長・近藤勇の首が晒された三条大橋が。ちなみにこの場所は昼夜を問わずカップルやリア充どもがあふれているので、注意が必要だ。

 また、新選組といえば『燃えよ剣』(司馬遼太郎)。その作中に登場する和菓子が「亀屋陸奥」の「松風」だ。場所は西本願寺の近くなので、京都駅に向かう途中にお土産として購入するのもありだろう。

 いかがだっただろうか。ここに書いた以外にも、京都には「聖地」が山ほどある。そう、もはや京都はリア充のものではない。非リア充でも、十分に楽しめる地になっているのだ。GWに家ですごすのはもったいない。ここは、勇気を出して一歩踏み出し、京都に行ってみよう。