石原プロ創立50周年! 伝説の警察ドラマ『西部警察』のハチャメチャっぷりがよみがえる!

芸能

更新日:2013/5/2

『西部警察LEGEND 大門軍団、いま再起動!』(石原プロモーション/青志社) 『西部警察LEGEND 大門軍団、いま再起動!』(石原プロモーション/青志社)

 1963年に石原裕次郎さんの個人事務所として設立された「石原プロモーション」。現在も「石原軍団」としてその名を轟かせているが、その「軍団」の名前の元となったのが、ポリスアクションドラマの金字塔『西部警察』だ(それ以前に放送された刑事ドラマ「大都会」シリーズにも「黒岩軍団」があり、それも由来のひとつである)。そのドラマ制作を担当した石原プロが今年で創立50周年を迎えたことを記念した『西部警察LEGEND 大門軍団、いま再起動!』(石原プロモーション/青志社)というビジュアル本が出版された。

 警視庁西部警察署の大門部長刑事(渡哲也)率いる「大門軍団」の活躍を描く『西部警察』。いち所轄署でありながら、とにかく荒唐無稽、無茶苦茶な設定のオンパレードなのだ。

 1979年10月14日に放送された初回の『無防備都市』(2週にわたり前後編として放送)では、銀座や国会議事堂前などで特殊装甲車を走らせ、いきなり視聴者の度肝を抜いた。その後もド派手なアクションやカーチェイス、壮絶な銃撃戦や爆破など、それまでのテレビドラマになかった娯楽性とスケール感で人気を博し、続編『PART‐2』『PART‐3』も製作された。

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 毎回登場する犯人たち(若き日の阿藤快や小林稔侍、内藤剛志などが犯人役を熱演!)は凶悪な輩ばかりで、当然のように銃を所持し、バンバン撃ってくる。それを迎え撃つ、角刈りにサングラスという出で立ちの大門刑事の愛用銃はレミントンのショットガン。さらに軍団は44マグナムやコルト・パイソン、果てはライフルやマシンガン(!)などを使用して犯人を逮捕。また殺人や強盗、カージャック、爆弾テロなど犯罪の種類も多種多様、さらには所轄だけにとどまらず、日本全国、さらには世界までも股にかけて活躍するのだ。

 もちろん無茶苦茶な設定はそれだけではない。スカイラインを改造した漆黒の「マシンX」を皮切りに、金色に輝くボディにガルウィングが印象的な「スーパーZ」、放水機能がある「サファリ4WD」、コンピューター搭載の真っ赤なスカイラインが3台で展開する「マシンRS」、大門の上司である小暮課長(石原裕次郎)専用車でオープン仕様の「ガゼール」、さらには「ハーレーダビッドソン」や「スズキ・カタナ」などのバイクも登場するなど、とにかく大門軍団を相手にしたら最後、絶対に勝てないのだ。

 名古屋で巨大煙突をブッ倒し、広島では路上で市電を爆破、静岡駅前にヘリコプターを着陸させ、向こう岸まで25メートルもある芝浦の運河を車が飛び越え、玄界灘では船が爆散、福島では数千万円かけたセットを木っ端微塵に爆破した『西部警察』。壊した車両台数約4680台、使用した火薬4.8トン、ガソリン12000リットル、ヘリコプター600機を飛ばし、始末書を45枚も書いたという。「所轄なのに!」というツッコミさえ陳腐な、今のドラマにはない痛快なアクションドラマだ。本書では多くのビジュアルとともに解説される各キャラクターの設定や特殊車両の数々、登場する銃器などの詳細から、渡哲也と舘ひろしによる対談、全話の放送年月日や出演者などの詳細までまとめられた放送リスト、ロケ地マップ、放送当時に発売された玩具やサントラの情報まで掲載、さらには名場面を見られるDVD(副音声は当時のスタッフコメント)まで付属する充実の内容だ。

 当時放送を楽しみにしていた人、リアルな設定ばかりのドラマが面白くない人、この記事を読んで「ウソだろー」と思った人は、ぜひ本書を読んで、CG一切なし、本物の迫力満点の『西部警察』のDVDでスカッとしてもらいたい。

文=成田全(ナリタタモツ)