特集番外編2 2008年11月号

特集番外編2

公開日:2008/10/10

カッコイイぞ! 職人たちの裏舞台

編集R

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一冊の本や雑誌ができるまでには、どのような人々の手が加わってできあがるのだろうか? 『ダ・ヴィンチ』ではこれまでも、本作りを陰で支える“裏方”の仕事を何度か特集してきました。ただ、こうした企画では編集者や装丁家・デザイナーといった職業を中心に紹介しておりました。

そこで、今回は「校正」「DTP」「製版」「印刷」「製本」といった、重要な工程を担当していただいている職人たちにお話を伺い、現場で戦う仕事人の生の声を聞きたいと考えました。特集を読んでいただければわかるように、『ダ・ヴィンチ』ができあがるまでには、彼らの仕事がひとつでも欠けてしまえば成り立たちません。毎月毎月お世話になる、職人たちの仕事によって『ダ・ヴィンチ』が支えられているのです。

特集の最後で取材した凸版印刷の工場では、自動制御の機械が動き回り、それを管理する職人たちが微妙な調整を行います。

実は初めて印刷所の工場を見学させてもらったこともあり、キョロキョロと余所見ばかりし、機械や職人の動きに見蕩れてうっとりと目を輝かせていました。意外に思われる方もいるかと思いますが、実際に現場で作業している印刷所の方々とお会いする機会はあまりないのです。今回、直接お話を伺ったことは、とても貴重な体験でした。

紙とインクのにおいの中、工場でアルバイトしていたときのことを思い出し、てきぱきと無駄のない動きで働く職人たちに心を奪われて……すっかり取材を忘れかけていましたがギリギリのところで、はっと我にかえると一緒に取材に行ったライターさんとカメラマンさんも同じ表情。まるで子供のように楽しんでしまいました……。

インタビューでは、寡黙ながらも気さくに仕事内容を語っていただき、常に謙遜されていましたが誇りをもってお仕事されている印象を受けました。いつもデスクワークをしているせいか、こうした職人気質に触れてしまうとイチコロです。誰でも一度は職人に憧れるもの。私もふつふつと煮えたぎってきました。

さて、あくまで今回の記事は『ダ・ヴィンチ』の進行に沿ってつくりましたので、ほかの雑誌や単行本では、入稿方法から印刷や製本などの作業が大きく変わってきます。作業が変わればそれに関わる職人たちも変わります。

本当はライターさんやカメラマンさんといった現場で一緒に取材し、原稿を作り上げる職人から、製紙工場、写植工場、フォント制作、取次、流通、書店……などなど細かく業種を網羅して、いろいろな職人たちに話を伺うことができれば楽しいだろうなぁ、と夢膨らませていました。当然のようにこの夢はページの都合で叶わなかったわけですが、次回はもうちょっと突っ込んだ業種の職人たちをご紹介してみたいです!

巻頭でマンガを描いていただいた久世番子さんの著書『番線 本にまつわるエトセトラ』では、マンガの写植職人、本の修復作業をする職人、国会図書館の司書などなど、特集では紹介しきれなかったお仕事が紹介されています。未読の方は、ぜひ読んでみてください。

最後になりましたが、仕事中に貴重なお時間を割いて取材にご協力いただいた凸版印刷のみなさまと、校正担当の二瀬さんへ、心よりお礼を申し上げます。

番線番線(ばんせん)
久世番子(くぜばんこ