AKBやGMTよりも盛り上がっているアイドルとは?

マンガ

公開日:2013/8/6

 2013真夏のドームツアー真っ最中で今年のじゃんけん大会のトーナメントも決まり、さらなる盛り上がりを見せるAKB48。それに対して、朝ドラで注目を集めている『あまちゃん』のGMT。そんな彼女たちよりも、さらに熱く盛り上がっているアイドルがいる。それが、『ラブライブ! School idol project』に登場するμ’s(ミューズ)だ。マンガや小説、ゲームも人気だが、2014年の春にはアニメの2期が放送されることも決まり、ますますファンの熱も高まってきている。そんな「ラブライブ! School idol project」の魅力とは、いったい何なのか?

 まず、ユーザー参加型をうたっているこの作品では、とにかくアイドルたちとの距離が近い。総選挙で1位になったキャラに次回シングルのセンターポジションが与えられるという点はAKB48と同じだが、『ラブライブ! School idol project』の場合はグループ名やユニット名、そのユニットのメンバーまでもが公募によって決められるのだ。それだけじゃなく、付録のフィギュアにふさわしいキャラや『電撃G’s magazine』(アスキー・メディアワークス)の表紙を飾るカバーガールもユーザーの投票によって決定される。さらに、『電撃G’s magazine』にグッズのアイデアを送れば、実際に商品化されるかもしれないのだ。ここまで自分たちの声が届いて反映されるというのは、それまでのマンガやアニメ、ゲームではなかなかできなかったこと。この新たな試みが、ユーザーの心を掴んだのだろう。

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 また、キャラクターたちがただアイドルに憧れているわけではなく、自分たちの母校である音ノ木坂学院を統廃合から救うために立ち上がるというところもポイントだ。とくに、6月27日に2巻が発売されたマンガ版『ラブライブ! School idol project』(鴇田アルミ:著、公野櫻子、室田雄平:その他/アスキー・メディアワークス)では、主人公の高坂穂乃果をはじめ、いろんな悩みを抱えたキャラたちが多くの挫折を味わう。祖母の代から音ノ木坂学院に通っている穂乃果は、はじめ入学希望者を増やすために剣道部員として活躍し、優勝するのだが、正攻法で頑張ってみても入学希望者は増えないと知る。そして、同じ秋葉原で1番人気の学校・UTX学園が校内アイドルのおかげで人気になったと知ると、今度はアイドルになって音ノ木坂学院を守ろうとするのだ。しかし、初ライブはボロボロ。メンバーもなかなか集まらないし、とにかく彼女たちの前にはいろんな壁が立ちはだかる。また、医者である父親や母親のせいで勝手に音ノ木坂学院に入れられてしまった西木野真姫やアイドルになりたくてもお金がなくてUTX学園に行けない矢澤にこなども登場する。それでも、彼女たちは決して笑顔を絶やさず前向きにがんばっているのだ。やはり、アイドルたちが目標に向かってがんばっている姿を見ると応援したくなるし、苦労している裏側を知ると彼女たちに対する思い入れも深くなる。

 そして、マンガやゲーム、音楽、アニメなど、それぞれのメディアによっていろんな楽しみ方ができるのも『ラブライブ! School idol project』の特徴だ。おまけに、どのメディアの作品でもハイクオリティのものが楽しめる。それは、この『ラブライブ!』が『電撃G’s magazine』、音楽会社ランティス、アニメーション制作会社サンライズという、それぞれのプロフェッショナルたちによる合同プロジェクトでもあるから。それに、アニメのコミカライズとして発売されたマンガ版『ラブライブ! School idol project』もアニメとまったく同じ流れで進むわけではなく、「アイドル部」という部活としての比重が大きくなっていて、そのぶんメンバーの友情や挫折が丁寧に描かれている。アニメでは歌とダンスを、ゲームでは育成部分を、マンガでは彼女たちの裏側の物語をといったふうに、メディアによってそれぞれ異なるおもしろさを提供してくれるのもこの作品の魅力だろう。

 AKB48よりも近い距離で、いろんな楽しみ方ができる『ラブライブ! School idol project』。この魅力にハマったら、もう3次元のアイドルでは満足できなくなってしまうかも?

文=小里樹