円谷プロ50周年で、関連本が続々刊行 ―ウルトラマンの“裏側”に迫る3冊

エンタメ

2013/11/13

 先日、NHK「ニュースウォッチ9」で昭和の特撮ヒーロー番組「ウルトラマン」の撮影風景を収めた未公開映像が放送され、ネット上でも話題となった。怪獣がセットを叩いても壊れない、着ぐるみに火が飛び移りあわや大惨事……とCG技術のない時代、文字通り命懸けで作り上げていたことがよくわかる、本当に貴重な映像だった。

 実はウルトラマンを生んだ円谷プロダクションが2013年で創立50周年を迎えるため、昨年から今年にかけてウルトラマン関連本が山のように刊行されている。そこで今回はウルトラマン制作の裏側を知り尽くすことができる本を3冊ピックアップ、あなたをディープなウルトラゾーンへと案内することにしよう。

 まずは怪獣の背面写真ばかりを集めた珍妙な図鑑『ウルトラ THE BACK ウルトラマンの背中』(秋田書店)。「いかレスラー」をはじめ数々のおバカ特撮映画を手掛けた映画監督・河崎実が「四足歩行の怪獣は後ろ姿が地味」「尻尾がロールパンのようで可愛い」などなど、ウルトラ怪獣への愛に溢れた突っ込みを入れながら、当時のスタッフが着ぐるみに込めた思いを解説してくれる。チャックを隠せずカサブタみたいに見えたり、間違えて垂れた塗料が残っていたりと、手作りならではの苦心の跡がうかがえ、どの怪獣の背中にも何故か哀愁を感じてしまう。

 続いては『ウルトラセブン研究読本』(洋泉社)。卓越したストーリーでシリーズ最高傑作と呼ばれる「ウルトラセブン」を様々な角度から検証した本だ。白眉は宇宙人を演じた女優たちへのインタビューである。例えば人気怪獣・エレキングの飼い主であるピット星人役の高橋礼子。長らく消息不明だったが、実は彼女、セットを組むのに膨大な時間がかかる「セブン」の撮影が余りにもしんどくて、放映直後に女優を引退してしまったのだという。また第4話でゴドラ星人を演じた水上竜子は、30年ほど海外生活を送っていたため「セブン」がこれほどの人気番組になっているとは全く知らず、ネットで自分の名前を検索にかけたところ、「セブン」に出演した際の画像が出てきてびっくりしたそうだ。2人ともファンから熱い支持を受けるゲスト女優だったが、まさかこんな事態になっていたとは、すれっからしのマニアでも知らなかっただろう。

 最後は辛口の本を。『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』(講談社)は、円谷プロの創設者にして「特撮の神様」円谷英二の孫である円谷英明が書いた暴露本である。大量のリストラ、海外進出の失敗と、特撮にかかる膨大な費用ゆえに円谷プロが抱えてしまったトラブルが赤裸々に綴られる。なかでも痛々しいのは「円谷商法」と呼ばれるビジネスだ。キャラクターを使った玩具、お菓子の販売によって収益を得る著作権商売に円谷プロはいち早く着手したのだが、次第に玩具を売ることを優先するため、メカや怪獣のデザインが番組制作側の手を離れ玩具メーカー側に主導権を握られるという、本末転倒の状況に陥ってしまったという。子どもたちに夢を与えるヒーローを作る裏側で蠢く大人の事情に、げんなりしてしまう読者もいるかも知れない。

 撮影現場での苦労あり、経営における金銭の苦労ありと、日本が世界に誇る特撮番組には先人たちが血と汗と涙にまみれた話が隠れていた。そうした裏話は、今後も新たなウルトラマンが作られ続ける限り生まれるだろう。50年後、今回紹介した3冊を超えるような目から鱗のウルトラ本も誕生しているかも。

文=若林踏