今度の舞台はフィレンツェ、ヴェネツィア!全世界1100万人が熱狂したダン・ブラウンの新作『インフェルノ』が熱い!

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2013/12/6

『天使と悪魔』では科学と宗教に挑み、『ダ・ヴィンチ・コード』では、キリスト教の聖杯伝説、『ロスト・シンボル』では、秘密結社に立ち向かったラングドン教授シリーズ。
そして第4作目となる『インフェルノ』でラングドンが対峙するのは、14世紀にダンテ・アリギエーリが記した『神曲』だ。
誰が敵で、誰が味方? そしてラングドンは何を解明する?

 ロバート・ラングドンは、病院の一室で目覚めた。するどい痛みで体がこわばる。後頭部がうずく。乱れた髪の下には、硬く盛り上がった十針ほどの縫い跡があり血らしきものがこびりついている。どうやら事故に遭ったらしい。

 しかし何があったのか……、その記憶が、完全に抜け落ちていた。

 男性医師マルコーニと女性医師シエナ・ブルックスがラングドンの病室にやってくる。ラングドンは3時間前に救急外来へ自ら来て、その場で倒れたという。シエナ・ブルックス医師は冷静に、「銃弾が頭頂部をかすめ、脳震盪を引き起こしたものと考えられます」。ラングドンは信じられない思いで彼女を見つめた。

 撃たれたって?

 突然廊下で怒声があがり、全身をレザーに包んだスパイクヘアの女がラングドンの病室へ向かってくる。マルコーニ医師が女の行く手を阻むが、女はサイレンサーつきの拳銃を取り出し、彼の胸に銃弾を放つ。マルコーニ医師が床にくずれる。白衣が血に染まっていく。すぐさま女はラングドンを見据えると、銃を構え、顔に狙いを定めた。その瞬間、シエナ・ブルックス医師が機転を利かせて逃げ道を作り、ふたりはなんとか病院を抜け出した。
 

 しかしそれは、逃走劇の始まりだった。途中ラングドンは幻覚に襲われる。銀髪の女性が「時が尽きています。探して、見つけなさい」と語るものだ。

 ふたりはなんとかシエナ・ブルックス医師のアパートへ辿り着くも、ラングドンの上着に隠されていた円筒の容器を見つけ驚愕する。それにはバイオハザードのマークがあったからだ。ラングドンは身の危険を察し、アメリカ領事館へ助けを求める電話をする。しかしやって来たのは、スパイクヘアの女だった。

 再び逃げるふたり。円筒の容器をさらに開けると“SALIGIA(サリギア)”の文字が浮かびがる。七つの大罪「高慢、貪欲、邪淫、嫉妬、貪食、憤怒、怠情」をキリスト教徒に暗記させるため中世ヴァチカンが考え出したラテン語である。

ラングドンが追われる理由は?

「〝サリギア〟は人類全体の罪を象徴するものだが……中世に広まった教えによると──」

「それを罰するために神はこの世に黒死病をもたらした」。ラングドンが恐る恐る円筒の容器を再び動かすと、ボッティチェルリの絵画〈地獄の見取り図〉が映し出された。これは、ダンテの『神曲〈地獄篇〉』へのオマージュとして創作された作品だ。しかし、よく見るとボッティチェルリの絵画にはない暗号が……。

 なぜ狙われるのか? 敵は誰なのか? そして〈地獄の見取り図〉があらわすものは? ラングドンが幻覚として見る「時が尽きています。探して、見つけなさい」と言う、銀髪の女性は何を意味している?

 ふたりは、いくつもの謎を解くためにフィレンツェ、そしてヴェネツィアを奔走する。

 ダン・ブラウンの新作『インフェルノ』は、ダンテの『神曲』がキーワードになっている。記憶をなくしたハーヴァード大学の教授ラングドンが、シエナ・ブルックスを伴い、〈地獄の見取り図〉と銀髪の女性の幻影をヒントに、敵の目論見を阻止するものだ。逃走の途中、記憶が少しずつ戻り、ラングドンの身に何が起こったのかが解明されていくが、そこにはいくつもの謎や暗号、仕掛けがちりばめられている。黒死病、ダンテの『神曲』、ボッティチェルリの絵画、ダンテのデスマスク。しかも敵はひとりではない。スパイクへアの女、そのバックにいる大機構、大機構へ重大な依頼をした人物、幻影にあらわれる銀髪の女性。物語は、美術や歴史的要素をふんだんに用いながら、フィレンツェ、ヴェネツィアを駆け巡る。

 果たして、ラングドンが見つけるものは何なのか?

『インフェルノ』(上・下)

ダン・ブラウン/著 越前敏弥/訳 KADOKAWA 角川書店 各1890円

  

次ページでは、歴史的建造物とともに謎を解くルートを追う!