スマホ子守りってホントに悪いの?

出産・子育て

2013/12/25

 公園デビューよりもネットデビュー、絵本はアプリで、子守唄はYouTube。スマホを子育てに活用することは最近「スマホ子守り」と呼ばれ、増加傾向にあるらしい。平成元年生まれ、「テレビ子守り」で育てられた私は「スマホ子守りってテレビ子守りと何が違うの?」と思ってしまうが、そこにはどんな違いがあるのだろうか。日本小児科医会は、乳幼児にスマホやタブレットで長時間遊ばせる行為は、健全な発達を妨げる恐れがあると注意を呼びかけているが、本当に「スマホ子守り」はいけないことなのだろうか。

 NPO法人CANVASの石戸奈々子氏は『子どもたちは電子羊の夢を見るか? 0歳からはじまるデジタル教育』(ブックウォーカー)の中で、タブレット・スマートフォン向けの新しいデジタル表現や教科書の開拓にも寄与すべく「デジタルえほん」づくりをスタートしたことに触れている。石戸氏はテレビなど今までのメディアとは異なるデジタルの最大の特徴はインタラクションがあることだとして、脳科学者・茂木健一郎氏の言葉を引用し、「脳の発達にとって必要なことは“反応がある”ということ。そこを深掘りできる利点がデジタルにはある。」としている。

 デジタルを子どもに渡すのは良くないという主張も多いが、アナログでなくてはいけないという主張には根拠はない。子ども達がコンピュータやネットワークに惹かれるのは当然のことであり、茂木氏も「デジタルが現代の文明に対する入り口になっている。」と述べているのだという。「デジタルえほん」の可能性に触れた上で石戸氏はアナログとデジタルを上手に使い分けるべきだと指摘する。想像力・創造力を育み、子どもたちを魅了し、夢中にさせ、親も一緒に楽しむ、そんな新しいデジタル表現を開拓していきたいとの抱負も語っていた。

 インタラクションが魅力のスマホアプリでは子ども達のどのような能力を鍛えることが出来るのだろうか。『シールで遊ぶ ゆびさき絵本 ももたろう』『おとぎふぉん』などの知育アプリを企画開発するcolorfulの中村武士氏に話を伺うと、「お母さんお父さんがコミュニケーションしながら一緒に使うことで、お子さんの日常生活練習や知育につながるアプリを企画するようにしている」とのこと。

 例えば、シールを貼っていくような感覚で一緒にストーリーをつくっていく絵本アプリや、子どもが苦手とする日常生活の練習をおとぎ話のキャラクターに応援してもらいながら一緒に克服していくアプリのように、スマホを使うことによってより楽しい学習が実現出来るようにデザインされているそうだ。

 中村氏が大切にしているのは、親子でのコミュニケーション。「親子で一緒にスマホで遊ぶことが前提。ブロックで一緒に遊んだり、絵本を読み聞かせたり、という普段のふれあいの1つとして使ってほしい」と述べている。あくまでスマホはコミュニケーションのサポート。普段の知育のシーンと同じようにアプリを使用することで親子の絆が増していくのだという。

 「スマホ子守り」が悪い意味合いで使われてしまっていることを嘆き、中村氏は「子育ての道具の1つとして活用していくという意味で“スマホ子守り”という言葉が使われるようになると良いですね」と語っていた。スマホに子守りを任せたら良いのではない。親子の距離をより近づける支えとなるのがスマホの役目なのだろう。

 スマホ子守り自体が悪なのではない。スマホに頼り切りで親子のふれあいをおろそかにしてしまうことが問題なのだ。子どもを放置することはあってはならない。コミュニケーションを充分にとりながら、時間を決めてスマホで親子一緒に遊ぶのが良い。それはテレビ子守りもスマホ子守りも同じだ。

 スマホの利点はテレビと違って、子どもと画面にインタラクションがあることだ。それ故に、時には危険性もあるし、多くの可能性を秘めている。

「アプリのピアノで遊ばせた後におもちゃのピアノを買ってあげたら、子どもが鍵盤を押すのではなく鍵盤をタップしていた」
「ディスプレイを見ると、テレビ画面だろうと指で触る」
「YouTubeを自由に見せていたら、言語を気にせずアニメを見るから何カ国語も話せるようになっていた」
といった声も聞かれる。

 デジタルを使う子ども達の行動は読めない。アナログであれ、デジタルであれ、子どもたちにとってよいものを与え、よりよい環境を用意していくことが必要だ。

 スマホ任せでなく、子どもとのコミュニケーションをとりながら、アナログとデジタル両方の利点を上手に活用しよう。天才を育てるのは、アナタだ。

文=アサトーミナミ