CDは捨てるものではない! 捨て曲ナシの「いま聴くべきアイドル」はこれだ!

芸能

2014/4/19

 先日、大リーグ・ニューヨークヤンキースのホームゲームに初登板した田中将大投手。その登場曲として使用されたのは、マー君が大ファンのももいろクローバーZの楽曲だった。しかも、これが未発表の新曲だったことからモノノフたちは大騒ぎ。ももクロがついに世界デビューを果たした…といってもいい出来事となった。

 しかし、アイドルグループが音楽業界を席巻しているにも関わらず、“アーティスト”と呼ばれるミュージシャンたちに比べて、アイドルの楽曲に対して批評が行われることは圧倒的に少ない。握手会というシステムがウリのAKB48グループや、元気さというキャラで人々を魅了するももクロなどが象徴的であるように、楽曲は二の次になっている状態だ。だが、それはあまりにもったいない! そこで今回は、2月に発売された『アイドル楽曲ディスクガイド』(ピロスエ編/アスペクト)に取り上げられた2013年発表のシングル・アルバムのレビューから、“いま聴くべきアイドル”を紹介しよう。

 まず、「アイドルソングというジャンルを超えた珠玉の名作」と評価されているのが、乃木坂46の5thシングル『君の名は希望』だ。発表当時にもBase Ball Bearのボーカルである小出祐介が「歌詞もすごく良いし、そもそも、曲がすごく良い。」とTwitterで絶賛したことが話題を呼んだが、本書のレビューでも「誰もが持つ孤独や葛藤を優しく細やかに描き、気が付くと心の隙間をすっと埋めてくれるような温かさを持った今、最も人々の涙に近い1曲はこれであると断言しよう」と太鼓判を押している。新曲である『気付いたら片想い』も、昭和漂うマイナー調歌謡曲で、これまでのシングル初動売り上げの最高記録を塗り替えた乃木坂46。現在、アイドルグループ界でもいちばん勢いのある彼女たちは、楽曲面でも要注目の存在といえるだろう。

 また、ハロー! プロジェクトの新星・Juice=Juiceのメジャーデビュー曲『ロマンスの途中』も、本書では高評価。「ハロプロ王道たるファンキーサウンドの最新仕様」と紹介されているように、まさしく21世紀解釈のダンスナンバー。メロウなイントロに、きらびやかなブラスとグルーヴィーなチョッパーベースが堪らない仕上がりで、リピート再生間違いなしの気持ちよさ! 耳の肥えたリスナーにもオススメしたい1曲だ。

 さらにアルバムでは、衝撃度でいうと“アイドル界きっての色モノ”であるBiSが、世界的なノイズバンド・非常階段とコラボした『BiS階段』は外せない。本書でも、「“サブカル寄り”とされてきたBiSの名を本格的に音楽マニアにも知らしめることになった」と解説しているが、確かにこのアルバムは“アヴァンギャルド”のひとこと。80年代に雑誌『宝島』(宝島社)を読みふけっていた層はもちろん、10~20代にも新鮮に響く音なのではないだろうか。

 そして、何と言っても忘れてはいけないのが、Negiccoの初のオリジナルアルバム『Melody Palette』。「捨て曲無しの勝負盤」という評価も納得の完成度で、それを支えているのはプロデューサーのconnieをはじめ、ノーナ・リーヴスの西寺郷太や元ピチカート・ファイヴの小西康陽、tofubeats、ユメトコスメの長谷泰宏、RAM RIDERなどの豪華なスタッフ陣だ。「幅広い音楽性を受け止めるNegiccoのオールマイティさ」は、さすが結成から10年を経た“実力派”である。

 このNegiccoのアルバムにも収録されたシングルに『アイドルばかり聴かないで』という時代批評的かつ自己批評的なポップチューンがあるが、「アイドルの曲なんて薄っぺらい」とバカにする人も、「アイドルファンだけど推しと握手ができれば十分」とCDをゴミ扱いする人も、ぜひ一度、さまざまなアイドルの楽曲を聴いてみてほしい。いま、アイドルがニッポンのカルチャーの最前線をゆく理由が、きっと理解できるはずだ。