ヤマシタトモコ、作品に「自分の実体験」をいれて少しぐったり

アニメ・マンガ

2011/10/24

  「節目になったのは『恋の話がしたい』と『HER』ですね」

話題の人気漫画家・ヤマシタトモコさんに、デビューからここまで振り返ってみて印象に残った作品を聞くと、この2作の名前があがった。

『HER』は、いろいろなタイプの女性の本音が炸裂する連作短編。一方の『恋の話がしたい』はBL作品。つきあう前とつきあってすぐの、探りあいながら関係を作っていく二人の男性のやりとりが描かれる。

「私が恋がうまくいかない話ばかり描くので、編集さんからハッピーなやつが読みたいです!と言われて描いた作品です。つきあいはじめたころの二人はどうですか、と言われたんですけど『つきあうって……何かね?』って思ったので、それについて二人が考える話になりました」

 この2作を描く時に、「いままでとは違うやり方で描こう」と考えたヤマシタさん。作品に「自分の実体験や思ったこと」を入れた。

「そんなにダイレクトに反映されているわけじゃないんですけど、わりと多めに入れるようになった。やってみて、少しぐったりしましたが(笑)。実体験の割合としては20%くらいなのに、ここはほんとだから恥ずかしいわ、とか、いやあの時は浮かれていたなあとか、落ちてたなあとか、思い出されて」。

 しかし、そこがすごく大事なシーンだったりするという。

 「私の体験を読んで、『あるある!』って思ってくれる人がいたらうれしいな、と思って描くようになりました」

 女性読者がヤマシタ作品に感じるのは、いわゆる共感とは少し違う。「知っていたけれど知りたくなかった自分」が暴かれていくような、「あるある」を越えた感情が、そこにはあるのだ。

(ダ・ヴィンチ11月号 ヤマシタトモコが作り上げる男と女が恋に落ちない世界より)