有村架純、ギャルをどう演じる?『ビリギャル』に学ぶ、本物の信頼関係

文芸・カルチャー

2015/2/6

「ダメな人間などいません。ダメな指導者がいるだけなのです」 そう、著者の塾講師、坪田信貴さんは語ります。

本書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴/ KADOKAWAアスキー・メディアワークス)略して『ビリギャル』は、そのセンセーショナルなカバーとタイトルからも、大きな話題を呼びました。

外見からレッテルを貼らず、素直な性格を見抜いた、出会い

初めて坪田さんが『ビリギャル』さやかちゃん(高校2年生の夏休み)と会ったとき、さやかちゃんは金髪でミニスカート、へそ出し姿だったそう。何度も停学になり、校長に「人間のクズ」と呼ばれたこともあるさやかちゃん。中学からエスカレーター式に上がれる学校にも関わらず、大学への内部推薦が受けられないほどの素行不良…そんな中、ヒマつぶし感覚で入塾面談に現れたさやかちゃん。

坪田さんはさやかちゃんが挨拶できることから、「根はめちゃくちゃいい子だな」と一瞬で見抜いてしまいます。慶應を志望することを勧めると「超ウケる!」と笑い出すさやかちゃん。坪田さんはそこに、愛すべき素直さを感じ取りました。こうして、I、my、me、mineも知らない、全国模試の偏差値が30以下・学年ビリのギャル、さやかちゃんと坪田先生の共闘が始まったのです。

『ビリママ』の本も出版決定。そして、有村架純主演で『ビリギャル』実写映画化!

『ビリギャル』は、2013年12月27日の初版発行から、累計発行は65万部を突破。2月27日には、さやかちゃん本人とその母親が語る、もう一つのビリギャルストーリー『ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話』が発売されます。

そして…5月1日には実写映画『ビリギャル』が公開されます。有村架純主演、土井裕泰監督の本作はクランクインしたばかり。清純派イメージの強い有村さんが、どうギャルを演じていくのか。インターネットでも大きな注目を集めています。

「この人なら頼れる」そんな大人がいてくれることの大切さ

ネットいじめ、子どもの貧困、モンスターペアレントなどなど…教育の現場にはいつも問題が山積みになっているように感じます。「学校」というシステムでは、上から生徒を縛って何かをさせる、ということがどうしても多く、生徒たち、もしかしたら先生たち自身も、窮屈さを感じているのかもしれません。

さやかちゃんは、坪田さんと会うまでは大人が大嫌いだったそう。坪田さんは、さやかちゃんを肯定してくれて、見た瞬間顔をしかめるなんてことはしませんでした。だから、信頼できた。

10代の多感な時期に「頼れる」大人と出会えることは何よりの財産だと思います。大学受験自体が人生の一大イベントである中で、必死に支えてくれる人の存在はとても大きいのです。

ギャルの外見をかなぐり捨て、受験に挑むさやかちゃんの勇姿

『ビリギャル』とはいうものの、さやかちゃんの外見はずっとギャルだったわけではありません。プリン頭になったり、黒髪になったり。憧れの慶應を見に行くときは、すっぴんにジャージ姿でした。

本番の試験で起こったこともかなり具体的に記してあり、ドラマチックです。坪田さんから渡されたお守り代わりの缶コーヒー。大本命の文学部の試験直前に冷たい缶コーヒーを、ここぞとばかりに飲み干したさやかちゃん…何が起こるのかわからないのが本番というもの。これから受験を控えた学生さんや、その保護者の方も、心構えのために読んでおいてもいいかもしれません。

何よりも坪田さんのように、日々子どもたちと向き合っている塾や学校の先生にこそ、この本は必読です。本物の信頼関係を築くことの大事さに気づかされること必至です。また、巻末には「坪田式人材育成のためのテクニック」が収録されていて、とても充実した内容になっています。まずは相手と向き合う距離のアドバイスから始まり、どうやったら生徒や部下と信頼関係が築けるか、心理学的に細かく述べられています。教育現場に限らず、ビジネスの場で部下とどう向き合うか迷っている方にも、大きなヒントになるはずです。

さやかちゃんや坪田さん、さやかちゃんの家族の変化がとてもよくわかるのは、実話ならでは。ヒットの要因は、それに尽きると思います。映画版も、原作のエッセンスをちりばめて、さやかちゃんの青春をリアルに描いてくれることでしょう。

文=川澄萌野

■『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴/ KADOKAWAアスキー・メディアワークス)