「実家モヤモヤ女子」の実態 彼女たちは、なぜいつまでたっても実家住まいなのか

暮らし

更新日:2015/2/8

 「そろそろ、1人暮らししてみたいんだけど」「30歳になって自立しようかと思って」などと言う、アラサー女子の言葉を何回聞いたことだろうか?

 同じアラサーとして思うのは、悩んでないでさっさと家を出ればいいのにということ。酷い人になれば、毎年会うたびに「1人暮らししたいんだけど」と言っている。恐らく5年ぐらいは同じことを言っているのではないだろうか。そういった人に1人暮らしができない理由を尋ねると、「お金が貯まらない」「1人暮らしできるような生活費を稼げていない」「地元に彼氏ができたから、実家のほうが便利」など、ただの言い訳にしか聞こえないことも多い。結局実家から出る気ないでしょう? と毎回思ってしまう。30歳近くなり実家から出られず、ずっとモヤモヤしているなんて理解できないと思うのは筆者だけではないはず!

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 そんな実家暮らしの女性の気持ちを代弁するコミックエッセイが『実家モヤモヤ女子 応援コミックエッセイ そろそろ実家を離れたい』(曽根愛/KADOKAWA メディアファクトリー)だ。主人公の木下まみを通して実家暮らしでモヤモヤしている女性の心の内を探ってみよう。

家族仲の良さが実家から出られない理由?

 1人暮らしをしたいのに実家から出られない理由はなんなのだろう? 本書からエピソードを抜き出してみる。

 まみは会社でお昼を食べている。彼女はいつもコンビニ弁当。理由は、家でお母さんの手料理ばかり食べていて「外のご飯が新鮮なんだよね~」というもの。料理だけでなく洗濯もお母さん。首都圏に住み、家賃もいらず、学生時代は電車通学、社会人の現在も電車通勤。おまけに家族も仲がいいと言えば出たくなくなるのは当然のことなのかもしれない。しかし、実家から出られないのは単純にラクだからという理由でもなさそうだ。

 ある日、まみが家に帰ると父がそわそわしている。少し照れたように取り出す『ムーミン画集』。それは、まみが欲しいと言っていたもの。しかし、その本はBOOK-OFFで購入した古本。まみは嬉しいような、少し寂しいような気分を抱くのであった。

 しかし、これも実家で家族仲良く暮らしているから起こるエピソードであって、1人暮らしではありえないだろう。きっと、バラバラに暮らしていてはまみの欲しい本すら、父にはわからなかったはずだ。他にもケーキを買って帰ると母も同じケーキを買ってきてしまったり、スタバに行ったことないけど、行ってみたい父を連れて行ったり、と、なんだか家族っていいなと思わせるほのぼのエピソードが起こる。

でもやっぱり実家を出たい、そのモヤモヤ…

 ラクだから! 家族仲良し! など実家暮らし女子の言い分はわかる。では、なぜ決して家を出ないのに(もちろん出る人もいる)「そろそろ1人暮らしをしてみたいんだけど」「30歳に向けて自立したい」と言う理由はなんなのだろうか?

 まみは女子会の帰りに1人暮らしの同僚とドラッグストアへ。同僚の買い物は、ゴミ袋、ラップ、詰め替え用シャンプーなどの生活必需品。それに対し、まみの買い物は、フリスク、アルフォート、ネイルカラー、詰め替えなしのオーガニックシャンプーなどの嗜好品。そこで情けなさを覚える、まみ。

 他にも弟夫婦の訪問で、弟夫婦がマイホームを建てることを知り、自分と比べてしまうエピソードや、友人の1人暮らし宅に行ってオシャレな雰囲気にうらやましさを感じるエピソードが描かれている。

 自分の情けなさを感じて自立したいと感じたり、他人に憧れを抱いてみたり、でも実家ってなんだか居心地が良かったり、モヤモヤと気持ちがループしているさまがよくわかる。

 本書を読むとなんとなく、1人暮らししたいけどできない気持ちもわかるような気もする。現在、実家暮らしの女子には共感できるポイントも多いだろう。

 しかし、個人的には思い切って一度ぐらいは1人暮らしをしてみてはどうだろう? と言いたい。1人暮らしで、またモヤモヤすれば実家に帰ってもいい。慣れない家事は大変かもしれないが、一旦、家を出ることによって実家の素晴らしさがわかるはずだ。前向きな1人暮らしは家族の大切さを、さらに感じさせてくれるものになるのではないだろうか。

文=舟崎泉美