『ビブリア古書堂の事件手帖』に続く大ヒット作は出るか? いま「キャラクター文芸」がアツい

文芸・カルチャー

2015/3/4

ビブリア古書堂の事件手帖

ジャンルを牽引する『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ。

2014年は、『ビブリア古書堂の事件手帖』に代表される「キャラクター文芸」「ライト文芸」「キャラノベ」などとカテゴライズされたイラスト付きの文庫小説の新レーベル創刊が相次いだ。(※同じイラスト付き文庫小説でもライトノベルとは区別される)

6月に富士見書房が「富士見L文庫」を創刊したのを皮切りに、9月には新潮社が「新潮文庫nex」を、11月には白泉社が「招き猫文庫」、朝日新聞出版が「朝日エアロ文庫」をそれぞれ創刊、これらのレーベルの作品は、「妖怪」「ライトミステリ」「お店もの」「女性主人公」「男性のタッグもの」などの要素を取り入れた作品が多く、女性読者を強く意識していることが特徴となっている。

  • 『悪魔交渉人』
    (富士見L文庫)
  • 『いなくなれ、群青』
    (新潮文庫nex)
  • 『双燕の空』
    (招き猫文庫)

このムーブメントの背景には、やはり『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上 延/メディアワークス文庫・1~6巻)の大ヒットがある。昨年12月にはシリーズ累計部数が600万部を超えたと発表された。そのほか、シリーズ累計部数が120万部を突破した『真夜中のパン屋さん』(大沼紀子/ポプラ文庫・1~4巻)や、『珈琲店タレーランの事件簿』 (岡崎琢磨/宝島社文庫・1~4巻)、52万部を突破した『思い出のとき修理します』 (谷 瑞恵/集英社文庫・1~3巻)、60万部を突破した「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」(太田紫織/角川文庫・1巻~7巻)などが後につづき、各社しのぎを削っている状況だ。

  • 『真夜中のパン屋さん』
    (ポプラ文庫)
  • 『珈琲店タレーランの事件簿』
    (宝島社文庫)
  • 『思い出のとき修理します』
    (集英社文庫)

2015年もこの流れは続く。1月に集英社が「集英社オレンジ文庫」を創刊、2月にKADOKAWA メディアファクトリーが「MF文庫ダ・ヴィンチMEW(ミュー)」をスタートした。集英社オレンジ文庫は、“魅力的な主人公”や“ストーリーへの没入感”をキーワードにしたライト文芸、MF文庫ダ・ヴィンチMEWは、「あした笑顔になれるお仕事エンタメ」をキャッチフレーズにしたキャラクター文芸シリーズ、とそれぞれ特徴を打ち出し、20代~40代を中心とした女性読者をねらう。

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それでは、この2レーベルから注目作品をひとつづつ紹介しよう。

まずは、集英社オレンジ文庫から『異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵』。

異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵』(谷 瑞恵)

英国で図像学を学んだ千景は祖母の営む『異人館画廊』で暮らしている。ブロンズィーノの贋作の噂を聞いた千景と幼馴染みの透磨は高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入するが怪しい絵は見つからなかった。が、ある収集家が所持していた呪いの絵画が、展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気づく。しかも鑑定を依頼してきたのが透磨の元恋人らしいと知って!?

こちらは、上でも紹介した『思い出のとき修理します』の著者・谷瑞恵さんの作品。「異人館画廊」シリーズの第1作目は集英社コバルト文庫より出ている『異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女』なので、こちらから読むと、より作品世界を理解できる。

つづいて、MF文庫ダ・ヴィンチMEWから『忍者だけど、OLやってます』。

忍者だけど、OLやってます』(橘 もも)

上司のくせに何かと私を頼る和泉沢創。会長の孫にして東大の院卒、モデル体型というスペックだけは最強のこの男、今回やらかしたのは重要書類の紛失。見つけ出すのは会社のためにも必要なこと。里を飛び出してから封印してきた忍術をついに解禁するときがきたのか。得意の変身術を駆使して調査を始めた陽菜子の前に、ドSなイケメン忍者のあいつが立ちふさがる。

忍者OLが主人公というトンデモ設定だが、奇想天外なストーリーと強烈なキャラクターたちが絶妙にバランスしているところがすごい。仕事に恋に夢に、悩める「働く女子」にぜひともオススメしたい作品だ。

本の売れ行きが厳しいと言われている出版業界だが、その中でも注目されているこの「キャラクター文芸」といわれるジャンル。今後もさらに新しい作品、新しいレーベルが生まれてくることは間違いない。『ビブリア古書堂の事件手帖』を超える大ヒット作品は「キャラクター文芸」から生まれるか!?