「いつも正しい人」が重罪を犯す? “完璧主義”は異常心理の入り口

社会

更新日:2015/3/19

異常行動をやめられないのは、麻薬のような快感のせい

 誰でも1度や2度は、子どもの頃にイタズラをして大人に怒られた経験があるはず。その時、悪いことだと知りつつもついやってしまったのはなぜかというと、そこに強い快感が伴っていたからだ…と、本著では説明されている。そしてイタズラをした時に感じた快感は、快楽殺人という異常性の高い犯罪や、執拗に続くイジメ、相手を支配・服従させるDVや虐待の加害者が感じるものと同じだというのである。それはまるで麻薬のように“クセになる快感”であり、そうした報酬があるために行動がエスカレートしやすく、ひとたび始めると容易には辞められないという一面をもつというのだ。

 また、虐待やイジメは、程度の差こそあれ誰の身近にもある“悪”であり、もし幼い時期にその標的になってしまうと、その子は他人を信じたり愛したりといったことができなくなったり、それによって周りにいる人(子ども)にも悪の種を植えこみ、拡大再生されてしまう(悪の温床になってしまう)のだという。そしてやがて、被害者自らが加害者になってしまうことも少なくないのだとか。これらの場合においても、被害者と加害者の境界は曖昧であると言えるだろう。

 誰もが心に“とらわれ”や不可解な衝動を抱え、正常と異常の狭間でもがいているのかもしれない。異常心理に足をすくわれないため、またストレスの多い現代社会を上手に乗り越えていくためには、本書のような心理学本を読み込んで自らの心のうちを把握しておくことが必須のようだ。

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文=増田美栄子