「上司に一目置かれたい!」「時流を読めるようになりたい!」新社会人のオススメ本

ビジネス

2015/4/6

 桜咲く4月、社会人として新たな生活をスタートする方も多いはず! 具体的な仕事内容はこれから覚えていくとして、最低限でも知っておきたいのが「今、日本で何が起きているか」といった社会知識だ。

 年の離れた上司との共通の話題としても頻繁に登場するし、時には「キミ、どう思う?」なんて意見を求められることも。上司や先輩たちは、ちょっとした会話の端々でも新人の力量を探っているのだ。ここで、「やるね!」と思われるかそうでないかは、その後任される仕事にも影響する。ちなみに経済用語の「ベア」を熊だと認識し、入社早々辛酸をなめたのは私だ。

 とはいえ、単語を知っているだけでは意味がない。ビジネスに活かすためにも、背景や問題点を含めて理解しておく必要がある。というわけで、ぜひ一読をオススメしたいのが、日本で起きている問題を経営者視点で分析する『日本の論点2015~16』(プレジデント社)だ。

 著者は、世界各国を飛び回る経営コンサルタント・大前研一氏。過去には英国エコノミスト誌にピーター・ドラッカーと並ぶ“思想的指導者”としても選出された氏が、世界中のメディアから得た情報をじっくりとかみ砕き、論点と解決策をセットで提示している。

 実は2013年度にも一度上梓され、ビジネスマンの間で爆発的な人気を呼んだ。本書はその2015年度版なのだ。

「オリンピックバブルに騙されてはいけない」
「日本の部長の給料はなぜ、世界最低レベルなのか」
「シリア戦も不可避!? 『集団的自衛権』容認の危うさ」
「シェールガス革命で浮かぶ会社、沈む会社」など

 こうした話題を3時間くらいあれば読破できる点もオトクなのだが、なにより勉強になるのは経営者の思考の仕方、物事のとらえ方だ。

 たとえば、「オリンピックバブルに騙されてはいけない」の項目では、「オリンピックのような国家的イベントが成長のきっかけになるのは途上国においてだろう」として、今人気のウォーターフロント不動産は今こそ「売りどき」だという。

 かわりに、「事業家の視点で見れば、東京の東側、湾岸エリアは狙い目と言える」。なぜなら、サンフランシスコの「フィッシャーマンズワーフ」、ロンドンの「カナリーワーフ」など、「寂れた港湾が再開発で生まれ変わり、世界中からヒト、モノ、カネを呼び込む成功例はいくつもある」からだ。

「世界中の港湾再開発を私はこの目で見てきたが、築地、勝鬨、晴海辺りのウォーターフロントも構想次第で大きく生まれ変わる可能性を秘めている」。そうつづる大前さんが長年提唱してきたのが、この築地、勝鬨、晴海周辺を再開発する「湾岸100万都市構想」だ。

「住宅街とビジネス街、商業施設が揃った職住近接の24時間タウンにする。ボードウォーク(遊歩道)でつなげば、銀座から歩いて帰ってこられる。大学もつくる。(中略)シリコンバレーやボストンのように、起業家やインキュベーター、学生がカフェで気軽に出会える環境を整えるのだ」

 しかし、今回の東京オリンピック決定で「東京で一番有効な土地が再び7年間、塩漬けにされることに」なってしまった。オリンピック特需を夢見て浮かれてばかりもいられない、意外な側面が見えてくる。

 いずれのテーマも初心者向けではない。難解な点もあるかもしれない。でも、ちょっと背伸びをしてでも、経営者の見ている世界をのぞいてみてほしい。

 本書で、今日本で起きている問題のポイントをつかみ、自分なりの考えを整理しておくと「勉強してるじゃん!」と上司から一目置かれることもあるだろうし、なにより、時流を読みながら動く感覚は、これからビジネスの世界に身を置く上できっと役立ってくれるはずだ。

文=矢口あやは

『日本の論点2015~16』(大前研一/プレジデント社)