こんな作品読んだことない! 石田三成が主人公! 予測不能すぎる歴史マンガ『セキガハラ』

マンガ・アニメ

2015/4/23

 石田三成といえば、豊臣秀吉家臣の中でも真面目な優等生キャラで、戦国武将のなかでもどちらかといえば人気がないほう。なのに、その三成を主役にしたコミック『セキガハラ』(長谷川哲也/リイド社)がこんなに面白いなんて…! 4月23日(木)には、最新4巻が発売された。

 “歴史マンガなのに展開予測不能”と、すでに帯で宣言されている『セキガハラ』は、関ケ原の合戦の2年前、三成の城に下働きとして入り込んだ忍者が大砲的威力のデコピンを喰らうところから始まります。デコピンしたのは三成。観相で未来を読むこともできる異能の持ち主かつハンサムガイ。三成に限らず、このマンガに登場する戦国武将はすべて天魔と呼ばれ、思力といわれる超能力を自由に操るのです。

 三成のハンサム度もすごいんだけど、登場人物のキャラ立ちがまたすごい。狂気とマトモの振幅が激しすぎる秀吉に、荒木経惟さんみたいな髪型の前田利家、巨乳くノ一に変身しちゃう淀君、グラサンかけた酔いどれ島左近、妖怪のような柳生石州斎、虎そのものの加藤清正。毎回名乗られて「えっ! あなたが!?」と驚きます(納得できる要素はちゃんと残っているんですけどね)。

 教科書に載っていた戦国武将の肖像画とか、比較的カジュアルに「NHK大河ドラマ」でもいいですが―—通常のイメージと比較すると全員もれなくギャップが巨大なので、意識が一万光年ほど遠くなります。とくにすごいのが徳川家康で、初登場時から野武士の足首もって地面に叩き付け、殲滅。そればかりか、しばしば大豪院邪鬼のように巨大化してときに城を破壊、走ってくるときのかけ声が「健康!」「筋肉!」で、作者の長谷川哲也さんが子孫の人に怒られないかひやひやします。実際にお手に取っていただきこの熱量を確認していただくしかない!と思います。

 歴史上の人物をモチーフにしたフィクションは今まで色々と読んだり見たりしてきましたが、『魔界転生』どころか『ジョジョ』『北斗の拳』『男塾』みたいな時代物は初めて。1回目は新鮮さに、2回目以降はあまりのトンデモ度につい手が出てしまい、そのたびに一気読み。巻が進んでも勢い止まらず、謎の巨大生物を操る黒田官兵衛などが登場して、キャラの豪華さと濃さとトンデモ度が増して行く。と思いきや、思わず感動するシーンもあり、この世界観は往年の『ジャンプ』読者だけじゃなく二次創作大好きなお姉様たちにもウケると思われます。映像化したらスゴイことになりそう…。ああ、でもメジャーになりすぎたら作者が怒られるかもしれないよう。それはそれで面白いので、待て、映像化。

文=遠藤京子

『セキガハラ』(長谷川哲也/リイド社)

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