【佳子さま入学】ICUの校風として「ファンクラブ」は考えにくい

社会

2015/5/19

 「ICU学内で「誰が佳子さまとセクメになったのか」の話題出る」――先日こんなタイトルのネットニュースが出ていた。「セクメ」とは、「セクションメイト」の略称。国際基督教大学(ICU)に入学した1年生全員がレベル別に振り分けられる英語のクラスを「セクション」と呼び、そのクラスメイトを「セクションメイト」、略して「セクメ」と言うのである。ちなみに、派生語としては、クラスメイト全員が集まって飲み会をする「セクコン」(セクションコンパの略)なんかがある。慣れればどうってことなく「今日はセクメと飲む」、「来週末はセクコンだよ」などと使いこなせるのだが、件のネットニュースを見ながら、ICUに入学後、最初にして最大のカルチャーショックだったことを思い出した。畏れながら、筆者は佳子さまの先輩である。

 佳子さまはそのご容姿も手伝ってなのか、ICU入学が決まって以来、一挙手一投足が話題になっている。何のサークルに入るのかに始まり、学校帰りにどこのお店に立ち寄るのかまでもが注目の的。大学の近くのラーメン屋「ぐうたら」がTVや雑誌に取り上げられる日が来るとは思ってもいなかった。ICU出身であることを人に話すと、昨今のニュースの影響で「近くに“ナマケモノ”だか“モノグサ”みたいな名前のラーメン屋があるんでしょ」などと言われる始末だ。

「佳子さまファンクラブ」のようなものが結成されただのされてないだの、といった噂を聞いたときは、耳を疑った。ICUには「ミスコン」がない。人種、性別、あらゆる“ボーダー・垣根”を嫌う自由な校風が、否が応でも“性差”を意識せざるを得ない「ミスコン」をさせない流れを作っていたのではないだろうか、と私は思っている。数年前、文化祭でミスコンをやる話が持ち上がった際は、反対運動が出ていたくらいである。その反対運動の趣旨も、「性差から自由であるべき」といったもので、結局、ミスコンは開催されていない。もしも、「佳子さまファンクラブ」が事実だったとしても、その現象に対して懐疑的な意見が出ていることは想像に難くない。“ICU的”な校風が今の時代も崩れていないのであれば、「皇族」だろうと、「美人」だろうと、それ以前に一人の人間、という考えを持った人が多数派のはずである。

 佳子さまだけでなく、眞子さまに関してもだが、皇族のICU生活が論じられる際に必ず議題として出てくるのは、“ほかの学生とどう関わるのか”。現役の後輩が「普通なんじゃないですかね」と気の抜けたことを言っていたのを聞いたことがあるが、これ以上でもこれ以下でもないと私も思う。入学後、最初の英語の授業では、担当教師から「先生も含めて全員名前で呼び合いましょう」と指示される。「プリーズ コール ミー マユミ(マユミと呼んで下さい)」などとセクメと言い合う。佳子さまも眞子さまも、「プリーズ コール ミー カコ(マコ)」と言い、「カコ」や「マコ」とセクメたちから呼ばれているはずだ。

 皇族と言えば学習院、というルートを破ってまで、どうして佳子さまも眞子さまもICUに来たのか、という疑問への答えは、『佳子さまご成年記念 秋篠宮家 25年のあゆみ』(朝日新聞出版)に見え隠れしているように思った。本書には、「小学校2年の夏からフィギュアスケートを始め、大会優勝経験もある佳子さま。皇族といえばテニスという世の常識を更新したのだった」といった記述や、「震災直後、宮内庁の職員に混じって、紀子さま、眞子さま、佳子さまがマスク姿でタオルの袋詰め作業をしていた」といった記述がある。「皇族だから」という“垣根”から良い意味で自由になれる環境が、ICUには揃っている。

文=朝井麻由美