アナタのその息苦しさは“気にしすぎ症候群”が理由? 改善に役立つ5つのヒント

人間関係

2015/6/9

 誰でも多かれ少なかれ、生きていれば不安や悩みはつきまとう。何かを気にするというのも自然なことだが、気にしすぎるがあまり、毎日に息苦しさを覚える人たちもいるのではないだろうか。

 かくいうこの記事を担当する筆者もその一人。メールの返信間隔が空くと「何か気にさわってしまったのか」と落ち込んだり、会話がいまいち盛り上がらないと「つまらないことを言って申し訳ない……」とウジウジ考え、あとあと一人反省会で眠れなくなる日も少なくない。

 気にするのではなく“気にしすぎる”のは辛いものだが、今日明日で治るとも思えず、そんな自分と付き合い続けるのもしんどい。でも、そんなあなたにちょっと手に取ってほしい一冊がある。『気にしすぎ症候群』(小学館)である。著者は、心理学者の伊東明さんだ。

 気にするという行為自体は、生き残る上での本能的な「リスク回避」の一貫であるという著者。しかし、気にしすぎは「過度なリスク回避」であり、「気にすれば、安全や安心、自分の望みが叶う」という誤解から来るものだと語る。では、気にしすぎる私たちはどう立ち回るべきなのか。著者は、5つのステップに分けて改善に役立つ方法をすすめてくれている。

ステップ1)気にしている自分に気づく

 改善したいのであれば、まずは自分の現状を整理する必要がある。例えば、次のような質問を自分に問いかけてみてほしい。ポイントは「気にしすぎている自分」を第三者的に、遠くから見つめるということだ。

・色々と「全般的に気にしすぎる」タイプか。細かく「特定のことを気にする」タイプか?
・気にしすぎる瞬間はどんなときか。きっかけはどんなことか?
・気にしすぎる場面で、頭や心の中にどんな考えや気持ちが思い浮かぶか?
・気にしすぎた結果、自分にとってよかったのかよくなかったのか?

ステップ2)気にすることを気にしない

 自分が気にしすぎる状況を振り返っても「治さなければ」と強迫的に考えるのは禁物。「気にしすぎるのを治す」ことを気にしすぎては、本末転倒にもなる。繰り返しになるが、気にするのは人間の本能でもあるため、受け入れる姿勢も大切だ。

 性格や気質はたやすく変えられない。そのため、心理学的な方法を著者はすすめている。一つは思い込みを利用する「ラベリング」と呼ばれるもので、気にしすぎて「ダメな自分」と捉えるのではなく、あくまでも「自分は気にしすぎるタイプなんだ」と納得させる。固定観念の捉え方を変える「リフレーミング」を使ってみるのも有効で、気にしすぎる自分は「弱い人間だ」とは思わず、頭に浮かぶ「考え方の一つなんだ」と思ってみる。

ステップ3)気にしすぎの「時間」と「量」を短縮する

 現代社会では「どんなときも“ポジティブな自分でいなきゃ”と考える人が後を絶たない」と指摘する著者は、「徐々に、少しずつ」治せればよいと語る。気にしすぎをどうしても後ろ向きに考えてしまうなら、無理に前向きになる必要もないということだ。

 今日明日で変わるはずもないなら、少しずつ減らしていければよい。例えば、電車内でふと「あんなこと言わなきゃよかった……」と浮かんだなら、次の駅になったら“忘れる”という自分なりのルールを作ってみる。そのルールを身体に染み込ませていくのも、考え方や行動を変えるには有効な手段である。

ステップ4)気にしすぎの思考をやめる

 ここで役立つのは「思考停止法」と呼ばれるもの。シビアに成績を問われるスポーツ選手は、後ろ向きな思考へ陥ったとき、手首の輪ゴムを引っ張るというやり方でこの手法を取り入れている。また、緊張したときに手首をつねる、手の甲を叩くといったかたちで、この手法を取り入れている人たちもいるという。

 しかし、日常的に身体を痛めつけるというのは抵抗も感じる。そこで代替え案として、著者が提案するのは「別の思考で気にしすぎの思考を乗っ取る」という方法だ。つまり、気にしすぎる内容とは異なる世界へ飛んでみるというやり方である。

 例えば、誰かとの会話でしくじったと思い込み、あとあと「あぁ、あんなことを言ってしまって自分の評価が下がったかもしれない……」とへこんだとき。思いきって「まあ、それは置いといて、今日の夕飯は何にしようかな?」と、まったく別な話題を考えてみる。ともすれば現実逃避といわれかねないが、これも自分を守るために必要な「思考停止法」の一種である。

ステップ5)有効な「気にしすぎ」に変える

 気にしすぎにも「メリットとデメリットがある」と著者はいう。すなわち、役に立つ「効果的なもの」と、反対に弊害となりかねない「非効果的なもの」があるということだ。

 例えば、仕事上で「締め切りをきちんと守れるかどうか」と考えるとき。この場合、結果としてスケジュールの確認や見直しなど、実際の行動につながれば効果的といえるが、期限が迫る中で何もせず、ただただ「できない自分を責める」だけでは非効果的になってしまう。つまり、ポイントは自分が手にしたい結果や目標と結びついているか、そして、そのために行動へつながっているかどうかも重要になってくる。

 また、気にしすぎる意味がなければ「やめた方がいい」と見切りを付けるのも大切。さらに、気にしすぎた先で「変えられるかどうか」も見きわめには欠かせない。例えば、どうあがいても変えられない過去にとらわれては苦しくなるだけなので、あくまでも現在、その先の未来に向けて役立つかどうかを自分自身の中でかみしめてみよう。

 改善の方法が合うか否かも人それぞれなので、一つひとつのやり方や順番にとらわれることなく「肩の力を抜いて取り組む姿勢が大切」だと著者は述べている。気にしすぎるのは裏を返せば“慎重である”とも言い換えられる。そのため、気にしすぎる自分を受け止めつつ、上手く付き合っていくというのが理想なのかもしれない。

文=カネコシュウヘイ