「蘭姉ちゃんのツノ」はあの事件から登場! その角度の変化を追ってみた

アニメ・マンガ

2015/7/16

 国民的人気マンガ『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)。主人公の幼なじみである毛利 蘭の一風変わったヘアスタイルは「蘭姉ちゃんのツノ」として親しまれ、ネットを中心にネタにされている。ヒロインに生えたあのツノはいったい何なのだろうか。ツノは今までどう進化してきたのか。単行本をもとに実際に調べてみることにした。

『名探偵コナン』は『週刊少年サンデー』にて1994年より連載が開始され、単行本第1巻はその年の6月に発売されている。早速、第1巻から読んでみると、初登場した蘭には、なんとツノがないのだ。襟足は今と変わらずストレートのロングヘアだが、頭頂部にあの出っ張りはなく、フワフワとウェーブしている。第1巻では、高校生探偵・工藤新一が怪しげな黒ずくめの男たちに飲まされた薬によって身体を縮められ、「江戸川コナン」として蘭の家に居候するにいたる経緯が描かれているが、1カ所だけ、蘭の髪が逆立つ場面はある。それは、蘭と新一が遊園地デートをするシーン。せっかくのデートだというのに延々とホームズやコナン・ドイルの話ばかりする新一に怒りをぶつける蘭は、髪を幾重にも逆立てている。髪型が変形しているという点でツノの原型といえるかもしれないが、お馴染みのツノとは見た目が異なるし、現在のように日常的にツノが生えるには至っていない。

 第2巻でも、日常的に蘭にツノは生えていない。しかし、読めば読む程にフワフワと曲線で描かれていたはずの蘭の頭は次第に直線でカクカク、ゴツゴツと描かれていく。そして、ついに蘭の髪が初めて現在のツノに近い形を見せ始める。それは、父親探しを依頼してきた広田雅美が殺されてしまったのではないかと蘭が涙するシーン。この「広田雅美」とは後々登場するキャラクター・灰原哀の姉であるのだから、コナンの全体のストーリーの中でも蘭のツノは重要な事件で生じ始めたといえる。2巻で蘭のツノが初めてツノらしくなるのはこのシーンのみだが、記念すべきツノの誕生といえるだろう。

「たまにしか現れないツノは一体どう進化していくのか…」と思いきや、第3巻では、蘭の髪のウェーブはさらに少なくなり、ツノが定着していく。といっても、角は丸みを帯びており、現在と比べるとだいぶ緩やかで、ツノの角度は95~100度程度。もっともツノがはっきりと現れるのは、蘭が初めてコナンの正体を「新一」ではないかと疑う場面。「ま、まさかこの子…」。蘭がコナンと新一を重ね合わせる場面では、80度。ツノは蘭の感情と相関しているのだろうか。新一への怒りとともに角度は鋭くなっていく。

 4巻では、平均70~75度と少し鋭利となり、5巻でも同様。しかし、コナンが新一の名前を出して推理を行うと、ツノの角度は60度と鋭くなる。

 極めつきは、7巻から8巻にまたがる「新一の恋人」と名乗る依頼人の事件。「新一に恋人がいたの?」と怒りを露にする蘭のツノの角度は65~70度と次第に急になり、その怒りが頂点に達する場面ではついに55度にまで尖ってしまう。

 そして、4巻で平均70~75度程度だったツノは9巻では65~70度、初めて西の高校生探偵・服部平次が登場する10巻では60~65度と、5度程度ずつ、ツノの角度の平均が下がってきている。特に10巻では、平次の推理力に新一を重ねた時に55度、新一のことを思い出した時に50度。実際に新一が現れた時には60度と角度は振るわなかったが、蘭のツノは確実に急になってきているといえるだろう。実際にこの角度は段々と急になり、最新刊86巻では、50度がデフォルトとなっている。

 1巻から通して読んでみると、蘭のツノが高く伸びていっているように見える。つまり、角度だけでなく、次第にツノの面積も徐々に徐々に広くなってきているのだ。

 どうやら、ツノは蘭の感情とともに角度が変化しているらしい。特に、新一への思いが増すと蘭のツノも尖っていくようだ。悲しみの感情でもツノは生じるが、特に怒りの感情が芽生えた際に蘭のツノは尖る。「新一! 早く蘭のところに帰ってあげないと、ニョキニョキと伸びた蘭のツノに刺されちゃうわよ!」とおせっかいながらも思ってしまう…。

 作者の青山剛昌氏が入院のため、『週刊少年サンデー』の『名探偵コナン』の連載は3カ月過去作品を再録する「復刻連載」となっていたが、7月22日発売予定の34号から、青山氏が完全復帰、コナンは新たな展開を迎えることだろう。蘭のツノはどうなっていくのか。主軸のストーリーだけではなく、今後ますます目が離せなくなりそうだ。

文=アサトーミナミ