女子力低迷中の派遣社員が憧れの美容部員に! 25歳からの人生の「リメイク」の方法とは?

マンガ

公開日:2015/7/24

 20代も後半になると、日々、将来に対するさまざまな不安や憂鬱が増えてくる。このまま同じ仕事を続けてよいのか、周囲は結婚や出産をしているけれど、自分はどうするのか。これは、20代前半の時にはあり得なかった悩みである。同世代女子との生き方の違いがはっきり出てきて、周囲と自分の状況を比較してしまい、ストレスはたまる一方……。本当は、夢や目標に向かって思い切りぶつかっていきたいけれど、年齢や、今から現状を変えることに対する不安を覚え、二の足を踏んでしまう女性は多いのではないだろうか。

リメイク』1~5巻<以下続巻>(六多いくみ/マッグガーデン)は、そんな女性たちの鬱々とした日常を変える、最初の一歩を踏み出す勇気をくれるマンガである。

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 主人公は、25歳の派遣OL「奥村かのこ」。事務員としての仕事はそつなくこなせるが、気づけば彼氏いない歴も3年目に突入。大きな不満はないものの、マンネリ気味の日常を送っている。

 そんな彼女はある日、日々たるんでいく自らの体や、はげかけのネイル、次々と結婚していく友人たちを見て、焦りと女子力低下を感じ、久しぶりに百貨店のコスメ売り場へと向かう。顔立ちだけではなく、手の動かし方や声の出し方まで綺麗なBAさん(ビューティーアドバイザー=美容部員)にメイクをしてもらい、雰囲気が明るくなったことに感動したかのこは、さっそく会社にもメイクをしていく。しかし、トイレで自分より若い後輩から「なぁんか奥村さん頑張っちゃってましたよねー 25過ぎると焦り出てくるのかなぁ」という陰口を聞いてしまい、ショックを受ける。

「デキる美女」でも「ゆるカワモテ子」でもなく、「負け組」であると自覚したかのこは「変わらなきゃ負ける!!」と強く思い、自分を変えてくれた「メイク」の世界に飛び込むことを決意。派遣の契約は更新せず、伸ばしていた髪も切り、BAの面接を受けに行く。自分の本当の気持ちから逃げず、真剣に向き合い、BAとしてステップアップする過程が丁寧に描かれている。

 接客業の経験がなかったかのこは、始めは美容業界の「売上とってナンボ」の現実に打ちのめされ、先輩とも衝突し、数々の失敗を経験する。しかし、理想に近づくために腹をくくり、商品知識を学び、タッチアップのスキルを身につけ、新客獲得や売上貢献など、徐々に厚くなる壁にも負けず、自らもどんどん美しくなる様子に、「美しさ」だけでなく、プロ意識を持って真剣に仕事に取り組む大切さも教えられる。

 また、自分が客の立場であった時のことを思い出し、お客様が、来た時よりキレイになるようにメイクして、笑顔になって喜んで帰って頂くために、親しみやすい、丁寧な「私なりの接客」をいつも心がけていたことは、とても好感が持てた。

 ちなみに本書は、BAの経験がある作者が描いている作品。アイラインの引き方やマスカラの塗り方、リフレッシュできるマッサージの方法など、実際につかえる美容の豆知識があちこちに紹介されているのも嬉しい。また、華やかに見えるBAの仕事の大変さや裏側も、とてもリアルに描かれている。医学書のような本を読み、皮膚生理について勉強していたり、客が求めている「キレイ」の方向性をカルテから一瞬で把握し、コスメを選んでおすすめしたり。その姿に驚かされる読者も少なくないだろう。

「キレイになりたいし、人生だって変えてみせたい!」そのどちらも手に入れたいと願う、全ての女性を温かく励ましてくれる一冊だ。いつも等身大で頑張るかのこから「自分の本当の気持ちから逃げずに、臆することなく頑張ろう!」と励まされるので、ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ