市川猿之助「歌舞伎は『ONE PIECE』を上演するのに一番ふさわしい演劇形態」スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の詳細が明らかに！

　7月28日、都内にて、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の製作発表記者会見が行われ、演出・主演の市川猿之助、脚本・演出の横内謙介が登壇した。

　2014年12月に「ジャンプフェスタ2015」で発表されて以来、大きな注目を浴びている、スーパー歌舞伎II『ワンピース』。ルフィ、ハンコック、シャンクスの三役を務める猿之助は、「原作のあるものはやはり原作が一番いいし、それを壊さないように作品化、舞台化するというのは難しい。後戻りの出来ない航海に出発したんだと実感している」と緊張した表情を浮かべたが、「『ONE PIECE』をまったく知らない人でも楽しめる作品にしていきたい。また、子どもでも楽しめるような仕掛けも作っていければ」とかつてないスケールのプロジェクトに対して、前向きな気持ちを述べた。

　今回歌舞伎化されるのは、シャボンディ諸島から頂上戦争まで（51～59巻収録）。横内氏は、「いくつかプランはあったんですが、大きな戦いなので初めて見る人に分かりやすいし、現時点での麦わらの一味が勢ぞろいしているのでここに決めました。セリフも歌舞伎言葉ではなく、ルフィの言葉のままでいくことになりました」と選んだ理由を語った。猿之助も、「火の戦い、氷の戦いというスペクタクルな場面がありますが、それはやってみたいと考えています。それと今回は、演舞場では初めての斜め宙乗りに挑戦して、客席上を飛ぶことになってますので、昔から歌舞伎を支えてくださっている方々にも楽しんでいただけるのでは」と新たな演出方法に挑戦することを述べた。

　報道陣からの、普段『ONE PIECE』を読んでいるのかという問いに対し猿之助は、「尾田先生が送ってくださいましたが、1巻の10ページで終わりました。中村亀鶴さんに、作り手が、原作を本当に好きな者同士だとものすごくこだわってしまうから、原作は読まない方がいいと言われたんです。だから私は『ONE PIECE』を知らない人の目線を残すためにも、あえて読まないようにしました」と明かした。ルフィ、ハンコック、シャンクスという、大人気キャラクターを演じることも、「知らないから演じられるんです。知っていたら恐れ多くて演じられないです（笑）」とコメントした。

　猿之助が三役務めるように、一人何役も演じるのは歌舞伎ならでは。そもそも歌舞伎は、『ONE PIECE』を上演するのに一番ふさわしい演劇形態ではないかと猿之助は語る。「普通の芝居では、長い物語の中の一つの場面をクローズアップして上演するということはなかなか難しいが、歌舞伎ではそれを昔から行ってきている」と理由を述べたが、「ルフィの特性である“ゴム”をどう表現するかはまだ決まってません。歌舞伎的な手法か、現代的な手法かは今後相談していきたい」と“ゴム人間”であるルフィをどうやって演じるかはまだ試行錯誤しているようだ。

　最後に猿之助は、「どのような作品になっていくのかまったく想像がつかないですが、皆さんとともにどういう宝が見つかるか、宝探しの旅に出たいと思います。どうか温かく見守っていただければ」と締めくくった。会見では尾田栄一郎からのコメント、配役なども発表された。10月からの公演にますます期待が高まる。

＜尾田栄一郎からのコメント＞
演劇と歌舞伎の境界線はどこにあるのかと尋ねると「全ての所作が美しいのが歌舞伎です」と猿之助さんは言われました。
僕はONE PIECEを美しく描いた事はありません
つまりこれは、海賊と美しさのコラボレーション。
歌舞伎というフィルターを通すと、海賊達がどんな美しさを放つのか
制作の片鱗を見せていただくに、すごいものになるという予感しかいたしません。
言わずもがな、市川猿之助さんという才能に超ご期待ください！！

＜主な配役＞
市川猿之助・・・ルフィ、ハンコック、シャンクス
市川右近 ・・・白ひげ
坂東巳之助・・・ゾロ、ボン・クレー、スクアード
中村隼人 ・・・サンジ、イナズマ
市川春猿 ・・・ナミ、サンダーソニア
市川弘太郎・・・はっちゃん、戦桃丸
市川寿猿 ・・・アバロ・ピサロ
市川笑三郎・・・ニョン婆
市川猿弥 ・・・ジンベエ、黒ひげ（ティーチ）
市川笑也 ・・・ニコ・ロビン、マリーゴールド
市川男女蔵・・・マゼラン
市川門之助・・・つる
福士誠治 ・・・エース
嘉島典俊 ・・・ブルック、赤犬サカズキ
浅野和之 ・・・レイリー、イワンコフ、センゴク

　その他詳しい情報はスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』特設サイトへ