意外な設定に迷セリフ… ジワジワくるぞ『リサとガスパール』

文芸・カルチャー

2015/9/16

 日本語版の絵本が刊行されて、今年で15周年を迎える「リサとガスパール」シリーズ、通称“リサガス”。ゲオルグ・ハレンスレーベンさんが描く独特なタッチのイラストが印象的な絵本だ。今年8月に開催された「リサとガスパール展」も大好評。絵本だけでなく、グッズやLINEスタンプなども大人気だ。

 リサとガスパール、そしてその家族は、「ウサギでもイヌでもない未知の生物」とされている。絵本ではリサガス家族以外は普通の人間で、リサたちは人間に混じって学校に通ったり、普通に生活している。しかしなぜか、誰もリサたちに違和感を抱いていない。

 リサガスのキャラクターは、子どもから大人まで幅広い層に愛されている。しかし、絵本の内容は意外と知られていない。絵本は、上の説明からも分かるように実は相当シュール。フランスらしいユーモア溢れる作品となっている。今回は、そんなリサガスの絵本についてご紹介しよう。

意外と知られていない! リサとガスパールにはこんな設定が!

●リサには妹と姉、ガスパールには兄と妹がいる。
 リサ、ガスパールは比較的認知されているが、その家族構成をご存じだろうか。リサは、姉のビクトリア、リサ、妹のリラ、そして父親と母親の5人家族。ガスパールの家族は、兄のシャルル、ガスパール、妹のルイーズ、父親と母親とこちらも5人。二足歩行のもふもふした生物が10人もいるのに、誰も不思議に思っていないのがこの作品。

●リサが住んでいる場所は、パリにあるポンピドゥー・センターのパイプの中。
 リサ一家は、フランスのパリにある有名な総合文化施設「ポンピドゥー・センター」のパイプの中に住んでいる。そこにはパパが手作りしたという、パイプの中とは思えない「木のおうち」がある。ここに住んでいることは誰も知らない秘密だそうで、ばれたら困るとリサのパパ。リサの悪戯好きな性格は、パパ譲りなのかもしれない。

●マフラーは、元々はリサが青でガスパールが赤。
 いつも2人が身に着けているマフラー。今はリサが赤でガスパールが青だが、元々は逆。『リサとガスパールのであい』で、ガスパールの通う学校に転校してきたリサとの出会い、そしてケンカが描かれ、最後に仲直りの印としてマフラーを交換するシーンが登場する。ここから、2人の関係は始まったのだ。

思わず、えっ!?(笑) リサとガスパールの迷セリフ

「わたしは じっとしているつもりよ。うごいているのは ひこうきのほう」(『リサ、ひこうきにのる』)

 リサが1人で飛行機に乗る話。横に座っていた女の人が、リサに「こわくないから じっとしててね」と話しかけた時のリサの対応。結果、女の人は別の席に行ってしまった。しかしリサは、「どうしてかしらね」で片付け、2人分の席を占領して大満足。この自由人っぷり、さすがである。

「おんなのこだったら ゴミバコ おとこのこだったら ゴキブリ」(『リサのいもうと』)

 リサに妹ができる話。リサの母親のおなかが大きくなった。カバンも持ってもらえないし、一緒に遊んでももらえないとすねているリサ。そんな中、赤ちゃんの名前をみんなで考えることになった。そこでリサが発した言葉。パパやママを取られたくないというヤキモチなのだが、それにしてもひどいネーミングだ(笑)。

「しかたないから……おもいっきりさけんだ!! ギャ~~~~~~」(『リサのおうち』)

 リサが住んでいる、ポンピドゥー・センターでの出来事。定休日に館内を探検していたリサ。おうちへ帰ろうと手すりを滑っていたら、変な場所に落ちてしまった。地面まではまだまだ遠く、身動きが取れない。怖くて泣くのかと思いきや……まさかのこの展開。将来は大物になりそうだ。この場面の絵本のイラストが衝撃的なので、ぜひ見てみてほしい。

「バラディせんせいのクラスにしてもらうために きゅうしょくをたべないっていうのはどう? つまり ハンガーストライキさ」(『リサとガスパールのしんがっき』)

 新学期、クラス替えで、優しいバラディ先生のクラスじゃなかったと大騒ぎのガスパール。リサと2人で、バラディ先生のクラスに変えてもらう方法を考えていた。そこでガスパールが発した一言。リサもあっさり承諾するが、この日に限って好物が給食に出てしまい、さっそく窮地に。2人が真剣なのは分かるが……可愛い(笑)。

 上記はごくごく一部で、他にも面白エピソードが満載。どの話も、子どもの目線の子どもの世界が描かれていて、新鮮で懐かしい気持ちになり、笑える。リサガスワールド未体験の人は、ぜひ絵本を読んでリサガスたちに癒されてほしい。

文=月乃雫