ツンデレ×ツンデレがマウントを取り合う! 最強にときめく少女マンガ『高嶺と花』最新巻明日発売!

マンガ

公開日:2015/11/19


『高嶺と花』(師走ゆき/白泉社)

 姉の身代わりで見合いした相手は、顔よし・肩書きよしの御曹司。しかも何故だか彼に気に入られてしまい、どうする平凡な女子高生!? な、いわゆるシンデレラストーリーの『高嶺と花』(師走ゆき/白泉社)ですが「あー、はいはいよくあるやつね」と侮ってかかると火傷します。1巻読み終わった時点で「なにこれ超おもしろいっていうか胸がときめきすぎてヤバいんですけど!?」と悶絶していた私が保証します。ええ、侮ってましたよ。いまや3巻ラストのちょん切れ具合に地団駄ふむくらいハマってますよ。本当にすみませんでした!

 ……と、テンションが高くなってしまうのもこのマンガの効用。なにせ主人公も相手役のヒーローも終始一貫、はじけてる。女子高生の花は足がちょっと速いのが取り柄の平凡な女子高生。特筆すべき点があるとすれば極度の負けず嫌いということで、そこにひねくれ気質がくわわると、乙女なら誰でも胸を高鳴らせるようなシチュエーションにも「壁ドンしたはいいけどその後どうしていいかわからなくなるのやめて下さい」なんて冷静に切り返しちゃいます。

 かたやヒーローの高嶺は、顔よし、スタイルよし、肩書きよし、家柄よし、しかも頭がよくて仕事もできるというスーパーエリート御曹司様。女に不自由したことがないといいながら、ほぼ初対面で10歳も年下の花にさえ「とりあえずモテるけどすぐフラれるでしょ」と看破されるほど女慣れしていない残念なイケメン。そんな彼が、自分の常識を打ち破る花に惚れ……たのかどうかは定かではないがとにかく“気に入って”、相手違いと知っても見合いの続行を申し込むのが物語の始まり。そう、本作は歳の差カップルのラブストーリーではなく、意固地で負けず嫌いな二人による長い長~いお見合いを描いたお話なのです。

advertisement

 ちょっとでもときめく気配を見せればとたんに鼻高々に邪悪な笑みを浮かべてマウントをとりたがる高嶺に対し、どこまでもクールでやや悪意のあるツッコミで軒並み打ち返していく花。とにかくテンポのいい二人の掛け合いには、「確かにこれは見合ってるな……(相撲稽古みたいに)」と思わずにいられませんが、その合間に見えるのが二人の不器用な本音。

 自分と同レベル、むしろ高校生以下の子供じみた言動で自分をふりまわす高嶺がふと見せる大人の表情。天上天下な俺様なのに、激務の合間に時間を作って会いに来て、なおかつそれで身体を壊すという一面に心絆されずにおれましょうか。高嶺は高嶺で、容赦なく自分をぶちのめしてくるくせにときどき妙にしおらしくなったり、自分以上に大人な気遣いを見せてくれたりする花が、無邪気に全力で笑ってくれる姿に心奪われていたりする。でも二人とも、どっちも「好き」って言わないからね。まだ結論の出ない見合いだからね!

 金持ちと庶民。社会人と高校生。住む世界の違う淋しさと不安はどちらの心も揺らします。個人的には、花の幼なじみ・岡本くんに高嶺の余裕を全力で破壊していただきたい所存。いやもうさ! クールでスポーツマンでいつも見守ってくれている男子高生が幼なじみって花ちゃんどれだけですか! 古今東西、当て馬男子がどれだけ魅力的かで少女マンガの価値も高まるというもの。徐々に目覚めはじめた岡本くんの今後に期待します。というか! 3巻ラストがあれはずるいよ!

文=立花もも