猫式生活とは、夫婦生活と同じ 読めば一石二鳥の『猫式生活のすゝめ』

暮らし

2015/11/19


『猫式生活のすゝめ: 猫飼いが知っておきたい100のコト』(加藤由子:監修、猫式生活編集部:編/誠文堂新光社)

 金婚式や銀婚式を迎えた、見るからに仲良さげなご夫婦がいたとしましょう。ああいう夫婦やカップルになりたいものだと、うらやむ声も聞こえるかもしれません。しかし、天から山頂に降り注いだ雨が、山肌の地層を幾多もくぐり抜け、十数年の時を経て、ようやく湧き水として地表に現れるのと同じで、そうなるまでに25年とか50年を要したわけでして、その間の筆舌に尽くしがたい苦労をすっ飛ばして、キレイな湧き水だけ飲みたいと思うのは、そうは問屋が卸さない話でありましょう。

 そんな人間同士の話を、猫との話に置き換えてみても、あながち話が通らないわけではないのであります。一般社団法人ペットフード協会が行った「平成26年全国犬猫飼育実態調査」によれば猫の平均寿命は14.82歳。「外に出ない猫」に限れば15.69歳と、0歳からともに暮らす猫であれば、15年目の水晶婚式に匹敵するレベル。もはや結婚生活と同等の長いつきあいになるわけです。

 『猫式生活のすゝめ: 猫飼いが知っておきたい100のコト』(加藤由子:監修、猫式生活編集部:編/誠文堂新光社)が教えてくれるのは、長きにわたる猫との暮らしに欠かせない「猫の声」への気づき方です。副題にある「猫飼いが知っておきたい100のコト」からわかるのは「100もある」のではなく「100に収めた」のであって、5年10年と過ごすうちに、気づくことはもっともっと多いはずです。

猫は意外と強情です。こうと決めたら、なかなか譲ってはくれません。でも、猫と暮らすと決めたら、猫とのこんくらべは避けて通れないのです。
P79より

 キャッキャウフフとじゃれたり、甘えて膝に乗ったりといった、楽しいことばかりではありません。不安や恐怖を攻撃で訴えたり、痛みを我慢して黙り込んだり、そういった”こんくらべ”を経て生まれるあまたのエピソードと感情と、そして安心しきった顔で眠る猫の姿を間近で見られるという、猫との生活の醍醐味が生まれるのであります。

 試しに、この本の小見出しをいくつか見てみましょう。

猫は高みを目指す。
猫はひたすら寝る。
猫はお風呂をのぞく。
猫の人見知り。
猫はトイレにこだわる。
猫とチラリズム。
脱走猫の探し方。

 今度は「猫」を、「夫」または「妻」と置き換えても、話が通じそうです(不穏な意味になるものもいくつかありますが)。「猫式生活」は「夫婦生活」に似ているのかもしれません。だとすれば、この本は猫飼いさん、そして悩み多き夫婦の間をとりもつ、一石二鳥の書と言えるでしょうか。

文=猫ジャーナル
写真提供:誠文堂新光社