ウィキには載ってない「武将ウンチク」が面白い!年末年始に読むならマンガ『歴女るの!』

マンガ

更新日:2016/1/27


『歴女るの!』(洋介犬/泰文堂)

 動乱の世に生まれ、覇を競いあった戦国時代の武将たち。彼らのストイックな生き様は、現代でも小説やドラマをはじめ、様々な形で語り継がれており、英雄譚を愛する多くの人々を魅了し続けている。

 そして近年、そんな戦国武将たちを愛でる女性ファン「歴女」が急増中だが、今回ご紹介する『歴女るの!』(洋介犬/泰文堂)は、歴史の知識だけでなく、歴女の生態を垣間見える作品だ。

 物語の主人公は、高校1年生の男子・進藤ハチヤ。彼には同じ高校に通うひとつ上のお姉ちゃん・サキがいるが、彼女は極度の引っ込み思案で、終始オドオドしている頼りない姉だった。

advertisement

 しかしある晩、ハチヤはたまたま通りかかった神社で、サキの意外な一面を見てしまう。彼女は武者兜をかぶり、陣羽織を纏って刀&脇差をさし、喜々として軍配を振りかざして何やらひとりで叫んでいた。

 「この石田治部少輔光成! 関ヶ原にて家康の首あげてみせん!」

 普段はシャイな姉は、実はとてもハッチャケた歴女だったのだ。この思いがけぬ発見(?)を境に、ハチヤはサキが部長を務める「歴史研究部」に引き込まれ、そこでサキ同様の歴女たちから、様々な「武将ウンチク」を一方的に教わるハメになってしまうが……!?

 本作の一番の魅力は、なんといっても歴女たちが紹介する「武将ウンチク」。「石田光成はヘタレではない」「豊臣秀吉の格言は実は創作」「戦国最強は可児才蔵」といった武将たちの逸話から、「肉人に会うと幸せになれる」「加藤清正はカッパを退治した」といった伝説系まで、作者・洋介犬氏ならではの好みや、こだわりが感じられて非常に面白いのだ。

 オーソドックスな武将ウンチクはもちろん、wikipediaには載っていないようなマニアックなネタまで幅広く網羅した本作。ひとたびページをめくれば新鮮な知の旅を満喫できるにちがいない!

文=西山大樹(清談社)

GANMA!の12月おすすめ書籍を紹介中!