リアルだったら絶対こっちを選ぶ! 少女漫画の“イイ男すぎる”当て馬キャラ5選

マンガ

更新日:2016/3/14

 ヒロインをめぐる2人の男ーー。少女漫画でよく見られる構図である。しかし、残念ながら2人の男のうち、片方はいわゆる“当て馬”。ヒロインとヒーローの恋を邪魔するための存在で、まれにヒロイン奪取に成功することもあるが、最終的にはやっぱりメインヒーローに敗北することが(ほぼ)決まっている。その際、後味の悪さを出さないようスッパリキレイに身を引くため、当て馬キャラは大体“優しいイイ奴”として描かれることが多い。つまり、ヒロイン大好きなイイ奴なのに、一番辛い思いをする…果たしてそんなことが許されていいのだろうか? というわけで今回は、メインヒーローに勝るとも劣らない、いや、むしろめっちゃ勝ってるから! という当て馬キャラたちをご紹介。当て馬キャラたちがいかにいい男かを再確認してほしい!

辛いときいつもそばにいてくれる!
『センセイ君主』(幸田もも子/集英社)より「澤田虎竹」

 若干アホなヒロイン・佐丸あゆは(さまるあゆは)に、鋭いツッコミを入れつつも、実は人一倍気にかけている澤田虎竹(さわだこたけ)。作中では、「顔もそこそこ整ってる」と評されるくらいのイケメンで、弟・妹思いの優しいお兄ちゃん。さらに成績も優秀で、あゆはが赤点でピンチのときにも根気よく勉強を見てくれたイイ男。12月25日に発売した最新刊8巻では、メインヒーロー(弘光先生)に宣戦布告し、作中最大の恋の火花を散らせようとしている。当て馬からの下克上なるか…!?

太陽のような男の子!
『溺れるナイフ』(ジョージ朝倉/講談社)より「大友勝利」

 実家は漁師で、地元でも有名なヤンキーの兄を持つ大友勝利(おおともかつとし)だが、当人はサーフィンが得意な天真爛漫ボーイ。そんな大友の魅力が爆発するのは、中学生編の後半。傷の手当てをしてもらったことをきっかけに、かつては恋愛対象外だったヒロインの望月夏芽(もちづきなつめ)と付き合うことに。東京で芸能活動をしている夏芽の帰りを、いつも笑顔で迎えてハグをする大友に胸きゅん! しかし、夏芽自ら大友の笑顔を手放さなくてはならなくなる…。やりたい放題のメインヒーロー・コウちゃんより、大友くんのほうがずっとまともなはずなのに、なんとも哀れである。

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垣間見えるデレがたまらん学園の王子様
『フルーツバスケット』(高屋奈月/白泉社)より「草摩由希」

 心にやや不安定な部分を抱えているが、ヒロインの透に対してはジェントルな姿勢を貫き続ける草摩由希(そうまゆき)。学園の王子様的存在であり、ファンクラブができるほどの人気者。完全無欠に見えるのに、実は料理が壊滅的に下手…という二面性が乙女心をくすぐる。連載当初は優勢に見えた由希だったが、話が進むにつれ緩やかに減速していき、最終的にはメインヒーローの座から降りることに…。

優しすぎるイケメンバンドマン!
『アオハライド』(咲坂伊緒/集英社)より「菊池冬馬」

 初対面の吉岡双葉(よしおかふたば)に股間を触られるという、衝撃的なシーンで初登場を飾った菊池冬馬(きくちとうま)。趣味のバンドではギター&ボーカルを担当し、メンバーからの人望も厚い。双葉に告白するシーンでは、まさかのひざまずきポーズ。「行く行く」詐欺のメインヒーロー・馬渕洸(まぶちこう)との大きな差を見せつけた。また、爽やかな外見とは裏腹に、大好きな彼女のためにオリジナルソングの作詞をするという情熱的な一面も。クールであまのじゃくな洸とは対照的に、どこまでも優しく甘い菊池。しかし、その優しさは最後まで双葉の心に刺さることはなかった。

いつも見てるよマヤちゃん…
『ガラスの仮面』(美内すずえ/白泉社)より「桜小路優」

 桜小路優(さくらこうじゆう)は、少年の頃、主人公である北島マヤ(きたじままや)に一目惚れ。マヤには完全に“ボーイフレンド”としか見られていないにもかかわらず、常にマヤのことを一番に考え行動する。また、マヤの陰に隠れて忘れられがちだが、実は彼自身も相当の演技力の持ち主。人気・実力ともにトップクラスの俳優へと登りつめた努力家でもある。愛情が屈折しまくりの真澄様(紫のバラの人)よりも、桜小路を選んだほうがずっと幸せになれそうな気もするが、マヤが彼を選ぶことは多分ない…と思われる。

 当て馬キャラたちがいかにイイ男か、しっかり伝わっただろうか。「現実だったら、絶対当て馬が本命になるはず!」と思わずにはいられないが、少女漫画において当て馬の敗北は逃れられない運命なのだ…。しかし、『ひるなかの流星』(やまもり三香/集英社)の当て馬・馬村大輝(まむらだいき)に関しては、終盤見事な巻き返しを見せて読者を歓喜させた。少女漫画における当て馬の概念を取っ払った稀有な例でもあるので、“当て馬に感情移入しがち”という乙女はぜひ一読してみてほしい。

文=中村未来(清談社)