良薬にも毒薬にもできる悪魔の手口! 悪魔の心理学、あなたならどう使う?

人間関係

公開日:2016/1/19


『悪用禁止! 悪魔の心理学大全』(齊藤 勇:監修/宝島社)

 人間の心の約9割を占めるといわれている「無意識」の領域。相手の無意識をコントロールすることができれば、人間関係が今よりもスムーズになるのではないだろうか。そこで、ここでは『悪用禁止! 悪魔の心理学大全』(齊藤 勇:監修/宝島社)をご紹介する。

悪魔の手口の10形態とは?

 心理学の本というと、「このしぐさをするときはこんな気持ち」のように、相手の心の中を読み取るものが多い。しかし、この本の場合は自分がかける言葉や態度によって、相手にどのように思わせるか、相手をどのように行動させるか、または自分をどのように行動させられるかという点がメインになっている。そして、日頃の生活の中ですぐにでも使えそうなテクニックが次のような分類で掲載されているのだ。

第1章 思いのままに人を動かす! 操作心理学
第2章 どうしても「YES」と言わせる! 誘導心理学
第3章 あなたの見た目・印象を変える! トリック操作
第4章 勝ち組の階段を駆けのぼれ! 自己暗示
第5章 機になる相手をトリコにする! 恋愛心理学
第6章 人は3人集まれば操れる! 集団心理学
第7章 自分だけコッソリ得する! 秘密の心理学
第8章 ダメな自分が生まれ変わる! 変身心理学
第9章 「危ない」を回避する! 長生き心理学
第10章 1しかないものを100に見せる! 錯覚心理学

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試してみたい操作心理学の中身は?

 仕事や普段の生活の中で試してみるなら、最初は操作心理学がよいかもしれない。例えば、本書 では部下を相手にする形で「○○して!」という命令形を「○○してくれる?」と疑問形にするだけで相手が素直に従ってくれるという「疑問形指示の心理効果」の話が紹介されていたが、これは、夫婦や親子でも、恋人同士でも使えそうな心理学だ。旦那さんや彼氏に目の前の重い荷物を持たせたいと思ったら、「重いから持って!」と言わずに「重いから持ってくれる?」とかわいらしく頼んでみよう。

こんなことができる自分って○○な奴!

 相手の心を操る心理学のところにはそれぞれページの右下に「これができればあなたは○○な奴」という評価が書かれている。例えば人づてに褒める「ウィンザー効果」を使えると「できる奴」、自分のヤバイ話を明かす「自己開示」のテクニックをうまく使えたら「頼れる奴」という具合。それぞれふんぞり返った悪魔や、力こぶを作っている悪魔のイラストが付いているのだが、「かわいい奴」のところに描かれているテヘペロ悪魔が男だったら、「ムカツク奴」と感じるかもしれない。

悪魔の実践度チャート付き!

 「心理学なんてお遊びじゃないの?」と思うなら、ダメ元で試してみてはどうだろうか? この本には「即効力」「見破り力」「好印象」「モテ度」「共感度」のそれぞれを5段階評価した「悪魔の実践度チャート」が付いている。だから、即効力が高く、共感度や好印象も並以上とチャートに記されているテクニックをまずは試してみるといい。例えば、ツンデレな言動や態度を取る「ゲイン・ロス効果」が、まさに悪魔の実践度チャートで即効力、好感度、好印象の3つが5のテクニック。具体的な例を挙げると、常に優しい上司よりも、普段は厳しい上司がたまに優しい方がグッとくるというのがこれ。こう考えると、けっこう使えそうなものが多い。心理学もバカにしたものではないのではないだろうか?

「悪魔の格言」がいいスパイスになっている!

 見開きで1つのテクニックが紹介される形になっており、どのテクニックも最後の1行は「悪魔の格言」で締められている。400ページ以上もある本だから、最初から順番に読んでいくのは大変ということであれば、まずは悪魔の格言を一通り読んでいき、もっと詳しく読みたいと思ったところを詳しく読むという読み方もできる。「頼むときは男性は励ましで奮起させ、女性にはお願いしてお礼を忘れるな!!」「どんな『ニンジン』でも、あれば人は半端じゃない力を発揮する」など、悪魔の言葉とは思えぬまともなヒントのオンパレードだから、サッと読み流すだけでも損はない。

さじ加減1つで毒薬にも良薬にもなる!

 「悪魔の心理学」というとブラックなイメージになってしまうが、この本で取り上げていることは、さじ加減1つで毒薬にも良薬にもなるものばかりだ。相手の弱みに付け込み、自分の思うままになるようにコントロールすれば「悪魔の手口」になる反面、相手との衝突を回避したり、仲間をまとめ上げたりするために使えば「天使の手腕」にもなる。

 さて、悪魔と天使、この本を読んだ後はどちらが増えるのだろうか? 「これで天使の手腕を手に入れた」と思っている私こそ、悪魔の手口にやられている1人なのかもしれない。

文=大石みずき